2014年7月3日

不知火に落ち度はない その2

@yamoto 氏の #不知火に落ち度はない をまとめました。 以下本家より抜粋 【不知火に落ち度はない】 続きを読む
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yamoto⋈ @yamoto

「ほれ、九六式」 「わぁ!! よく飛ぶのです!」 「で、これが九九式」 「急降下したのです!」 「ちょっと難しいのがこれだな。彩雲」 「こっちに戻ってきたのです! 司令官凄いのです」 「この手の遊びなら得意だからな」 「指示書で何をしているんですか?」 #不知火に落ち度はない

2014-07-03 17:31:48
yamoto⋈ @yamoto

「言いたいことはありますか、司令」 「電が遊びたそうだったんでな」 「それで指示書で紙飛行機を作ったと」 「捨てるほどあったからな」 「内容読みましたか?」 「お前が覚えてるんだから大丈夫だろ」 カカカカッ 「折紙手裏剣って壁に刺さるんだな」 #不知火に落ち度はない

2014-07-03 17:36:24
yamoto⋈ @yamoto

「ところで不知火」 「なんでしょうか、不知火に落ち度でも?」 「机の中に入れてる灰皿どこやった?」 「捨てましたが」 「灰皿どこやった?」 「捨 て ま し た が」 #不知火に落ち度はない

2014-07-03 18:11:05
yamoto⋈ @yamoto

PM09:00── 宵闇の中鎮守府の片隅に有る自販機で、キャップ式コーンスープを買う。 このドリンクを夏でも売ってるマニアックな自販機は、たまに演習に使われる空き地の前しかない。 キャップを開けて一気に飲み干す。喉に熱いコーンスープが通り過ぎむせた。 #不知火に落ち度はない

2014-07-03 18:17:14
yamoto⋈ @yamoto

ったく不知火め。灰皿どころかライターまでまとめて捨てるとは思わなかった。 しかもわざわざ金属探知機を使って手持ちのライターまで奪うとは。 バーで貰ってたマッチがなければ致命傷になってたところだ。 #不知火に落ち度はない

2014-07-03 18:21:43
yamoto⋈ @yamoto

戦術とは詰まるところ騙し合いである。 今度から俺は灰皿を使わない。 この、キャップ式コーンスープが新しい俺の武器になるだろう。 こいつは蓋を閉めれば匂いが漏れ出ない絶好の灰皿になる。 さしものあいつも、コーンスープまで疑いはしないだろう。 #不知火に落ち度はない

2014-07-03 18:25:12
yamoto⋈ @yamoto

さて、明日からの勝利を確信し、マッチで着火。 ふらふらと空き地でぶらつきながら一服することにした。 見上げれば星空。この光景を独占しながらの一服は、喫煙者でよかったと思う瞬間である。 「ん?」 そのはずだったのだが──どうやら先客が居たようだ。 #不知火に落ち度はない

2014-07-03 18:28:55
yamoto⋈ @yamoto

短く切りそろえた銀髪。小柄な背丈。 見覚のある『新兵』がそこで星空を見上げていた。 「ん。よ、浜風。夜更けに奇遇だな」 「──提督!?」 「敬礼はいいぞ。ご覧の通り今は休憩中だ」 コーンスープの空き缶をプラプラ振ると、敬礼を解いてこちらに向き直った。 #不知火に落ち度はない

2014-07-03 18:38:30
yamoto⋈ @yamoto

「で、こんなところで何してたんだ?」 「星を……見てました」 「お前は確かデータじゃ対空性能が高かったんだっけか。さぞよく見えるんだろ?」 「はい。七等星までなら普通に」 嘘つけ。星見てる奴が、ンな微妙な顔するかよ。 #不知火に落ち度はない

2014-07-03 18:45:17
yamoto⋈ @yamoto

「提督、お邪魔しました。私はこれで──」 「ああ、待て待て。お前とは着任以降ほとんど話してない。ちょっとそこでどうだ、一杯」 「はあ……」 警戒されてるか。ま、しかたないわな。 #不知火に落ち度はない

2014-07-03 18:48:59
yamoto⋈ @yamoto

何か言い出す前に自販機に寄り、コーンスープを入手。 そのままぽんっと浜風向けて投げてやる。 「わ、え。ええっ!?」 片目で距離感が掴めないのだろう。驚き焦って受け取り。 「えっ!? あつ、あつ」 暖かい飲み物と予想してなかったのかお手玉を始めた。 #不知火に落ち度はない

2014-07-03 18:51:51
yamoto⋈ @yamoto

「コーンスープは奢りだ。中々こいつはやみつきになる味だぞ」 「は……はあ。頂きます」 ベンチに腰掛けて一服を始めると、浜風も従うようにベンチの端に座り両手で缶を持って、ちびちび飲み始める。 どうやら猫舌らしかった。 #不知火に落ち度はない

2014-07-03 18:54:29
yamoto⋈ @yamoto

さて。まずはジャブから入ろう。 「どうだ。馴染めてるか?」 「はい。皆良くしてくれて……」 嘘その1。愛想笑い。 残念だが、あんまり馴染めてないらしい。 こいつがこのままじゃアットホームな職場ですって、次から求人に書けなくなるな。 #不知火に落ち度はない

2014-07-03 19:23:55
yamoto⋈ @yamoto

「そうか。約一匹おっかないのがいるぐらいだしな」 「あ……」 「不知火おっかねーよなー。シリーズ冷血ナンバーワンって感じだ」 「そんなことは。言ってる事は常に正しいと思いますし」 はい、嘘その2。 やっぱあいつ不知火式スパルタン接触してるのか。 #不知火に落ち度はない

2014-07-03 19:29:31
yamoto⋈ @yamoto

「こないだの哨戒じゃ、結構活躍したそうだが」 「そう報告されてますか?」 「ん、違うのか?」 「あ、いえ。評価を頂いて……光栄です」 嘘その3。不知火から『連携に遅れアリ』との報告を受けてる。 俺も信用されてないなこりゃ。あーあーあ。 #不知火に落ち度はない

2014-07-03 19:34:23
yamoto⋈ @yamoto

「ちなみに」 「……?」 「俺はそんな不知火に灰皿を捨てられて、煙草難民化してるわけだが」 「捨てるんですか。あの人」 「ああ、金属探知機まで使って念入りにライターまで引っ張り出した」 「その辺の噂は耳にしています」 お、笑ったな? ならよしよし。 #不知火に落ち度はない

2014-07-03 19:43:48
yamoto⋈ @yamoto

「じゃあ、この話も知ってるか? 電と遊んでやってたら怒られた件」 「そんなに怒られてるんですか?」 「ちょいと指示書で紙飛行機を作っただけなのにな」 「ああ……それは提督が悪いのでは」 目が言ってる。この人嘘言ってる?と。 #不知火に落ち度はない

2014-07-03 19:49:52
yamoto⋈ @yamoto

「あんなもん山積みにされてもな。ほら」 「……え?」 自分の手を握って顔の前に持って行ってやる。 何事かと思った浜風が、手をさしだした上でぱっと開く。 「おかげでこうして折紙の腕が上がるんだ」 浜風の手の上にレシートで作った超小型鶴が乗っかった。 #不知火に落ち度はない

2014-07-03 19:55:36
yamoto⋈ @yamoto

「……わぁ」 「リクエストが有れば折ってやるぞ。レシートなら財布の中に余ってる」 「凄いですね。こんなの折れるんだ……」 指でちょんちょんと極ミニサイズの鶴をつつく。 浜風の年頃の小娘の顔が、出てきていた。 #不知火に落ち度はない

2014-07-03 19:57:43
yamoto⋈ @yamoto

コーンスープの空き缶の中に吸い終わった煙草を投げ込む。 ジュッと、音がしてすぐに吸い殻は鎮火された。 さて、もう一本貰うか。 「こんなことやってる暇人だ。気軽に話しても構わんぞ」 「……。ありがとうございます」 表情が緩む。たまにゃ趣味も役立つな。 #不知火に落ち度はない

2014-07-03 20:16:36
yamoto⋈ @yamoto

それから、幾つか話を聞き出す。 着任早々に失敗したこと。 性格上から来るぎくしゃくした距離感。 不知火との衝突などなど。 大体は時間が解決してくれそうな案件ばかりだった。 ただ、知り合いの居ない浜風には、ストレスになったのも想像に難くない。 #不知火に落ち度はない

2014-07-03 20:24:59
yamoto⋈ @yamoto

「安心した。俺の部下達が、新入りイビリに精を出してたじゃ笑えん」 「ご心配をおかけしました」 「いんや。馴染むまでは司令室だろうがどこだろうが適当に捕まえろ」 「は……?」 紫煙を吸い込み、吐き出す。 「不知火の愚痴を話せる相手、俺も欲しかったんだ」 #不知火に落ち度はない

2014-07-03 20:30:01
yamoto⋈ @yamoto

「了解です。提督の愚痴に付き合いますので、相談に乗ってください」 「ああ。適当にな」 笑って浜風が言う。俺に対する警戒心はほぼ解けたか。 不知火にゃこれはできまい。ざまあ。 「じゃ、愚痴仲間ってことで。一本吸うか?」 「へ?」 あ、驚いてる。 #不知火に落ち度はない

2014-07-03 20:34:30
yamoto⋈ @yamoto

「あ、あの? これ……ですか?」 「なんだ。吸ったことないか」 「映画等で見たことはありますが……」 「じゃ、試しに一本行ってみろ。ストレス軽減にはもってこいだ」 浜風がおずおずと差し出した煙草を取り出す。 小さな口でくわえ、位置を何度か確かめる。 #不知火に落ち度はない

2014-07-03 20:38:18
yamoto⋈ @yamoto

さっとマッチを擦って、火で煙草の先をあぶる。 浜風は教えた通りに吸い込んで先端を発火させ── 「──?!」 げほっ、げほげほげほ、げほんっ あ、やっぱ咽せたか。 そうだよなー、未だに初めての煙草で咽せなかった奴見たことないし。 #不知火に落ち度はない

2014-07-03 20:42:11
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