ヨウジョスレイヤー第一部▼ギンイチ・アンド・オブジェ・ロリータシッター▼

あいつも幼女だったんだ
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氷泉白夢 @hakumu0906

▼プランがないプラン▼ ▼かつ即興▼ ▼さらに適当に▼

2014-03-09 19:35:22
氷泉白夢 @hakumu0906

ヨウジョスレイヤー、第一部 ▼ギンイチ・アンド・オブジェ・ロリータシッター▼

2014-03-09 19:39:03
氷泉白夢 @hakumu0906

(これまでのあらすじ:ハイスクール生徒ギンイチはある日、ゲイシャパンクス少女に助けられる。紆余曲折あり、彼女と共にパンクス達の集うバー、「ヨタモノ」へ行く約束をすることとなったが……?)

2014-03-09 19:42:23
氷泉白夢 @hakumu0906

ギンイチは、ゲイシャパンク少女、イチジクとの初めてのデートを心待ちにしていた。いや、焦りすぎはよくない、かの消しゴム事件で学んだはずだ、短気は損気、古事記にもそう書いてあった気がする 1

2014-03-09 19:46:05
氷泉白夢 @hakumu0906

そう、これはデートではなく、ただ出かけるだけなのだ。そもそも自分は「ヨタモノ」がどういう場所なのかもよく知らないではないか、デートはやはり自分がエスコートを、いや、だから焦りすぎるな……ブッダ!彼は緊張のあまり待ち合わせ場所に早く来すぎて余計な事ばかり考えてしまっているのだ! 2

2014-03-09 19:47:58
氷泉白夢 @hakumu0906

その時だ、ギンイチにひとりのヨウジョが近付いてくる、髪は長くぼさぼさで、たくさんのポケットのついたぶかぶかのコートを着ている。「アー……」「……?」ギンイチは訝しんだ。このような場所に、ヨウジョが? 3

2014-03-09 19:51:46
氷泉白夢 @hakumu0906

「アー……私、迷ってしまいました……ここはどこでしょう……アー……お兄さん、わかりますか」ギンイチは、すぐには自分の事だとは思わなかった。しばらくした後、もう一度声を掛けられはじめて気がついた。「ど、どこ?どこって……」「アー……迷子……とても困ります……」 4

2014-03-09 19:54:00
氷泉白夢 @hakumu0906

「迷子になった事が知れたら……私、怒られてしまいます……お尻を叩かれるかもしれません……アー、いい、たまらない……」ギンイチは直感した。このヨウジョは、何かが危険だ。もしや噂に名高い、ソウカイ・エレメンタリースクールの生徒かもしれない 5

2014-03-09 19:56:57
氷泉白夢 @hakumu0906

関わらない方がいい。そうでなくとも今日はイチジクとデートなのだ。いや、デートというのはやはり少しまだ早いか……いや、それはともかく。この大事な日に、ソウカイ・エレメンタリースクールのヨウジョに絡まれるというトラブルがあってはいけないのだ。 6

2014-03-09 20:00:27
氷泉白夢 @hakumu0906

ソウカイ・エレメンタリースクールのヨウジョは、問題児ばかりであり、また非常に強い。その力は大人を軽く凌駕し、一般人の3倍の速度で走るようなヨウジョがごろごろしているのだ。分校のアマクダリ・エレメンタリースクールやザイバツ女学院などに並ぶ恐るべき学校なのだ 7

2014-03-09 20:03:11
氷泉白夢 @hakumu0906

「あ、あ……困りました……私、一人では帰れないかもしれません……おなかもすきました……このままでは飢え死に……あーいい……それもまたたまらない……」ヨウジョがよだれをたらしながらねくねと動く。仮にソウカイ・エレメンタリースクールの生徒でなかったとしても危険すぎる 8

2014-03-09 20:07:34
氷泉白夢 @hakumu0906

「あー……助けてもらえませんか……私、どうすればいいか……」しかし、おお、ナムアミダブツ!ギンイチは聞いてしまったのだ、その言葉を。このマッポーの世で助けを求めるヨウジョの声を無視した事が広まれば最悪ムラハチである、なんとしてもそれは避けねばならなかった。 8

2014-03-09 20:11:26
氷泉白夢 @hakumu0906

ギンイチは思案した。まずはこのヨウジョにはダガー・カシ(駄菓子の事と思われる)を与える、その後はマッポに引き取ってもらおう。そして速やかにこの待ち合わせの場所に戻る。時間にはまだまだ余裕がある。十分に間に合うはずだ。 9

2014-03-09 20:15:23
氷泉白夢 @hakumu0906

「わかった、なんとかするよ、まずはあの店でダガー・カシを買おう」「ああー……助かります……私、アゴニィと申します……名札、出しましょうか」「いや、いいよ」本当にソウカイの小学生だったらと思うと、恐怖でしかない。ギンイチはその申し出を断った。 10

2014-03-09 20:19:18
氷泉白夢 @hakumu0906

やるとなれば急がねばならない。待ち合わせの事もあるが、このマッポーの世には恐ろしい要素が多すぎる。具体的にはショウジョ・ウチコワシやアリス天狗等だ。可能性は低いものの彼らに見つかるような事があればこのろくでもない自体がさらにろくでもないこととなるだろう。 11

2014-03-09 20:24:54
氷泉白夢 @hakumu0906

「アアー……ええと、私、おまんじゅうが欲しいです……」「わかった」ギンイチは手早くおまんじゅうを買うとアゴニィに差し出した。「ああー……おまんじゅう……はるかにいいです……」こうしてみればやはり普通のヨウジョである、ソウカイといえども恐れる事はなかったか。しかしその時だ 12

2014-03-09 20:29:38
氷泉白夢 @hakumu0906

「あー……おまんじゅう、私、もっと楽しみたいです……!」アゴニィはぼさぼさの髪を振り乱すと大量のポケットから大量のタタミ針を取り出し、それをおまんじゅうに突き刺し始めたのだ!「アイエエエエ!?」その異様な光景にギンイチは思わず叫ぶ! 13

2014-03-09 20:33:29
氷泉白夢 @hakumu0906

「お、おぶじぇ!」アゴニィは恍惚とした表情で叫ぶ!おまんじゅうはまるでハリネズミかイガグリのようだ!「な、な、なにを……」「ああー!」アゴニィはひとしきり針を突き刺し終えると針を引き抜き全て几帳面にしまった後、おまんじゅうを一飲みにした 14

2014-03-09 20:37:45
氷泉白夢 @hakumu0906

何かとんでもないものを見たような気がした。まるで全てが夢のようであった。「い、一体何を……」「ああー!これをすると、とても、気持ちいいんです!わかってください!」アゴニィはよだれを垂らし、息を乱しながら顔を紅潮させる! 15

2014-03-09 20:43:08
氷泉白夢 @hakumu0906

その叫び声に周りの人間たちが一斉にこちら見る!これではギンイチがこの台詞を言わせているようではないか!「アイエッ、こ、これは違うんです」「あー!いいー!」ギンイチはすぐさまアゴニィを連れてその場を逃げ出した。これでは本当にやましいことがあるようではないか!ギンイチは後悔した 16

2014-03-09 20:49:23
氷泉白夢 @hakumu0906

もう十分だろう。彼女をマッポに連れていこう。そしてヨタモノで全てを忘れよう。そんな事を考えながら、ギンイチは違和感を感じ、一度振り返る。アゴニィがいない。少し探すと、公園にアゴニィを見つけた。目の前には野良犬、そして手に持つタタミ針!ギンイチは慌てた。まさか。いやまさか。 17

2014-03-09 20:58:32
氷泉白夢 @hakumu0906

「お、オブジェ!」「待っ……!」アゴニィは、ポケットからフェルト布を取りだすとタタミ針で素早く犬のカワイイオブジェを作り出す!ワザマエ!「……あー……お兄さん、すみません、カワイイ犬を見つけた物でつい」ギンイチはへたりこんだ。 18

2014-03-09 21:04:05
氷泉白夢 @hakumu0906

「あー、お兄さん……これ、私、あげます」アゴニィは犬のオブジェをギンイチに手渡す。「え……」ギンイチは驚きながら犬を受け取る。「あー……おまんじゅうと、助けてくれたお礼です……あ、名前いりますか」「い、いや、いらないよ」 19

2014-03-09 21:10:16
氷泉白夢 @hakumu0906

ギンイチはこの子を厄介者だと思っていたことを、少し後悔した。マッポに引き渡すより、真剣に行きたい場所を探してあげようか……しかし「ああ……時間が」あれほど余裕のあったはずの時間が、もうすぐ近くまで来ていたのだ。 20

2014-03-09 21:15:02