「ユダヤ国家」に抗うユダヤ人 ― ボヤーリン兄弟におけるディアスポラ主義と反シオニズム

【関連図書】 ・ジョナサン&ダニエル・ボヤーリン『ディアスポラの力――ユダヤ文化の今日性をめぐる試論』(赤尾光春・早尾貴紀訳、平凡社、2008年) ・赤尾光春・早尾貴紀編『ディアスポラの力を結集する ―ギルロイ・ボヤーリン兄弟・スピヴァク』(松籟社、2012年) 【関連まとめ】 続きを読む
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直立演人 @royterek

「今年(2003年)のユダヤ暦新年に、バークレーの私が通うシナゴーグの階段で、私は『モスクで祈るがいい』などと言われたが、ここまであからさまでないにしても、こうした類いの罵声は、ユダヤ人たちが別のユダヤ人たちから日常的に浴びせられている」ダニエル・ボヤーリン『我が愛を審問する』

2014-07-24 18:32:17
直立演人 @royterek

「私は自分の置かれた境遇を美化するつもりはない。苦しんでいるのは私ではないのだし、私の個人的な苦しみは周縁を生きることの苦痛であって、それもまた特権を享受していることなのだから。」

2014-07-24 18:34:22
直立演人 @royterek

「それ以上にこたえるのは、一つの伝統が、生涯を捧げた我がユダヤ教が、道徳的に崩壊していく様を目の当たりにせねばならないがゆえの苦痛である」

2014-07-24 18:34:30
直立演人 @royterek

「キリスト教はアウシュヴィッツ、トレブリンカ、ソビブールで死滅したのだ、と多くのキリスト教徒が言っている。だとすれば、我がユダヤ教は、ナブルス、ディヘイシャ、ベイティーン、アル・ハリールで死滅してしまうのではなかろうか。」(ダニエル・ボヤーリン「我が愛を審問する」、2003年)

2014-07-10 01:41:17
直立演人 @royterek

「防衛という名の下で採られる暴力行為は、一部のユダヤ人の肉体が生き延びるのに役立つかもしれないが、それは同時に、ユダヤ人という存在からあらゆる意味を消し去り、二千年にわたってマジョリティに成り変わることに抵抗してきた歴史を虚しいものにしてしまいかねない。」(ダニエル・ボヤーリン)

2014-07-10 01:41:29
直立演人 @royterek

「『我々が我々自身のために存在しないのなら、誰が我々のために存在してくれるというのか』と他のユダヤ人は私に言う。私はこう応じよう、『だが、我々が我々だけのために存在していたとしたら、我々とは何者なのか』と」(ダニエル・ボヤーリン「我が愛を審問する」)

2014-07-10 01:41:48
直立演人 @royterek

「われわれは何者なのかという自覚は、われわれが逸しているもの、この大地がぶら下がっている「何もなし」を思い出すことによって呼び醒まされる。この智慧がわれわれを盲目にする恐れのあるときはいつも、この智慧を失う危険にある。」(ジョナサン&ダニエル・ボヤーリン『ディアスポラの力』)

2013-05-12 01:22:47
直立演人 @royterek

「われわれを規定しているものすべてが、われわれの祖先が発した問いの全体からなっている。一方で、なにもかも永久に危険にさらされている。かくして、偶発性と系譜がディアスポラ意識の二つの中心要素となる」ジョナサン&ダニエル・ボヤーリン(『ディアスポラの力』)

2013-05-12 01:24:01
直立演人 @royterek

「ディアスポラは、領土国家に代わる別の「地盤」を提供し、文化的アイデンティティと政治組織とを、つねに論争を生み出すような複雑な形で結合する。→

2013-06-27 01:44:03
直立演人 @royterek

→このような代替的地盤によって、国家が避けられぬ自らの非永続性に抵抗するうえで行使せざるをえない暴力的な手段は回避されうるだろうし、正統な集合的アイデンティティといった固定的な支配的概念に由来する純粋性への主張も改善されうる」(『ディアスポラの力』)

2013-06-27 01:45:25
直立演人 @royterek

「近代の理解によれば、ユダヤ人問題とは、諸国民の中でイスラエルの場所を推し量ることに関係していた。→

2014-07-25 13:37:37
直立演人 @royterek

→世界の政治体制を、自律性をもった無数の中心が整然と区画された集合体へと組織する試み――いわゆる国民国家システムを実現する試み――それ自体を脅かし、つねに疑問視してきたこのディアスポラは、一体どのように扱われるべきであったのだろうか。→

2014-07-25 13:38:04
直立演人 @royterek

→「ユダヤ人国家」という苦悶に満ちた矛盾とともに50年が過ぎたいま、諸々のディアスポラの中でイスラエルの「場所」はどこにあるのかという新たな問いを立てる時がやってきた」(ボヤーリン兄弟『ディアスポラの力』)

2014-07-25 13:39:37
直立演人 @royterek

「シオニズムによる解決、すなわち、緊急の一時避難としての役割を超えたユダヤ人国家のヘゲモニーは、ユダヤ文化の極みではなく、逆にその転覆であるように思われる」(ボヤーリン兄弟「ディアスポラ」)

2014-07-26 02:13:56
直立演人 @royterek

「ユダヤ教が国家のなかに囲い込まれると、その社会的実践の意味が完全に変質する」

2014-07-26 02:22:02
直立演人 @royterek

「排他主義と支配権力を免れた、他者と空間を共有するユダヤ人の集合意識を取り入れたイスラエル、つまりディアスポラ的意識を逆輸入したイスラエル。こういったイスラエルをわれわれは提唱する」(ボヤーリン兄弟「ディアスポラ」)

2014-07-26 01:30:33
直立演人 @royterek

「「政治的ヘゲモニーにおいてのみ倫理的責任は果たされる」というA・B・イェホシュアの有名な発言をひっくり返して、われわれは「倫理的な回路があるとすれば、それはただユダヤ人ヘゲモニーの資格において自らユダヤ人のヘゲモニーを放棄することだけなのだ」と訴えたい」

2014-07-26 01:32:15
直立演人 @royterek

「そのためには手始めに宗教と国家を完全に分離する必要があるが、それ以上に必要なのは、イスラエルを多民族的・多文化国家ではなくユダヤ人国家としてコード化している帰還法をはじめとする文化的・言説的実践を廃止することである」

2014-07-26 01:34:21
直立演人 @royterek

「聖書は、土地への根ざしについての物語なのではなく、どこかよその場所からつねにすでに到来することについての物語なのである」(ボヤーリン兄弟「ディアスポラ」)

2014-07-26 01:10:45
直立演人 @royterek

「〈他者〉の土地であったものを〈神の民〉イスラエルに与えるという、神の約束なる概念は、〈他者〉から〈土地〉を奪ってしまったことに対して疾しい心があったことの証である」

2014-07-26 01:13:06
直立演人 @royterek

「モダニストによるイスラエル物語としての「イスラエル独立宣言」は、土地への根ざしという想像に始まり――「イスラエルの地でこの民族は誕生した」――、この民族が自分たち本来の土地へ意気揚々と帰還し、「他の民族と同様に」、「再び土地に根ざす」ことで締めくくられる」(「ディアスポラ」)

2014-07-25 15:18:34
直立演人 @royterek

「イスラエルの国家権力は、王権神授説に訴えて自らを正当化する選択肢をもたなかったため、その強力な代替物として根ざしを見いだしたのである」

2014-07-25 15:47:20
直立演人 @royterek

「それに代わるイスラエル物語――この方が二千年にわたって実践されてきたユダヤ教の読解に近い――の起点となるのは、特定の土地と結びつくことがついぞなかった民族、すなわち、ある民族が一つの民族であるためには一つの土地を持たなければならないという理念に疑義を差し挟むような民族である」

2014-07-25 15:49:24
直立演人 @royterek

「イスラエルの地は、民族発祥の地ではない。というのも、(たいていの民族が民族発祥の地を自らの土地にもっているのと違って)そこでユダヤ民族が生まれたわけではないからだ。→

2014-07-25 15:51:01
直立演人 @royterek

→それどころか、ユダヤ民族は、外部から自らの〈土地〉に入らざるをえなかった。実際、イスラエルは追放の地で誕生した感がある。アブラハムは〈約束の地〉に行くために、郷里を去らざるをえなかった。つまり、ユダヤ人の始祖は脱領土化されたのである」(W.D. デーヴィス『ユダヤ教の国土観』)

2014-07-25 15:54:19