【アナ雪】アナとチビ九尾エルサ(1-4.5)【パロ】
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【お知らせ】
アナとチビ九尾エルサの1~6はまとめてPixivさんにUPしたぉ。TumblrさんにもUPしてるので、お好きな方で読んでね( ˇωˇ )
アナとチビ九尾エルサ(2)
※マーライオン中
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エルコンちゃん素敵イラストまとめ
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今回は試験的に三人称……っていうか、絵本風味もどきみたいな、そんな感じでできたらいいなーって思ってるぉ。
2014-07-14 00:44:35目を閉じて、意識がぼんやりゆらゆら揺れ始めると色が見えてきます。それは毎回見えてくる色です。 黒とクロと黎と、白と朱と薄紅と、紅い透明と、薄い薄い薄い蒼と、真っ黒の中にぽっかりある薄金色と。それから、赤と黒の中にある不気味なまでに綺麗な金色。 断片的に断続的に見えるそれらに、
2014-07-14 00:52:38あたまのなかのドコかがジリジリ焼ける匂いがします。肉が焼ける焦げる匂いがするような気がしました。赤の匂いがするような気がしました。その匂いが喉の奥から込み上がってきて、気持ち悪くて、痛くて、気持ち悪くて、苦しくて、気色悪くて、悲しくて、痛くて痛くて気持ち悪くて、
2014-07-14 00:55:31黒くて赤くて白くて透明で赤くて黒くて、雪で塗りつぶして、氷で塗り潰して。そうしてカケラとカケラが繋がって、ひとつのピースになります。そこには黒くて赤い金色の影がありました。 ジリジリ、ジリッ、ジジッ……と、耳の奥が痛んで、目の奥がチリチリッ、チリッと焼け焦げました。
2014-07-14 00:59:24金色の影が、紅を開きました。 『やれば出来るじゃない……いい子ね』 白と透明で塗りつぶした赤と黒の中で、その人は……初めて褒めてくれました。 カラダはグチャグチャで、寒くないのに震えていました。 ココロはメチャクチャで、悲しいのかもわからないのに泣いていました。
2014-07-14 01:04:50ただ辛うじて分かったのは、カラダが痛くて、あたまが痛くて、ココロっていうものが痛がってるってことだけでした。 ***** 「っっ!?」 ビクンっと体が飛び跳ねて、子狐は目を見開きます。周りは真っ暗で、開いたばっかりの眼は黒い色しか捉えません。見えなくて怖くて、暗いのは恐くて、
2014-07-14 01:12:45パキリと音がしました。目を凝らすと手の辺りが凍っています。慌てて何かを握っていたグーの手をパーにして話しました。 「ぁ……ぅ……」 ここがドコなのか分からなくて、今が何時なのか分からなくて、幼い九尾の子は小さな口から溜息ともつかない怯えきった声を漏らしました。
2014-07-14 01:16:56ドクドクと胸の内側辺りが鳴っています。呼吸が苦しくて口が渇いて、喉の奥がピリピリしました。 目の焦点が合わなくて、暗闇がねっとりと視界に絡み付いてきます。 暗闇はこわいものです。だって、そこに何が潜んでいるか分からないからです。 (こんしーる、どん、ふぃーる) 口の中で言います。
2014-07-14 01:20:21何度も言います。魔法の言葉を唱えます。 感じるなって。痛みも恐怖も何も感じるなって。何も考えず、何も感じずに、ただ、ただ。 (ただ、おまえは、いわれたとおりに、うごきなさい。おまえは、ただ、いうとおりに、やればいいだけだから) 簡単でしょう?できるでしょう?いい子だもんね。
2014-07-14 01:25:43言われた言葉を思い出します。色んなところが冷えて行く感覚がして、でもカラダは重たくて、ココロというものは石みたいに硬くて重たくなったような気がしました。 重たいような軽いようなそうでもないよう、そんな自分の全部。落ち着いて来ると、真っ黒な闇は真っ黒じゃないと気付きました。
2014-07-14 01:31:00カーテンのスキマから光が入ってきていて、薄ら明るいような気がしてきます。赤い匂いも鼻に感じなくて、くんっと匂いを確かめると、自分の匂いと誰かの匂いと石鹸の匂い。 寒くないような気がして、あったかいような気がして。でもそれが誰かの温もりだって気付くのには少し時間がかかりました。
2014-07-14 01:34:03だって、寝ている時に誰かが傍にいるなんて。ましてや人間が傍にいるなんて有り得ないことだったからです。でも、カラダを包み込んでくる手は、鍵爪が長くて鋭いわけでも、皮膚が岩のように硬いわけでも、角が生えているわけでも、毛むくじゃらというわけでもありません。 人間に化けていたら匂いで
2014-07-14 01:40:32わかります。でもそういうよーかいの匂いはしません。 エルサはぼんやりと不思議に思って、自分のカラダに巻き付いている腕をじぃーっと見ていました。 耳の上辺りから「ぅ~ん」という声が降ってきます。エルサの耳がピルピルと動きます。くんっと匂いを嗅ぐと石鹸の匂い。そこに微かに混じる
2014-07-14 01:43:25誰かの匂い。あの人の匂い。 「……」 エルサは鼻先をアナに近付けて、もう一度匂いを嗅ぎました。石鹸の匂いがして、アナの匂いが嗅ぎ取りにくくなっていました。石鹸の匂いはたぶん良い匂いです。でもエルサは好きでも嫌いでもありません。だけれど、今は不安しか感じませんでした。
2014-07-14 01:45:43くんくんと匂いをかぎます。アナの首筋に鼻先をちょこんと押し付けますが、やっぱり石鹸の匂いばかり。エルサは頭に生えた大きな耳を垂れさせて、しょんぼりしました。違う誰かみたいで少し怖くもなりました。暗いから、余計にこわくなりました。 腕の中からそっと抜け出します。アナが何度か
2014-07-14 01:50:25うんうん唸りましたが、起きてはきませんでした。 エルサは温かな腕の中から抜け出してカラダを起こします。でも、そうしたら自分の手があった所が凍っているのを発見しました。びっくりして悲しくて怖くて、この人を凍らせていないか不安になって、慌てて身を引いたら、
2014-07-14 01:52:41「んん……」 「!」 アナが体を揺らしました。 エルサの耳と尻尾が怯えと焦燥にピンっと立ちます。慌てて枕で凍った所を隠しますが、アナはその枕を抱き締めると、また夢の中へと戻って行きました。 ぐーぐー寝るアナを数秒間息を止めて観察してから、エルサはほっと息を吐きました。でも、
2014-07-14 01:56:02吐いた息が少し白くなっていることに気付いて、ぎょっとします。まわりをキョロキョロ見れば雪がチラついていました。 これじゃあダメだって。こんなのいけないって。エルサはベッドから音も無く抜け出します。 床を裸足で歩くと、薄ら積もった雪と毛の長い絨毯が足の裏をくすぐってきました。
2014-07-14 01:59:21ぺたぺたと歩いて、でも暗いのは恐くてうごけなくなります。探るように耳を動かしてくんくん匂いを嗅ぎますが、暗闇の気配しかありません。 胸の中まで真っ黒く染まって行くような感覚がして、足元がおぼつかなくなります。 耳を垂れさせて、もふもふの九本の尻尾が丸まります。
2014-07-14 02:14:35足の間を通ってカラダの前にきた尻尾をぎゅっとして、エルサはとてとてとソファーのところへ来ました。ぴざっていう食べ物を食べた所です。かすかにチーズとトマトの匂いが残っています。 おなかは別にきゅーっとは鳴いてませんでしたが、なんとなくその場所に身を寄せました。
2014-07-14 02:16:56二人掛けのソファーでしたが、小さな子狐さんにはとっても広い場所でした。ソファーの端っこ、肘掛のある隅っこに尻尾をぎゅっとしたまま身を寄せていると、昼間アナが着せてくれた洋服が目に入りました。ぱーかーです。 エルサはほんのちょっぴりだけ嬉しくなって、そのパーカーに手を伸ばしました。
2014-07-14 02:20:37尻尾をハグしたままパーカーをぎゅっとします。鼻を埋めると、自分の匂いとアナの匂いがしました。少しだけ、安心しました。 でも暗いのは変わっていません。パーカーをぎゅっとしても変わってくれません。こわいのが少しもとれません。 パーカーを被って、ぎゅっとしている尻尾の先端を噛みました。
2014-07-14 02:25:51がぶっと噛むと、犬歯に毛の奥にある肉と骨の感触を感じました。痛い……ような気はしましたが、刺激が合ったが方が視界がくっきりになったような気がしました。ぐっと顎に力を入れると、目の奥がチカチカしました。 がぶがぶと噛んで、顎が疲れるとペロペロ舐めて、また噛んで……を繰り返します。
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