一日目、昼 - 空論限壊

「07/14/22:00」から「07/18/22:00」までの記録です。
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通路

全てのエリアに隣接して存在する初期配置専用エリア。

夜風【七の新月】 @hei_coul

【通路】 甲高い音が響いた。女が目を見開く。 眼前に、拳がある。その感覚が骨を砕いたものではなく空気を打ったものだったので、女は意識を巻き戻す事が出来た。以前にも戦っている最中に気が漫ろになる事はあった。それでも、拳を外した事は無かった。 まして、見知らぬ場所にいた事など無い。

2014-07-14 22:16:39
夜風【七の新月】 @hei_coul

虚空を叩いた拳をゆっくりと引きながら、女は周囲を見回す。片手で摩るように手首を回しながら、呼気を整える。周囲に、細い息を吐き出す音が響く。 それを、吐き切った途端、女はもう一度、拳を虚空に向けて突き出した。 パン、と。乾いた音が響く。踏み込んだ女の靴底は、石畳を小さく砕いていた。

2014-07-14 22:23:40
夜風【七の新月】 @hei_coul

拳に、空気を叩いた感覚が、ある。 「……動く」 確認は、それだけだった。構えを解くと、女は歩き始める。 「体は、動く。問題は無い」 まるで、自分に言い聞かせているような声だった。 「私は、帰らねばならない。私には、まだやらねばならぬ事があるのだ。故、『殺さなければ』。常のように」

2014-07-14 22:28:08
夜風【七の新月】 @hei_coul

【通路】 長い通路を、女は眉間に寄せた皺に指先を宛てながら歩いていた。 それでも、女の足取りは軽い。 何かを忘れているような気がする。女の足を動かしているものは、使命感に似たようなものだった。 「構わない。どうせ、私には、何もない」 誰かを、殺せ。帰る為に。 「――これ以外に」

2014-07-15 10:04:25
夜風【七の新月】 @hei_coul

朧気な回廊。薄暗い通路。暫くを行くと、そこに扉があった。 「……?」 女は、小首を傾げるような仕草で、そのドアノブに手を伸ばす。 この先が何処に繋がっているかなど、女は知らない。 それでも、女に出来る事など、一つしかないのだ。 部屋の内側、戸の開く音がした。 【通路】⇒【当直室】

2014-07-15 10:20:31

通路

新藤静香【六の紅蓮】 @sizuka_al

【通路】 体の節々の痛みとともに、俺は目を覚ます。 それ自体はここ最近では慣れてしまったもんだ。何しろ、ベッドで休める日の方が少ない生活なのだから。 しかし、この景色に関しては、見覚えがない。 無機質な色をした、位置的に俺に近い天井。感覚的には、学校やビルのそれに近い。

2014-07-14 22:29:29
新藤静香【六の紅蓮】 @sizuka_al

まだぼんやりした思考の中で、身体の傷の有無を確認する。幸い、目立った外傷はないらしい。打ち身や小さな痣、それから傷だらけでまともに見れたもんじゃない左腕は、概ね何時も通りだ。

2014-07-14 22:30:08
新藤静香【六の紅蓮】 @sizuka_al

こんな廃ビルじみた建物に連れ込まれたということは、薬か何かを飲まされたか気絶でもさせられたか。だが、どちらにしても拘束されていないことが不可解だった。 周囲を見回す。視界に人の姿は映らない、が――誰かがいるのだろうと肌で感じた。恐らく複数の人間が、この生活感の感じられない空間に。

2014-07-14 22:31:21
新藤静香【六の紅蓮】 @sizuka_al

両腕を振って、両足で地面を叩く。どちらもまともに動く。掌が空を切る感覚に爪先に感じる地面の堅さにも、痺れじみたものは交っていない。頭には寝起きじみた眩暈が住み着いているものの、行動に支障を来す程じゃない。

2014-07-14 22:40:46
新藤静香【六の紅蓮】 @sizuka_al

じゃあ、何でこんな場所に? 最後の記憶を引きずり出そうとして、鋭い頭痛を感じて思わず頭部を押さえた。 「……なんだこれ。昨日の晩飯でももっとはっきり思いだせるだろーが」 ここに来る直前に何があったのか、その辺の記憶の映像が輪郭を失ってぼやけている。“何かあった”ことは間違いない。

2014-07-14 22:43:38
新藤静香【六の紅蓮】 @sizuka_al

十秒ほど思考したのは、まだ脳ミソが覚醒しきっていないからだ。 身体がどうなっていようが、今がどういう状況だろうが、動くしかない。借りに俺が拉致されたなら、ぼやぼやしている間に犯人サマが獲物を揃えてやってくるだろう。ここが何処なのか、ここからどうやって逃げるか、調べる必要がある。

2014-07-14 22:51:16
新藤静香【六の紅蓮】 @sizuka_al

俺はカッターナイフを右手に握る。事務用品としてよくコンビニで売っているような安物じゃない、重厚な奴だ。きりきりと鳴いて、刃が伸びる。 この場所についての情報はなさすぎるが、これで何もしないよりはよっぽどマシだろう。

2014-07-14 22:56:18
新藤静香【六の紅蓮】 @sizuka_al

直観が、ここは俺の知る場所じゃないと囁く。俺はそりゃそうだろうと思考する。俺の知る世界じゃないと、重ねて囁く声は黙殺した。 エリア移動>『住居』

2014-07-14 22:57:42

通路

ライハーネフ(四の新緑) @alterna_green

【通路】 不意の明るさに反射的に目を瞑る。 地下世界にも逢った灯りのか細い揺らめきとは違う、全身を優しく包むようであり、全身を刺すような光。 閉じた瞼を通しても分かる明るさ、肌に刺さるようなこそばゆさに、笑みが零れた。 まっすぐに立っていられなくて、こらえきれぬように身を捩る。

2014-07-14 22:37:56
ライハーネフ(四の新緑) @alterna_green

「――あはっ」 口からも笑い声が漏れた、意図せぬ笑いは久しぶりかもしれない、そんな事を思える余裕が出来た時。 足元で小さく軽い音が聞こえて少女は伏せた瞼をようやく開く。 そこは今までいた土壁の世界とも、かつて暮らしていた石を切り出した家屋とも違う、無機質な空間。

2014-07-14 22:40:43
ライハーネフ(四の新緑) @alterna_green

似たような風景が連なり、似たような窓からは光が差し込む、そんな空間。 その光景に翡翠色の瞳を見開き、しかし、すぐに視線を落とす。音の方へ。 白の手袋を嵌めた両手には一抱えの土塊がある。 音は自分が笑った対価として床に毀れた一部。 滑らかな、しかし雑多な床には黒い土が落ちている。

2014-07-14 22:45:08
ライハーネフ(四の新緑) @alterna_green

「――ごめんね、落としたりして」 謝罪は自然に口から出た。 その場にしゃがみ込むと、膝に出来た空間に抱えていた土を片手を添えて載せる。 衣が汚れるのを厭わずに空いた手で床に落ちた土塊を拾う。 床には様々なものが散らばっており、ただ生気が感じられない。 あの世界よりも明るいのに。

2014-07-14 22:49:16
ライハーネフ(四の新緑) @alterna_green

「寂しい所、誰かいないのかな」 最後の一欠けらを摘み、膝の上で抱えて一息。 どれくらいの時間を使ったかもわからないが、それでも誰もここに来ることはなかった。 此処は詰まらない。花を育てる花壇も無ければ、命を育む土もない。 でも、と座り込んだ少女は顔をあげる。 壁に並ぶ窓の向こう。

2014-07-14 22:54:54
ライハーネフ(四の新緑) @alterna_green

そこは灰色に覆われた空がある。 生者を焼き払う昼の空でも、生者を凍てつかす夜の空でもない。曖昧な空。 されど厚い雲に遮られても尚、光で世界を照らす。無害な空。 「不思議、空を見上げて死なないなんて」 言って土で塗れた指先で膝上の土塊を撫ぜる。 「君は、ここでならどう咲くのかな」

2014-07-14 23:00:42
ライハーネフ(四の新緑) @alterna_green

双眸が淡く翠の光を帯びて、顔に笑みが戻る。 膝の上の土塊を纏めて、両手で抱えると、よしっ、と一声。 「大丈夫、寂しがらないで、きっとここにもお友達がいるよ。私が言うんだもん、間違いないよ」 両手の土塊に顔を寄せ、あやすような声色で。 「まずは君が落ち着ける場所を見つけなくちゃ」

2014-07-14 23:07:53
ライハーネフ(四の新緑) @alterna_green

いこ、その声には気負いも戸惑いもない。 土と共に生きた聖女は、無機の通路を往く。 ◆移動【通路】 ⇒ 【倉庫】

2014-07-14 23:12:33

通路

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