茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1285回「棋譜を読むこと」

脳科学者・茂木健一郎さんの7月13日の連続ツイート。 本日は、このところはまっているあるもの。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート1284回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、このところはまっているあるもの。

2014-07-13 08:24:15
茂木健一郎 @kenichiromogi

「趣味はなんですか?」と聞かれると、ずっと困っていた。仕事に関係ないものが、あまりないからである。強いていえば、走ることかもしれないが、趣味が走る、というのも、なんだか味わいがない。ところが、最近、囲碁にはまり始めて、ようやく、趣味と言えるものができた。

2014-07-13 08:25:08
茂木健一郎 @kenichiromogi

トイレに入った時とか、電車を待っているとき、ついつい、iPhoneの「最強の囲碁」をやってしまう。Kindleで本を読むとか、Flipboardでニュースを見るとか、やるべきことは他にあるのだけれども、白と黒の石を置くことに夢中になってしまう自分がいる。囲碁廃人である。

2014-07-13 08:26:22
茂木健一郎 @kenichiromogi

「最強の囲碁」は、最高レベルにするとアマチュア5段とからしく、なかなかつよい。最初はバンバン打っていたが、このところ、一手ごとにじっくり考えるのも好きになって、半日くらい、次の手を打たないで放置しておくこともある。それでも文句を言わないのが、アプリのいいところだ。

2014-07-13 08:27:50
茂木健一郎 @kenichiromogi

さて、囲碁には「棋譜」というものがあって、過去のさまざまな棋譜を集めたデータベースもたくさんある。それで、iPhoneで、そのデータベースを読むアプリを見つけてしまって、他人の囲碁の記録を読むのも、なんだか好きになってしまった。ヤバイ。こうやって、はまっていく。

2014-07-13 08:29:13
茂木健一郎 @kenichiromogi

ぼくは実は最近の囲碁をよく知らなくて、ただ、子どもの頃夢中になってNHKの囲碁の時間を見ていた頃に活躍されたいた棋士の名前はよく知っている。その中でも、武宮正樹さんは、「宇宙流」とも言われ、中央を重視する独特の棋風で、たいへん好きであった。

2014-07-13 08:30:32
茂木健一郎 @kenichiromogi

それで、アプリで武宮正樹さんの棋譜を検索して、「へえ、こう打つんだ」とか、「こう来るかあ」などと、ブツブツ言っていると、たいへん勉強になる。考えてみると、子どもの頃囲碁をずいぶんやったけど、他人の棋譜を見る、ということはあまりなかったように思う。新しい楽しみができた。

2014-07-13 08:31:43
茂木健一郎 @kenichiromogi

そうやって、白と黒の石を過去の達人がどう置いていたか、という歴史を読んでいると、「あれ、これって、文章を読むことに似ているな」と思う瞬間がある。文章も、過去の表現者がどのように文字列を置いていったかという、一つの「棋譜」のようなものではないだろうか。

2014-07-13 08:32:36
茂木健一郎 @kenichiromogi

最近、泉鏡花の『外科室』を久しぶりに読んだ。吉永小百合さん主演で映画化もされたけれども、「へえ、こう構成するんだ」「こんな表現を使うんだ」と勉強になる点は、囲碁の棋譜を読むことに、ちょっと似ている。

2014-07-13 08:33:54
茂木健一郎 @kenichiromogi

「棋譜を読む」ことに相当する営みは、いろいろな分野にある気がする。音楽家は、楽譜を読んで、バッハやモーツァルトを研究するのだろう。伝記は、人生という棋譜である。そして、自分で打っていないと(行動していないと)、他人の残した棋譜のありがたみもわからないようである。

2014-07-13 08:35:09
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第1285回、「棋譜を読むこと」というテーマで、9つのツイートをお届けしました。

2014-07-13 08:36:20