ライスのアニメ感想:#199 借りぐらしのアリエッティ
- terry_rice88
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見終わっての第一印象としては「結末はそのままにハッピーエンドとして趣を変えた風の谷のナウシカ」というのが思い浮かんだ。 小人=風の谷の民 人間=巨神兵(=神) この構図で借りぐらししてる家と周りの庭が腐ってない腐海なのよね、だから庭は色鮮やかな花が咲き誇っていると。
2014-07-18 23:13:00さらには翔とアリエッティの関係はそのまま「漫画版ナウシカにおける巨神兵(オーマ)とナウシカ」。けど、翔の方にはアスベルやもののけ姫のアシタカとかが混じっているように思う。だからまあ、擬似親子関係だったオーマとナウシカとは違って、少年少女の関係ではある。
2014-07-18 23:17:24アリエッティの方もナウシカのような芯の強さがあるわけじゃなくて、女性としての側面と、狩りを手伝う男性的な面が本編でフィーチャーされて、そこが「少女性の揺らぎ」として描かれているんだと思う。ここは少女に永遠を見出す宮崎駿監督とは異なった視点。
2014-07-18 23:19:59だから、翔とアリエッティのパーソナルカラーもそこのニュアンスが出ていて、ナウシカと照らし合わせてみると分かりやすい。アリエッティは行動するとき、赤いワンピースを着てるし、翔はほとんど「青い服」を着ている。でも結果としてアリエッティはナウシカのように「青き衣の者」にはならなかった。
2014-07-18 23:23:12そう考えると「世界の命運を背負わない(えない)女性として生きるナウシカ」と言う像をアリエッティがしょっているようにも思うんだよね。生き延びるために行動するけど、女性としての一線は踏み越えない。明日を生きるためには戦う、けど滅び行く種族としては運命を背負えないっていう。
2014-07-18 23:26:39そう見ていくと、ジブリアニメとしての「借りぐらしのアリエッティ」の真価が見えてくるんじゃなかろうかと。「世界に絶望する巨神兵としての翔」と「滅び行く運命にありながらも、明日を生きる希望を手繰り寄せようとするアリエッティ」の構図があって、翔がアリエッティに引き寄せられるという。
2014-07-18 23:30:51アリエッティもアリエッティで「家を人間に見つけられてしまった」ことに厳罰的なのも、逆説的に見れば、「英雄的な行動を起こしたことで災いを引き寄せてしまったナウシカの原罪」なのではないかというような見方も可能だよね。
2014-07-18 23:34:33「風の谷を背負っていく亡国の姫君」という義務が無い素の状態のナウシカが、元気な性格のアリエッティだと考えると面白い。
2014-07-18 23:36:53だからまあ、「借りぐらしのアリエッティ」を見ていると、内面的というか構造的には「風の谷のナウシカ」を突破しっちゃってるようにも感じられる。あと翔を中心とする人間の話は彼のパーソナリティの裏づけであって、特に物語の根幹と大きく関わるものではないのも付け加えておく。
2014-07-18 23:41:04アリエッティたち小人からすれば、翔たち人間は「脅威」であり「近寄りがたいもの」であって、この構造はまさしく「神」そのもの。で、その「神の気まぐれ」で住む場所を終われるっていうのも、非常に神話的というか。火の七日間で巨神兵に蹂躙された人間と構図は一緒だと思う。
2014-07-18 23:43:35また翔は「心臓に疾患を抱えている人間」として描かれていて、「不完全な巨神兵」でもあるんだよね。だからこそ、アリエッティと関わることになる。漫画版の巨神兵(オーマ)もまた、完全な状態からは付加していないけど、ナウシカと擬似親子の関係になってともに戦うことになる。
2014-07-18 23:45:59その裏づけとして、印象的なカットが存在してる。ホミリー(アリエッティの母)がハルさんに捕まり、翔とアリエッティが協力し合うシーンで翔はアリエッティを自分の肩に乗せる構図。漫画版ナウシカでも、オーマが肩に乗せた場面が確かあったはず(間違ってたらすみません)で、それのリフレインだろう
2014-07-18 23:50:02そういう辺りや、最終的に翔がアリエッティに触発されて、生きることに希望を見出す辺りも、漫画版ナウシカのデトックスになってて、面白いよなあと思ったのでした。
2014-07-18 23:52:55あとなんだかんだで「揺らぎのある少女」と言うところで見ると、米林監督が関わったアニメ作品「serial experiments lain」の影響も少なからずあるんだろうとにらんでます。あれは実存と虚実の間で揺れ動く少女のお話ですからねえ、「少女が揺らぐ」事については同一かと。
2014-07-18 23:55:31結論としては、少女の絶対性と永遠性を兼ね備えたナウシカを「少女が揺らぐ」ということで、突き崩してしまったと言う点では意義深い作品だと思うんですよ、「借りぐらしのアリエッティ」。作品規模やスケールの小ささは当然のごとく、負い目と言うか弱点としてあるんだけど。
2014-07-18 23:58:07でも視点がミクロになったことで、ナウシカのマクロさを絶対的なものでないし、ありえないよねとしたのは凄いと思う。セカイ系物語を否定した日常系物語だったんだと思う。
2014-07-19 00:01:18という感じの雑感を得た今夜の金曜ロードショーでした。まあ、ハルさんは宮崎駿監督なんだろうなとも思ったけど、そこら辺の言及は避けておくw どちらにしてもターニングポイント的作品だったと思いますが、それが物語の表層として現れてないのが惜しいところであり欠点だと思います。
2014-07-19 00:11:24思い出のマーニーを見るにあたって、いい予習になりました。でも見に行くのは、しばらくしてからの方がいいかな。宮崎駿監督のやらなそうなことをいっぱいしたと明言してますし、そこを楽しみにしたいところです。
2014-07-19 00:12:52