馬場あき子さん講演【黒川能から見える日本】

2014/7/20@山形県鶴岡市・櫛引公民館。 鶴岡市櫛引地区に五百年に渡って受け継がれている伝統芸能「黒川能」。短歌界の第一人者・馬場あき子さんは、昭和40年代から黒川に通い詰め、黒川能とこの地域を愛してやまない。 昭和3年生まれなんてとても信じられない、生き生きとした声音と語り口。1時間半たっぷり語ってくださいました!面白かった〜♪
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田中宏@鶴岡市議、音楽家 @tanaka_hiroshi

黒川能保存伝承研究会、歌人の馬場あき子さん講演に惹かれて参加。櫛引公民館にて。 instagram.com/p/qqSnURzdSd/

2014-07-20 14:16:20
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田中宏@鶴岡市議、音楽家 @tanaka_hiroshi

黒川能保存伝承研究会、櫛引東小学校児童による仕舞「高砂」「石橋」でスタート。夏の風物詩【水焔の能】にも毎年出演し、五百年の伝統芸能をしっかり継承してくれています! #鶴岡市 vine.co/v/M2zezdbJ9WB

2014-07-20 14:22:02
田中宏@鶴岡市議、音楽家 @tanaka_hiroshi

馬場あき子さん:昭和42年に水道橋で観た時にノックアウトされた。黒川能の演者たちの拝礼は、観客にではなく、春日の神様に「これから演じさせていただきます」と挨拶をしている。私たちの礼は粗雑になっている。黒川能では呼吸で礼をしているので、深く丁寧。

2014-07-20 14:30:30
田中宏@鶴岡市議、音楽家 @tanaka_hiroshi

馬場あき子:真壁仁の 「黒川能 ―農民の生活と芸術― 」を読んで感銘を受け、黒川に通い詰めるようになった。昭和49年2月の王祇祭、王祇様を迎える老人たちの敬虔な姿が印象的。

2014-07-20 14:36:55
田中宏@鶴岡市議、音楽家 @tanaka_hiroshi

馬場あき子:王祇様は神か、仏か? 日本人の中には、神と仏は一緒に住んでいる。いくら廃仏毀釈で仏を壊しても、心の中の神と仏を切り離すことはできなかった。

2014-07-20 14:40:47
田中宏@鶴岡市議、音楽家 @tanaka_hiroshi

馬場あき子:戦後、幽霊の出る2DKの住宅に暮らした。問題は、仏壇と神棚を置く場所がないこと。多くの日本人は2DK住宅によって、先祖と神仏を捨て、「軽い人間」になっていったのではないか。

2014-07-20 14:43:27
田中宏@鶴岡市議、音楽家 @tanaka_hiroshi

馬場あき子:黒川では当たり前の多世代同居、大家族の暮らしは人間を知る上で非常に重要。核家族化で、近所づきあい、親戚づきあいが下手な人が日本中に増えてしまった。

2014-07-20 14:46:28
田中宏@鶴岡市議、音楽家 @tanaka_hiroshi

馬場あき子:金春禅竹の「翁」論は、まさに黒川の「翁」そのもの! 久遠の昔からこの世におられた存在。過去から未来に渡っている、時空を超えて私たちを守っている。常に私たちの傍らに、見えないけれど慈悲の心に満ちて立っている。翁様こそ大地。東京で演じられる翁様は、もう翁様ではない。

2014-07-20 14:53:53
田中宏@鶴岡市議、音楽家 @tanaka_hiroshi

馬場あき子:東京の能楽堂で聞く王祇様は立派かも知れないが、威圧的。黒川の雪の中で聞く王祇様はどこか懐かしく、あたたかい。最後に「天下太平、国土安寧」を祈る。明治以降の「国家」ではなく、「国土」なのが極めて重要。

2014-07-20 17:04:44
田中宏@鶴岡市議、音楽家 @tanaka_hiroshi

馬場あき子:黒川能から見える日本。祈りを忘れた日本人が、ガタガタの現代を作ったのではないか。

2014-07-20 14:55:42
田中宏@鶴岡市議、音楽家 @tanaka_hiroshi

馬場あき子:ペラペラの「身分証明書」で、私たちは何を証明しているのか。黒川では、どの家にも家の名前がある。親がつけてくれた自分の小さい名前は消えて、代替わりしても表札を変える必要がない。田舎には、ムラには、暮らしへの祈りと、人間への懐かしさがある。孤独死への恐れがない。

2014-07-20 14:59:17
田中宏@鶴岡市議、音楽家 @tanaka_hiroshi

馬場あき子:伝統芸能が持っている力。日本中のムラから都会に出稼ぎに出た結果、過疎化して潰れたムラがたくさんある。黒川でも多くの男たちが出稼ぎに出たが、戦後忌み嫌われた「宮座」などの繋がりのおかげで、ムラは守られた。

2014-07-20 15:02:46
田中宏@鶴岡市議、音楽家 @tanaka_hiroshi

馬場あき子:新潟では昭和20年8月15日の夜、盆踊りをして死者を弔った村があるという。昭和20年にも昭和21年にも、黒川では王祇祭を欠かすことはなかった。国策よりも、伝統や先祖とのつながりを大切にすることは自然。東京ではあらゆる遊興が禁止され、女子は三交代で旋盤を回していた頃。

2014-07-20 15:08:30
田中宏@鶴岡市議、音楽家 @tanaka_hiroshi

馬場あき子:黒川能に通い詰めての収穫は「脇能」をたくさん観られたこと。昭和20年代は、GHQへの遠慮もあってか、東京では脇能は上演されていなかった。

2014-07-20 15:12:12
田中宏@鶴岡市議、音楽家 @tanaka_hiroshi

馬場あき子:能「難波」の面が好き。図録の写真は照明が良すぎて明るいが、神社の灯りで見ると真っ黒な顔に金の歯が覗く。服従しているようで不服従! たくましい農民の姿を映している。

2014-07-20 15:17:17
田中宏@鶴岡市議、音楽家 @tanaka_hiroshi

馬場あき子:文言は言葉だけでは言葉に過ぎない。謡の力、声の力。受け当屋の老人を前に、心をこめて謡われた「高砂」を聴いて、涙が出た。黒川の敬老精神に感動。今の老人はインテリ臭いが、昔の老人のように日本酒で酔っ払って、エロ話を喋りまくって、若者から嫌われるのも厭わない姿に憧れている。

2014-07-20 15:24:12
田中宏@鶴岡市議、音楽家 @tanaka_hiroshi

馬場あき子:黒川の女性は下働きばかりで、一度も黒川能を見たことがない人も多かった。男性は演技や舞台準備で忙しい。女性は、黒川能の上演前に解説する係を目指してほしい!

2014-07-20 15:28:19
田中宏@鶴岡市議、音楽家 @tanaka_hiroshi

馬場あき子:黒川能の歴史、暦、王祇祭の成り立ちetc. などに精通した女性解説者の登場を期待する。「悪尉」(あくじょう)の面が好き。悪=強いこと。老翁だが、強く、不服従の意志をよく表した面。

2014-07-20 15:33:59
田中宏@鶴岡市議、音楽家 @tanaka_hiroshi

上野由部氏:祖父も真壁仁先生が通ってきて1週間は口をきかず。腹を割って話し出したのは1ヶ月後。昔の先輩たちは「学者は盗んでいくばかり。わからないように、庄内弁でしゃべれ」と。

2014-07-20 15:47:51
田中宏@鶴岡市議、音楽家 @tanaka_hiroshi

馬場あき子:黒川の魅力は王祇祭だけではない。春、バンケ(ふきのとう)が萌える頃の「門笛」も実にいい!

2014-07-20 15:51:09
田中宏@鶴岡市議、音楽家 @tanaka_hiroshi

馬場あき子:「鬼」の本質は、祖先の魂が還ってきた存在。翁と同様。元の漢字にはツノがなく、上は「田」だった。平安時代になり、六条御息所など、心の中の「鬼」が登場。

2014-07-20 15:55:28
田中宏@鶴岡市議、音楽家 @tanaka_hiroshi

馬場あき子さん、80代半ばとは思えぬ生き生きとした語り口。溢れるユーモアに、終始会場は笑いに包まれていました。

2014-07-20 16:02:30
田中宏@鶴岡市議、音楽家 @tanaka_hiroshi

馬場あき子「黒川能の里 - 庄内にいだかれて」より:月山の麓しんしん霜夜にて動かぬ闇を村といふなり稚児寿詞牛馬六畜家々に満てよと唱ふどつとなつかし王祇祭雪のあけぼのいくたびか澄みきはまりて見し母狩山

2014-07-20 16:09:10
田中宏@鶴岡市議、音楽家 @tanaka_hiroshi

馬場あき子「黒川能の里 - 庄内にいだかれて」より: 軽妙の笛ひびきゐる耳底に魚遊び花開き田打風吹く神遊びきけばほのけし追い鳥の声の風なす鼓打つなり

2014-07-20 16:09:04