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長門とビアホール回
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「突然だがデートに行かないか、司令」 「藪から棒にもほどがねえか、長門」 積み上げた書類を前に、長門が楽しげに切り出す。 不知火の視線が冷たい。 その目はこう言っている。 ──さっさと追い出して仕事しろ。 #不知火に落ち度はない
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「ちなみに私は今日夕方から暇なんだ」 「知らなかったか? 俺は今月もう休みねえぞ」 もちろん、任意に休もうと思えば休める。 その分溜まった仕事を誰が片付けるかと言えば、隣で冷たい視線を飛ばしてる不知火である。 そりゃ不機嫌にもなるってもんだ。 #不知火に落ち度はない
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「ふむ……不知火、司令はそんなに忙しいのか?」 「司令はいつも忙しいはずです。貴方一人の都合で動かすことができない程度には」 正論である。 そも忘れられがちだが、俺って普通に多忙なんだよな。 サボってスロ打ってたけど。 「つまり秘書艦の落ち度だな」 #不知火に落ち度はない
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あ、やべ。 不知火が笑顔になった。 間違いなく地雷踏んだぞ長門ー。 お前そのちっこい爆弾に喧嘩売ったぞー。 「不知火のどこに落ち度があるのでしょうか?」 「私一人の都合もつけられない程度に仕事で拘束してる」 「それは長門さんの都合ではないかと」 #不知火に落ち度はない
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「なあ司令。私と遊びに行かないか?」 この状況でイエスって言えると思うのかこのメスゴリラ。 「いい加減にしましょう。これ以上貴方に割く時間はありません」 俺と長門の間に入り、主張する不知火。 不機嫌なんてものは通り越して、完全喧嘩腰になっている。 #不知火に落ち度はない
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「じゃあ、時間を作ってやろう」 「は?」 ひょい、と不知火をどけ、先程まで不知火が作業してた机へ。 そのまま書類を勝手に片付け出す。 「いい加減にしてください長門さん、何を勝手に」 「これは司令向け案件。サインを貰え」 あ、仕切りだした。 #不知火に落ち度はない
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「司令! これは明らかな──」 「いや、無理だろ。その書類もってこい」 越権行為とか言いたいんだろ? 知ってる。 無茶苦茶不機嫌になった不知火には悪いが、そのメスゴリラな。 事務処理能力、お前より高いんだわ。 上手いことやらせた方がいい。 #不知火に落ち度はない
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「それはご命令ですか、司令」 「命令だ。これより三人体制に切り替え。長門の補佐に回れ」 ぎり、と明らかに聞こえるレベルの歯ぎしりが聞こえた。 うーん、胃に悪い。 「納得はしませんがご命令なら」 「よろしく、不知火」 そこのメスゴリラは空気読もうな。 #不知火に落ち度はない
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そうして、長門と不知火、俺の三人体制での事務処理が開始された。 メイン処理を長門が行い、補佐を不知火と俺でやるような形式である。 終始不知火の様子が気にはなったが、溜まった書類はどんどん解決されていく。 結果、明後日の分まで夕方までに処理完了した。 #不知火に落ち度はない
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「これで手持ちは全部終わりだな?」 「……そのようですね」 不知火の肩を叩く長門。 「これで明日までは不知火も休めるはずだ。司令にべったりするだけが秘書艦の仕事じゃないぞ」 「覚えておきます」 払いのけたいのだろう。 だが、できないようだった。 #不知火に落ち度はない
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「そんなに悔しそうな顔をするな。司令の落ち度が一番大きい」 「どういう事でしょうか」 「不知火を甘やかしすぎてる」 げ、こっちに飛び火させやがるか。 「最初こそ相談が必要なんだろうが──」 「あー、はいはい。そこまで。そっから先は後で不知火と話す」 #不知火に落ち度はない
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パンパンと手を叩いて話を打ち切りにする。 「それより仕事は終わったんだろ。不知火は自由時間。自己判断で訓練なり、休憩なり好きにやれ」 「ご命令なら」 「命令だ」 心底怒ってます、って目でこっちを見ている不知火。 後でフォローがいるな、絶対。 #不知火に落ち度はない
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「次、長門。貴様のお陰で仕事はなくなったからな。つきあってやる」 「ああ。じゃ、車で待ってる」 用意良いなお前。 ハナっからそのつもりだったんだろうが、段取り整えてやがったな。 こいつはきな臭くなってきやがった。 「わかった、準備してすぐ行く」 #不知火に落ち度はない
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「司令。外出は──」 「そこのメスゴリラがとっくに申請出してる。さっきのどさくさにな」 ピースすんな、長門。 かわいいって思える余裕今ねーぞ。 「わかりました。どうぞお気をつけて」 不知火が引き下がる。 やることえげつねえよな、長門。 #不知火に落ち度はない
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そうして俺は、不知火を残して司令室から出る。 こういうときはろくな事がないのだ。 今日はいつものお出かけセットにプラスワン。 使いたくないものを胸に納めてのご出陣である。 場違いなアロハを持っていくのはせめてもの抵抗だった。 #不知火に落ち度はない
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「それでデートつったけど、何の真似なんだいったい」 「おや、私とデートはそんなに嫌か」 長門の運転する車の助手席で、半目になって問う俺がいる。 長門の服装は、サマーセーターとジーンズという出で立ち。 まるでお買い物に出てる若奥様みたいな感じである。 #不知火に落ち度はない
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「不知火を煽って怒らせ、その上仕事までぶん取ってただのデートでした、なんてのはいくらなんでもあり得ないだろ」 「さすが司令。その察しの良さは賞賛されるものだ」 「うっせメスゴリラ。褒められた気にならんわ」 お前の手のひらの上で踊らされるのとかな。 #不知火に落ち度はない
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「緊急なのは確かだな。司令の休みを悠長に待ってる時間はなかった」 「正規手続きを踏め。仕事が早く済んだのは助かったけどな」 ただの脳筋ならよかったのに。 「甘やかしすぎと言ったのは本音だぞ?」 「誰でもお前基準で動けるほど完璧じゃねえよ」 #不知火に落ち度はない
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「腹の探り合いは面倒だ、長門。単刀直入に話せ」 「喧嘩しにいこっ♥」 ついてきた俺がバカだった。 さて、ドアあけてとっとと退散すっか。 時速50km程度しか出てないなら、受け身ぐらい取れる。 あとはタクシーでも呼んで、ビアホールで一杯だ。 #不知火に落ち度はない
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「司令、無茶苦茶すぎだ。せめて次の信号まで待て」 「1分1秒でも同じ空気を吸いたくねぇ」 じゃこ、とドアロックの音がする。 んんー? 長門今もしかして焦った? 「話ぐらい聞こう。緊急と言ったろ」 「そこでお茶目挟んだお前が悪いだろ、今の」 #不知火に落ち度はない
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「とっくに耳に入ってる話だと思ったからな」 いくつか頭の中に浮かぶ案件を拾い集める。 こいつが言ってるのが何か。 思い当たる部分をまとめて、口に乗せてみた。 「軍癒着企業による、集団失踪事件?」 「ご名答」 うわ、一番当たりたくない所正解した。 #不知火に落ち度はない
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「証拠はあるのか」 「ははは、あったら司令を巻き込んでない」 うっわ最悪。 「それにそういう案件は軍の管轄じゃありません。公安のお仕事です」 「そう思ってたんだが、ニュース見てないか司令」 「ああ。だけど嫌な予感しかしてこなくなったな」 #不知火に落ち度はない
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「今日2人ほど刑事が交通事故起こした。飲酒運転で」 「懲戒免職の格好の材料だなー、それ」 現代の闇ここに極まれり。 こうして市民は公安への不信感だけを募らせるのです。 もーやだ、俺ビアホールでからあげクンといちゃいちゃする。 フランクフルトも一緒だ。 #不知火に落ち度はない
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「で、喧嘩かよ」 「ああ。証拠集めに腐心してると、そのうち無かったことにされる」 「怪しい奴を殴って埃を出しましょうか。長生きできねーぞ、そういう考え」 「司令が言うかね?」 うっせ笑うな。 「付き合ってくれるか、司令」 「ビアホール帰りに寄るなら」 #不知火に落ち度はない
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