空想の街 #ヴェンディッタ

空想の街、西区、ウィア・アクア駅から、徒歩五分。そこには、ダーツバー ヴェンディッタがある。店主はディターナ。
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黒巣真音 @catnap_7

今回の #空想の街 では、ダーツバー #ヴェンディッタ を運営します。場所は西区、ウィア・アクア駅から徒歩五分圏内。マルケーより内側。 店主はディターナというお姉さん。赤い髪と赤い瞳、そして透明な白い肌。では、幕開けです。 pic.twitter.com/gC71B8sfR5

2014-07-04 00:12:50
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黒巣真音 @catnap_7

ふわり。女は、我が城 #ヴェンディッタ の二階にある自室で、欠伸をしつつ身体を起こした。日付と時刻を確認する。7月3日の午後12時半。いつも通りの時間に安堵し身支度を整える。ふと、クローゼットの中に和装が見えて、そろそろ氷涼祭かと思案した。今年こそは彼に逢いたいものだ。#空想の街

2014-07-04 00:22:49
黒巣真音 @catnap_7

となると、風船を準備しなきゃならないし、外出しなくても良いような準備をしなくては。とそこまで考えて、夜は店の中に引きこもっているから、意味ないな、と思い至った。白鴉のワタリがあれば、アナウンスが入るのだから、アナウンスの入った日中に買い出しすれば良い。#ヴェンディッタ #空想の街

2014-07-04 00:33:44
黒巣真音 @catnap_7

夜の十時。#ヴェンディッタ の看板をオープンに差し替える。わざわざドアを開放したりしない。自慢じゃないが客の入りは少ない。けれど、良いのだ、別に。彼と逢う為だけに訪れた #空想の街 に居座って、もう何年経ったんだろうか。自分用に作ったディタ・クランベリー・ソーダを口に含んだ。

2014-07-04 00:41:25
黒巣真音 @catnap_7

客は早々来ない。来ても、接客は得意ではないし、ダーツを投げると、どうも、殺気立ってしまう。だから新規の客がまた来てくれることも少ない。それでもディタだとかお嬢だとか愛称で呼んでくれる珍妙な奴が数人居る。奴らのおかげで #ヴェンディッタ は店という形を保っているんだろう。#空想の街

2014-07-04 00:48:47
黒巣真音 @catnap_7

本来ならば、接客など、出来やしないのだ。赤く染まったこの手で作ったものを、誰が口にしたいと思うのだろう。今でも時折、無性に、手を洗い続けていたくなる。染み付いた血臭が漂う気がするのだ。はぁ。妙にイライラする。良くない兆候だと思いつつ、ダーツを手にした。#ヴェンディッタ #空想の街

2014-07-04 01:09:47
黒巣真音 @catnap_7

スロウイングラインに足を置き、軽く身体を揺する。右手の指先でダーツを捕まえた。眼を閉じる。そして、的を見る。ブルを見つめて、射抜く感覚。そうだ、そこを撃ち抜けば、死ぬ。人間とは脆い生き物だ。緩慢な動作で投げた、三本のダーツは全てブルに集まった。#ヴェンディッタ #空想の街

2014-07-04 01:16:37
黒巣真音 @catnap_7

ダーツというものは、拳銃に比べれば、酷く軽い。職業が的当てだったような人間が、また、的当てに興じることになるとは、あの時は思っていなかった。的当て。人間の頭や心臓を的にする仕事だ。頭を振ってカクテルを口に含む。忘れろ。もう過去のことだ。ダーツを構えた。#ヴェンディッタ #空想の街

2014-07-04 01:22:28
黒巣真音 @catnap_7

ダーツがブルに吸い込まれる軽い音が #ヴェンディッタ に響く。「今日も殺気立ってんねぇ」振り向くと常連客、と言えば良いのか、がいた。「いらっしゃい。ゲームする?それとも呑む?」いくら投げていたとしても驚いたりしない。むしろ、投げている時の方が感覚が鋭敏になっているのだ。#空想の街

2014-07-04 01:27:15
黒巣真音 @catnap_7

「呑むし、ゲームもするに決まってんだろ?いつものな」「はいはい、かしこまりました」おざなりな接客をして、カウンター内に潜り込む。グラスに蒼が注がれた。チャイナ・ブルー。自分用に炭酸水を用意して、彼の元に戻った。「さ、やろーぜ」「あぁ」 #ヴェンディッタ #空想の街

2014-07-04 01:34:31
黒巣真音 @catnap_7

「ディタ。そろそろ氷涼祭だな。お前いつになったら、カレシさんに逢えるわけ?」「どうだろう。今年も逢えなかったら、また一年 #空想の街 に居ることになるだけだよ」「いっそ、定住しちゃえよ」「それも、悪くないかもね」淡々とダーツが飛んでいく。カラン、と氷が鳴った。#ヴェンディッタ

2014-07-04 01:39:42
黒巣真音 @catnap_7

「一応言っておくと、婚約者だよ、彼は」ダーツを投げているままの雰囲気でディターナは彼を見やった。たじろぐ彼。「ああ、悪い」殺気立っているのは慣れてしまったが、やはり、殺気を向けられることは、慣れないようだった。彼女は謝りもせず、ダーツを投げた。#ヴェンディッタ #空想の街

2014-07-04 01:51:45
黒巣真音 @catnap_7

「やっぱり #空想の街 で死んでいない死者は、帰って来にくいのかもね」彼女は言葉を漏らす。「もう何年経ったんだっけ?」「わかんない。本当に逢いたいのかどうかも、実はわかんなかったりするから、彼も向こうで迷ってるのかもね」彼女は芝居染みた仕草で肩を竦めた。#ヴェンディッタ

2014-07-04 01:56:46
黒巣真音 @catnap_7

全ての所作をこなしながら、頭の片隅で彼を思い出していた。透けるような金髪、ガラスのような碧眼、病的そのものの肌。 ソファで微睡む姿は、どんなに愛しかったか。だからなのだろう。店内には思い出を模した、ソファを置いていた。たまに、そこで常連客が潰れるのだ。#ヴェンディッタ #空想の街

2014-07-04 02:08:56
黒巣真音 @catnap_7

「そろそろ帰るかな」「もうそんな時間か」時計は、午前三時を指していた。「んじゃ、また来るわ」「私が #空想の街 にいる間は年中無休だよ」「その台詞、この時期に聞くと、今年こそはもしかして、って思っちまうな」「確かに、ね」彼を見送りがてら #ヴェンディッタ の看板をクローズにした。

2014-07-04 02:24:32
黒巣真音 @catnap_7

ぱちり。目が覚めた。7月4日の午前11時。アナウンスが耳に優しく響く。今夜は外出禁止か。ならば、夕方から #ヴェンディッタ を開けておかないと。もしかすると、店の中で今夜を凌ごうと考えてる奴も居るかもしれないから。何年か #空想の街 で店をやっていて、これがこの時期の慣例行事だ。

2014-07-04 13:09:59
黒巣真音 @catnap_7

さて、いつもより早いけど良い時間だ。時計はちょうど真上に針が2本。中央区に、買い出しに行こう。#ヴェンディッタ の看板がクローズになっているのを確認して店を出た。 #空想の街

2014-07-04 15:33:32

#仕立屋 のうさ耳姉妹さんとのお話。
浴衣をオーダーしました。

黒巣真音 @catnap_7

中央区に出て来て、ふらりと歩く。そういえば、和装も新調したいなあ、なんて思いながら。「どうせだから、綺麗なもの、仕立てて貰えないかなぁ」ぼそりと呟いた時だった。何かが迫ってくる気配。もしかして、噂のうさ耳姉妹かな。@naholograph #ヴェンディッタ #仕立屋 #空想の街

2014-07-04 15:53:21
七歩 @naholograph

「壁に耳あり」「障子メアリー」そうとも我々はうさ耳姉妹。うわさのなんて困っちゃう。「かわいいなんて」「そんな噂」「「ホントのことを!!」」ひとしきり騒いだ後二人して首を傾げた。「で」「なんの」「「ご用??」」@catnap_7 #ヴェンディッタ #仕立屋 #空想の街

2014-07-04 19:04:59
黒巣真音 @catnap_7

「……。可愛いね」たじろぐディタは二人をみやる。否、二匹、か。「あのね #仕立屋 さんに、お祭り用の和装をお願い出来ないかな、と思って。取りに行くのは、お店の都合で少し厳しいかもしれないから #ヴェンディッタ に届けて貰いたいのだけど……」 @naholograph #空想の街

2014-07-04 19:59:44
七歩 @naholograph

「ガッテン」「リョウカイ」「「それから我々は」」「匹ではない」「ほらほら」うさ耳姉妹は耳をとってみせる。「純粋な」「人間なのです」ポーズ。我々の補聴器は聴こえないものも教えてくれる。お客さんの心などお見通しだ!多分。@catnap_7 #ヴェンディッタ #仕立屋 #空想の街

2014-07-04 20:17:46
七歩 @naholograph

@catnap_7 「それで浴衣って」「どういうの?」「セクシーとか」「セクシーとか?」仕立屋はどんなものでも作るけれども我々は、我々の欲望常に優先。 #ヴェンディッタ #仕立屋 #空想の街

2014-07-04 20:19:03
黒巣真音 @catnap_7

「!失礼したね。素敵なお嬢さんたち」ディタは珍しく驚いた顔をした。耳が、とれるなんて。「そうだなぁ。セクシーか。似合うかな? その辺は、お嬢さんたちにお任せしようかな?私からお願いしたいのは、動きやすさ、だなぁ」 #ヴェンディッタ #仕立屋 #空想の街 @naholograph

2014-07-04 22:23:00
黒巣真音 @catnap_7

「職業柄、カクテル作ったり、ダーツ投げたりするからね。わがままな注文になるけれど、お願いできますか?」私は、できる限り友好的な声色で、うさ耳姉妹に笑顔、らしきものをみせた。 #ヴェンディッタ #仕立屋 #空想の街 @naholograph

2014-07-04 22:25:28
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