空想の街 氷涼祭2014 ガーネットピアス01
俺の名前は園腰彦。しがない配管工だ。 この街は氷涼祭で浮かれている。 俺も外でぶらつくことにした。 #空想の街 #ガーネットピアス
2014-07-06 15:08:25氷涼祭なので、風船を上げることにする。 透明で長い風船がドーナツ状の赤い風船を貫いている。 ちなみにこの風船、俺と同じサガを持つ者が上げることになっている。それは生者も死者も関係ない。 #空想の街 #ガーネットピアス
2014-07-06 15:13:24生者も死者も関係ない。このときにしか楽しめない相手との邂逅を楽しむだけだ。俺と同じ風船を掲げている奴はまだ見つからない。 だが、氷涼祭に漂う空気が、没薬のように怪しく、甘く、苦い。 悪くない。 今夜も暑い夜が過ごせそうだ。 #空想の街 #ガーネットピアス
2014-07-06 15:14:43俺の名前は園腰彦。しがない配管工だ。 この街は氷涼祭で浮かれている。 俺も外でぶらつくことにした。 #空想の街 #ガーネットピアス
2014-07-06 16:35:59風船を携えて歩いていると、威勢のいい売り文句が聴こえてきた。「季節の蜂蜜は栗とサルビアです! 栗の蜂蜜は少し苦味があり好みが分かれますが、好きな人はクセになります!」 #空想の街 #ガーネットピアス
2014-07-06 16:36:07ふと目を見やると、青年が褐色の肌に冷えたビールジョッキの水滴のような汗を浮かべてミードを売っていた。 ああ、ルグッグの。 あまりの飲むことはないのだが、仕事柄ちょっと思い出したことがあった。 #空想の街 #ガーネットピアス
2014-07-06 16:36:19「これはミードの醸造につかうパイプでねえ、作るのに難儀してさあ」 仕事の使いで金属加工業者に言ったときに見せてもらったパイプは、 工業製品とは思えない肉感的な内部の溝が非常に印象的だった。 #空想の街 #ガーネットピアス
2014-07-06 16:36:32どんなやつがこの肉感的な工芸品を使うんだろうかと思ったのだが、なるほど、こいつか。 養蜂から醸造、はては宅配まで、このネバという男が担っているらしい。 酒瓶を運ぶ腕に浮かんだ太い血管から、あのパイプをつい連想してしまった。 #空想の街 #ガーネットピアス
2014-07-06 16:37:10あの男があの機材で作ったミードならば、本当にクセになるかもな。 そのとき、おれはどんな顔をして、あのネバという男を見つめていたんだろうか。 #空想の街 #ガーネットピアス
2014-07-06 16:38:15とりあえず酒を買い、早速味わってみた。 胸の高まらさせ、同時にそれを強く抱きとめられるような、 不思議な味わいの酒だ。 つい作り主のことを連想してしまう。 #空想の街 #ガーネットピアス
2014-07-06 16:55:24ネバのことにさらに興味がわいてきたので、話をしてみようと思ったが、 ネバはもうそこにはいなかった。祭りとくれば、酒屋は忙しいのが常か。 だが、悪くない。 今夜は熱い夜を過ごせそうだ。 #空想の街 #ガーネットピアス
2014-07-06 16:55:32設定 園腰彦:空想の街在住の配管工。男性、独身。短髪で筋肉質な体つき。街の童話を語ることがあるが、その話は一般に流布しているものと微妙に異なる。彼は特別なサガを持つらしく、空想の街の祭りの際にはサガを持つものだけが集う、もう一つの祭りに参加する。 #空想の街 #ガーネットピアス
2014-07-06 17:04:09俺の名前は園腰彦。しがない配管工だ。 この街は氷涼祭で浮かれている。 俺も外でぶらつくことにした。 #空想の街 #ガーネットピアス
2014-07-06 17:18:36俺の持つ風船は変わった形をしている。 透明で長い風船がドーナツ状の赤い風船を貫いている。 この風船はガーネットピアスと呼ばれる。 実態のない死者と血の通った生者が交錯する様を表現している。 #空想の街 #ガーネットピアス
2014-07-06 17:18:49今回の氷涼祭では、何人か同じ風船を挙げた奴と出会い、そいつらと楽しむことができた。そいつらが死者かどうかはわからない。 熱い夜が過ぎ去った後の身体は、虫も魚も一切いない川のような澄み切った心地よさがある。 #空想の街 #ガーネットピアス
2014-07-06 17:35:14