- chrishna_c2
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「今日はどの服を着ていこうかしら」 初風だけど。制服は、いま着ているこれの他に30着のスペアを持ってる。 某アイスクリーム屋さんじゃないけど、同じ服を二日も続けて着て行かないのが私のセオリーだ。 #お好み焼き屋浜風
2014-07-23 20:15:26選んだ一着の制服に袖を通すと、不意に妙高姉さんに頭なでなでされた時のことを思い出す。 「えへへ……」 姉さんの手のひらのぬくもりと感触を思いだし、ついつい頬が緩んでしまう。 #お好み焼き屋浜風
2014-07-23 20:16:26……はッ!? 前髪ぱっつんが特徴で、叢雲とキャラかぶってると提督たちに言われても負けない、陽炎型一のクールビューティを目指すこの私が。 妙高姉さんのことを思い出すだけでなんてザマよ。 #お好み焼き屋浜風
2014-07-23 20:17:45衝動的に私は手にした機銃の引き金を引き、思うさま部屋中に銃弾をぶっ放す。 「URARARARARARARA!」 弾切れを起こしたマガジンを手馴れた動作でいれかえ、機銃の中に詰まった弾という弾を掃射掃射掃射!! #お好み焼き屋浜風
2014-07-23 20:20:02「はぁ、はぁっ、はぁっ……」 ようやく気持ちが収まってきたころ。 天井や壁のいたるところに弾丸の直径ほどのサイズの風穴が開き、まるで穴あきチーズのような模様を描いていた。 ……今夜は涼しい夜になりそうね。 修繕費用、いくらかかるのかしら? #お好み焼き屋浜風
2014-07-23 20:21:29やってしまったことは仕方ない。私は気を取り直す。 今日こそはがんばって、妙高姉さんにごめんなさいって言うんだ。 「がんばれ♥がんばれ♥」 妖精がなにか囁いてた気がするけど、そこは気にしないことにする。 #お好み焼き屋浜風
2014-07-23 20:24:39鎮守府をうろうろ歩いていると。 タイトスカートが特徴的な、紫と黒を基調とした軍服。 妙高型のトレードマークが見えた。 「だーれだっ!」 こっそり背中から近づき、両手で目隠しする。 もう。そんな黄色い声で驚いちゃって。 妙高姉さんったら意外と可愛いんだから。 #お好み焼き屋浜風
2014-07-23 20:27:21「っきゃああああああああああああああ!?」 妙高姉さんだと思っていたのは、実は妙高姉さんの妹で妙高型4番艦の羽黒だった。 叫び声を聞きつけたのか、タッタッタッと軍靴の鳴る音が聞こえてくる。 #お好み焼き屋浜風
2014-07-23 20:31:18「羽黒にちょっかいを出すのは誰かと思えば。先日は君の妹殿の店でご馳走になったな」 やってきたのは妙高型2番艦の那智さんだった。 妙高姉さんとは別の意味で貫禄と威圧感があるひとだ。 私は蛇に睨まれた蛙のように、ダブルの意味で固まってしまってる。 #お好み焼き屋浜風
2014-07-23 20:32:33「もう那智姉さんったらそんなに怖い顔をして。この子すっかり緊張しちゃってるわよ」 「すまない。これでも普通にしているつもりなんだが……」 那智さんを嗜めるのは、妙高型3番艦の足柄さんだったかしら? 妙高姉さんを除いた、4姉妹の3人が一堂に揃ったことになる。 #お好み焼き屋浜風
2014-07-23 20:34:39「いえ……大丈夫です。どうやら人違いだったみたいですし」 初対面の時からうっすら感じていたことだけど。 この子には、4番艦の羽黒にだけは負けたくないと思った。 なんでだろう……直感? しいて言えば、私が嫌いなタイプの匂いのようなものを感じとったから。 #お好み焼き屋浜風
2014-07-23 20:39:33「そういえば妙高姉さんと初風ちゃんって…」 「ああ。それは私も思っていた」 え、え、ひょっとして、いきなり私と妙高姉さんの関係を認めてくれる流れ? 話の続きを聞きたくて、うずうずしながら聞き耳をそばだてた。 「まるで親子みたい」 おっ、親子じゃないもん! #お好み焼き屋浜風
2014-07-23 20:41:47「妙高姉さんの娘なら、私達にとっては姪ということになるな」 「こんなに可愛い姪なら、私も大歓迎です」 ちょ、まて、こら、そんなそこかしこに身体をいじるな。 こしょばいからやめなさいってば。 「ほーら、高い高ーい」 だから子供扱いしーなーいーでー! #お好み焼き屋浜風
2014-07-23 20:43:35「じゃ、じゃあ、私が姪っこなら貴女たちはさしずめ“オバサン”と言ったところかしら?」 反撃の瞬間あたりの空気が凍りつき、三人が三人ともうつむき加減になる。 ふふふ。効いている。効いているわ。 #お好み焼き屋浜風
2014-07-23 20:45:14「初風ちゃんのツンツンした目でそんなことを言われると、なんだかゾクゾクしちゃう!」 あれ? 羽黒さんなんか喜んでます? 「言って。もっとキツく睨みながらオバサンって言って!」 うわ、このひと筋金入りだ。 #お好み焼き屋浜風
2014-07-23 20:47:02ていうか。 重巡3隻を相手に駆逐艦が1隻じゃ頭が上がらないどころか、どんなに逆立ちしても勝てっこないし。 頭なでなでされると抵抗できなくなっちゃうし。 そういうところは、さすが妙高姉さんの実の妹って感じがした。 ……怖い……怖すぎる妙高型姉妹……。 #お好み焼き屋浜風
2014-07-23 20:48:27あの3人から散々もみくちゃにされたあと、執務室で。 「まるで仲のいい家族みたいだね」 ってダメ提督が言った。 とりあえず提督がいる執務室に、ありったけの魚雷を撃ちこんでおいた。 #お好み焼き屋浜風
2014-07-23 20:49:29「……で、この私に助力を請いに来たと?」 金剛型戦艦4番艦の霧島さん。 提督の参謀役として、艦隊の頭脳として鎮守府の最前線で戦ってる方。 適確な状況判断で艦隊を勝利に導いている話は駆逐艦の私でも耳にするくらいだ。 そんな艦娘のところに、私は訪ねに行った。 #お好み焼き屋浜風
2014-07-23 21:04:32才色兼備と呼ぶべき目鼻の整った知的な美貌と、洗練された身体のライン。 艦娘としても女性としても、幼児体型もいいところの私がたとえ何人目の初風だったとしても、きっとなにひとつ敵わない。 そんな霧島さんを前に、私は緊張の面持ちでごくりと喉を鳴らす。 #お好み焼き屋浜風
2014-07-23 21:09:27本当なら雲の上のひとなんだけど、切羽詰まった私は思いきってお願いにやってきた、というわけで。 「うーん……戦況分析は得意なんだけど、あいにく色恋沙汰には疎いの。残念だけど貴女の力になってあげられそうにないわ」 予想通り霧島さんからそっけない返事が返ってきた。 #お好み焼き屋浜風
2014-07-23 21:11:33「もちろん、タダでとは言わないわ」 戦艦を相手に駆け引きなんて通用するとは思ってないけど、ここで引き下がるのはもっと嫌だった。 だからスカートの中に手を入れて、この時のために用意しておいたアレをゴソゴソと取り出す。 #お好み焼き屋浜風
2014-07-23 21:12:41「妹の浜風からもらった特別招待券よ。これを使えばタダでお好み焼きが食べ放題」 「なんですって!」 瞬間。それまで乗り気じゃなかった霧島さんの眼鏡が鋭く輝く。 私の肩をガッシリつかみ、全力で協力してあげるわと目線で訴えていた。 このひとも色気より食い気か。 #お好み焼き屋浜風
2014-07-23 21:15:05