TPP肉牛の場合

肉牛肥育がTPPによって受ける影響や展望
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原田 英男 @hideoharada

【TPPと肉用牛①】牛肉はH3年に自由化して現在の関税率は38.5%。非自由化品目と比べればそれ程高い水準ではないかな。牛肉の輸入問題はBSEなどの非関税障壁が焦点に。BSEと口蹄疫の関係で、我が国の牛肉輸入国は現在は豪州、NZ、米国、カナダ、メキシコに限定。

2010-11-13 18:04:34
原田 英男 @hideoharada

【TPPと肉用牛②】日本の肉用牛生産は2つの供給ルート。まず和牛肉は肉専用の黒毛和種等の肉で、繁殖農家が雌牛に人工授精し(妊娠期間10月)子牛を生ませ8~10ヶ月位まで育て家畜市場で販売→肥育農家が子牛を買って2年ほど穀物飼料で肥育し、と畜場等で販売。種付けから肉まで3年以上。

2010-11-13 18:04:37
原田 英男 @hideoharada

【TPPと肉用牛③】もう一つは乳用種の肉で、乳を生産するために生ませた子牛の半分は雄になるので、これを小さいうちに肥育農家等が購入して月齢が20ヶ月前後まで肥育してお肉に。人工授精した精液が和牛の場合は交雑種が生まれ、これも肥育農家等で黒毛和牛と乳用種の間位の月齢で出荷。

2010-11-13 18:04:40
原田 英男 @hideoharada

【TPPと肉用牛④】牛肉の肉質を下から順に上げれば、豪州<乳用種<米国産<交雑種<黒毛和種。現在は米国産牛肉は20ヶ月齢未満のものしか輸入できないので量は少ないが、それを無視すれば関税率の低下で乳用種や交雑種の牛肉は大きな影響を受け、これらの肥育農家の経営は困難に。

2010-11-13 18:04:44
原田 英男 @hideoharada

【TPPと肉用牛⑤】我が国の牛肉の現物自給率は約4割。国産に占める和牛の割合は約4割。従って和牛肉の全てが残ったとしても現物自給率は2割強に。なお、乳用種と交雑種は乳牛から生まれてくるので、これらの消費が無くなることは最終的には酪農家の収入が減少することに。

2010-11-13 18:04:47
原田 英男 @hideoharada

【TPPと肉用牛⑥】和牛は輸入牛肉との品質格差が大きいので関税撤廃しても4等級以上の牛肉は差別化で生き残れるけど、4等級以上の割合は7割程度。当然コスト低下努力も必要ですが、和牛の場合、子牛生産の繁殖農家は中山間地の高齢者が主体なため、規模拡大が進んでいないのが実態。

2010-11-13 18:04:51
原田 英男 @hideoharada

【TPPと肉用牛⑦】肥育農家の規模拡大は進んるけど、元々収入に占める経費(子牛購入代と飼料代が殆ど)が大きい上に、子牛購入から肉としての販売まで2年かかるため投資資金の回収に時間を要し、リーマンショック以降は販売価格の低下に苦しんでいる状況(小売価格は余り低下してないけど)。

2010-11-13 18:04:54
原田 英男 @hideoharada

【TPPと肉用牛⑧】肉用牛農家数も減少が続き、肥育農家は15000戸程度、繁殖農家は6万戸程度に。現在は「保険方式の経営安定対策」で一定の所得は確保されてるが、飼料費の高止まりに加え、輸入牛肉との競争が厳しい乳用種肥育経営は今年度の保険金原資が不足しそうな状況。

2010-11-13 18:04:57
原田 英男 @hideoharada

【TPPと肉用牛⑨】輸入牛肉の競争力が強いのは価格だけでなく、出荷ロットが大きいため、顧客の求めに応じた品揃えが可能という点も。チェーンでステーキ用のロース肉を大量に販売する時など、必要な部分だけ同じ大きさのカット肉で供給する力は肥育規模やと畜場の規模が小さい日本では難しい。

2010-11-13 18:05:02
原田 英男 @hideoharada

【TPPと肉用牛10】酪農も肉用牛も種付けから販売可能になるまで3年近い年月が必要なので、10年先と言ってもあっという間。規模拡大でコスト下げるにも借入金の償還には長期間を要し個人経営では勝負しにくい。一方で牧草地や飼料畑、転作田、野草地などの利用で地域農業・経済には重要。

2010-11-13 18:05:05