茂木健一郎（@kenichiromogi）さんの連続ツイート第１２８３回「脱法ドラッグと自動運転」

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート１２８３回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、このところのニュースで思っていること。

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いわゆる「脱法ドラッグ」を使用したと思われる人の暴走事件が次々と報道されている。国は、取り締まりを強化する方向と言われるが、成分が次々と変わったものが出てくるため、いたちごっこで難しい側面もあるという。自分の意志によるコントロールを失った人が運転する車は、凶器である。

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以前にも書いたことだが、私自身は、脱法どころか、いわゆるドラックを使用したことは一度もないし、これからもない。その理由は、副作用、自己や他者への被害の可能性はもちろんだが、そのような短絡回路はそもそもよくないと考えているからである。快楽や幻想を見るなら、思考や行動の結果が良い。

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空海が、海が見える洞窟で修業して、一週間目か何かに明星が口の中に入って悟りを開いたというのは、そのような努力をしたわけだし、木村秋則さんがＵＦＯ乗ったり、銀色の宇宙人が飛び回っているのを見るのは、無農薬無肥料のリンゴつくりで苦労した結果である。そういうのをすっ飛ばすのは良くない。

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もちろん、以上の話と、国がドラッグの「取り締まり」にどのような態度で望むかは別問題。フリードマンのように、すべて自分の責任であり、合法化せよ、という論者もいる。ＡＳＫＡさんの楽曲をすべて市場から閉め出すなどの対応は、明らかに行き過ぎだろう。そのあたりは、議論が必要。

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ところで、昨今の脱法ドラッグ使用者による暴走には、全く違った視点からの感想も持っている。「そもそも人間に運転を任せるのは、あぶないな」ということ。最近、通りを歩いていて、運転しながら携帯いじっている人なんか見ると、「google carの方が絶対に安全だよな」と思う。

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脱法ドラッグによる暴走事故けしからん、という議論には、精神論の匂いがする。どんなに取り締まりを強化しても、使う人はおそらくある一定の確率で出てくる。そもそも、運転中に制御を失う理由は病気など、他にもある。だったら、どんな場合でも危険な運転は事前に抑止する方向に進むのが妥当である。

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先日、日本経済新聞だったと思うが、日本のメーカー、省庁が中心となって自動車の自動運転技術の国際標準化を図るというニュースが出ていた。結構なことだと思うが、一つ重要なことが書かれていた。この標準化スキームには、Googleが入っていないのだという。それだと、おそらく、意味がない。

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自動運転、地図情報と結びついたナビゲーションの技術を押さえる者が、将来の自動車産業を支配する。下手をすれば、パソコンメーカーがウィンドウズ搭載のコモディティをつくる存在になったように、自動車メーカーも、おそらくGoogleがつくるOSを搭載するコモディティ・メーカーになりかねない

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自動車メーカーの方と話していて、「運転する喜びがあるから、自動運転恐れるに足らず」みたいなことをおっしゃると、不安を感じる。おそらく、そういう問題ではない。日本は、公道での自動運転の実験で遅れをとっているから、今すぐ手を打たないと、日本の主要産業の一つが危ない。

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さて、脱法ドラッグの問題に戻るが、「そういうのはよくない」といった精神論では、問題は解決しない。困ったことに、「よくない」と言われるとそういうことをかえってやりたくなる人たちも存在する。精神論ではなく、システムの問題としてアプローチすべきだ。自動運転はそのうちの一つである。

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以上、連続ツイート１２８３回、「脱法ドラッグと自動運転」をテーマに、１０のツイートをお届けしました。