【アナ雪】アナとチビ九尾エルサ(1-2)【パロ】
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yorozuya753
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【お知らせ】
アナとチビ九尾エルサの1~6はまとめてPixivさんにUPしたぉ。TumblrさんにもUPしてるので、お好きな方で読んでね( ˇωˇ )
アナとチビ九尾エルサ(2)
※マーライオン中
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エルコンちゃん素敵イラストまとめ
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【チビ九尾エルサ~0日目】 パパの根回しが終わるまで、あたしはエルサを連れてホテルでも転々としようかなって考える。さて、これからどうしよっかなぁ~って車運転しながら、エルサを見る。エルサはずっと俯いていた。 「エルサ?」 返事がない。あんまり口数が多い子じゃないっぽいけど、
2014-07-04 01:48:07
なんか様子が変……かも?座席の半分も面積を取らない体は小さく震えている。あれ、もしかして…… 「エルサ?おーい、エルサちゃん?」 わき見運転ダメ絶対!でも今だけは許して欲しい。お巡りさんいませんように。 あたしはそう願いながら何度もエルサに声を掛けると、エルサは漸く口を開いた。
2014-07-04 01:50:23
「……きもち、わるい」 もともと血色の良い子じゃないけれど、蒼褪めた、いや、もう顔の色素がない。真っ白な顔でエルサがいう。震える紫色の唇が事態の重さを物語っていて、あたしの否応なく焦燥感を煽られた。 「きゃー!エルサもうちょっとだけ我慢して!もうちょっと、もうちょっとだけぇぇ!」
2014-07-04 01:53:04
近くに公園があって助かった。エルサを抱き抱えて広い森林公園を走ったあたしは、今ベンチでぐったりと座ってて。膝には顔色の悪い子供がいる。なんとか車内で吐くのは防げた。だけど、公園のトイレで吐き出されたものが胃液ばっかりだった。 「エルサ、だいじょうぶ?」 なるべく優しい声で問うけど
2014-07-04 01:58:24
エルサから返事はない。頭をそっとそっと撫でてあげると、尻尾が微かに揺れて、垂れた耳がピクピクと動いた。 あたしのパーカーを着せているけれど、いくら体格差があっても、そのモフモフの九本の尻尾を隠すのは難しいみたい。思わず微笑むと、その気配を察知したかのように耳がピクリと動いた。
2014-07-04 02:01:26
「な、まえ……」 初夏の木洩れ日とそよ風を味わいながら、どれくらい時間が経ったかな。エルサが小さく口を開いてくれた。 「ん?」 手の下の耳がピクピクしてる。分からない程度に顔をズラしてエルサの表情を窺うと、頬がほんのり赤くなっていた。 「あなたのなまえ……まだ、しらない」
2014-07-04 02:04:35
名前を教えてって言われてるみたい。そんなに照れる事かな。なんかかわいいー。 「そういえば慌てて自己紹介してなかったっけ?」 頭を撫でて、耳の付け根をくすぐると「ん……」と気持ち良さそうな声が漏れてくる。なんだかなぁー。動物なんて思ってないけど、犬みたいで可愛いかも。困るわー。
2014-07-04 02:08:34
「アナ」 「……あな?」 「そ。あたしの名前。覚えてね?」 「ん……」 冷や汗に張り付いた前髪を払って頬を撫でると、エルサはあたしの手の平を追い駆けるように顔を動かして、鼻先を摺り寄せて来た。噛まれた方の手。包帯がまだ巻いてあるのに、利き手だからついそっちを使っちゃう。
2014-07-04 02:12:00
この子気にしてるみたいだから、気を付けようって思ってるのに。習慣って直ぐにはどうにもならないのよね。 エルサはあたしの手の平を暫く見つめると、ちろっと赤い舌を出して指先を舐めて来た。 「ア、ナ……?」 「うん」 「……アナ」 すんすん鼻を動かして匂いを嗅いで、名前を呟いて、舐める
2014-07-04 02:14:16
ペロペロと緩慢に小さく動く舌がくすぐったい。小さな声でアナと呼ばれると心の中がくすぐったくなる。ちょっとは信用して貰えたのかな? 「ふふっ。覚えた?」 「……ぅん」 エルサは小さく頷いて、舐めるのをやめた。今のって精一杯甘えてくれたのかもしれない。「いい子ね」と言って頭を撫でると
2014-07-04 02:16:37
尻尾がゆらゆら控えめに揺れた。もっと嬉しそうにしていいのにね。 なんて思っていたら、あたしのお腹がぐぅ~と唸った。 「……アナ?」 ぱちくりと大きな瞳を瞬かせて、こっちを見上げて来る。なんかそんなにも無垢な目で見られると恥ずかしくなってくるんですけど。 「あー、お腹すかない?」
2014-07-04 02:19:53
「おなか?」 きょとんとして耳をピルピル動かすエルサ。空腹感ってものないのかな、この子。なんて一瞬考えて、なんか色々考えそうだったからやめた。 「立てる?」と聞くと、エルサは直ぐにあたしの膝から降りて自前の両足で立ち上がった。日の光の下で見ると、エルサの肌が白すぎてアルビノ
2014-07-04 02:25:18
なんじゃないかと心配になる。それから大きなパーカーから覗く足首が細過ぎて、まるで小枝みたいで折れそうで心配になった。ちゃんと食べさせてあげないとなんて使命感さえ湧いてきた。 おいでと手の差し出すと、恐る恐る手を伸ばしてくる。けれど、パーカーから腕が出てないから、布がべろんと垂れた
2014-07-04 02:28:07
ちょっと間抜けで可愛い。あたしは苦笑してパーカーの袖からエルサの手を出してあげて、手を繋いだ。きゅっと握ると、逃げたいみたいに体を退く。そんなに恐がんないでよと言ってみたら、「こわい」と返って来てちょっと傷付いた。 「そんなにこわい?」 「……うん」 「えー。あたし優しいじゃん」
2014-07-04 02:30:27
「やさしいから……こわいもん」 「なんで?」 「こおらせちゃうの、こわい」 すごく不器用な言葉。 離れたがってる小さな手をそっと包み込んで、もう一度きゅっと握る。寒さじゃないものに、その手は震えていた。 「だいじょーぶよ。ほら、おいで。なんか食べよ!」 「ぅ……うん」
2014-07-04 02:33:17
一緒に歩くとカシャカシャ音が鳴って、あたしは重要なことを思い出した。そういえばまだ枷外してあげてない! 「エルサ、ごめん!ご飯の前にそれ外そう!なんか色々あり過ぎて忘れてた!」 慌てる私にエルサはやっぱりきょとんとしてる。なんでそんなに余裕なんだろこの子? 「へーき」
2014-07-04 02:37:23
「いや、平気じゃないでしょ。ってかそのまんまだとあたしが幼児虐待してる悪い奴に見られちゃうし」 「アナ……わるいひとなの?」 「いや、ちがうってば。そういう風にあたしが皆に見られちゃうって話」 「……これがついてるから?」 「そう、それが……って、エルサ?」
2014-07-04 02:40:02
会話中なのに、エルサはあたしの手を解いた。何をするんだろうと見守っていたら、手枷に噛み付いてガリガリし始めた。そんなことで取れるわけないでしょ。一応エルサの為に作られた特注の枷なんだから、それ。 「エルサ、ちょっ、歯欠けちゃうからダメだってば!」 ガジガジ手枷を噛むエルサの口と
2014-07-04 02:42:33
金属の間に手を差し入れて止めると、意外にもエルサは口を直ぐに離した。でも案の定、その口の端から血が滲んでいた。たぶん唇の端が切れて、歯茎が傷付いたんだと思う。エルサは自分の口をペロペロと頻りに舐めた。 「あー、ほらいわんこっちゃない」 唾液と血に塗れた小さな唇をハンカチで拭う。
2014-07-04 02:45:07
イヤイヤするように頭を振られたけど、なんとか綺麗に拭き終った。 「アナ、はずれない」 「まぁ、外れないように作られてるからね」 「ど、どうすればいい?アナ、このままじゃわるものになっちゃうの?」 うわ、泣きそう。ってか泣いてるし!涙がコロコロ転がってるし、周りに雪が……
2014-07-04 02:47:17
「って、雪!?」 やばいまずいやばい!突如巻き起こる超局所的異常気象に全あたしが慌てる。そんな慌てたあたしが取った行動はといえば、 「エルサ!だいじょうぶ!あたし悪者なんかにならないから!エルサのヒーローだから!!」 エルサをぎゅーっとハグすることだった。だってなんかもうこれしか
2014-07-04 02:48:57
思い浮かばないんだもの! しゃがみ込んでエルサをハグするあたし。そんなあたしの首筋に鼻先をうめてぐずぐず泣くエルサ。深呼吸するように促すと、雪は次第に治まっていった。 「ごめんなしゃ……ごめ、なさっ」 「いいから。謝らなくていいから」 よしよしと背中をポンポンしてあげる。肩先に
2014-07-04 02:52:07
落ちた涙が凄く冷たかった。 「エルサ、もう泣かないの。とりあえず」 ってところで、またあたしのお腹が鳴った。あたしのカラダ、本能に忠実過ぎるでしょって辟易していると、エルサが服の裾をちょいちょいっと弱い力で引っ張ってきた。 「アナ、おなかすいた?」 「うん。そうなのよねぇ」
2014-07-04 02:54:38
あ、もう覚えたのね。あたしのお腹すいたって合図。頭の回転はいいのかな? なんて、お腹すき過ぎて考えるのも億劫になってくる。枷をどうにかするにはそれ専用の道具が必要だし、今すぐにはどうせ無理かと諦めた。 「うん。もう全部アクセサリーってことにしよっか。どうせ耳も尻尾も隠せないし」
2014-07-04 02:56:18