誤植の話(2)刑法編 by ひと目でわかる六法入門さん @ichimoku_roppou

誤植が実際の裁判に影響を与えてしまったというおはなし gkbr
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ひと目でわかる六法入門 @ichimoku_roppou

だから胸を張って言うのですが、「どこも間違いのない六法など、ない」と(笑)。

2014-07-24 09:31:14
ひと目でわかる六法入門 @ichimoku_roppou

さて、誤植の話。有斐閣さんではない、別の出版社さんの六法のお話をします。名は明かせませんが、最近六法の出版を全面的に取りやめた会社です。重ねて申し上げますが、名前は明かせません。

2014-07-25 10:46:26
ひと目でわかる六法入門 @ichimoku_roppou

きのうの日本国憲法の誤植もあってはならないのですが、笑い話ですみました。直接の被害はなかったからです。

2014-07-25 10:48:11
ひと目でわかる六法入門 @ichimoku_roppou

でも、個人(国民)に直接関係する法律、しかも国家の強制力が直接及ぶ法律に誤植があったら、いったいどういうことになるでしょうか

2014-07-25 10:48:41
ひと目でわかる六法入門 @ichimoku_roppou

ある大型六法がありました。法律のプロから信頼を集めている一冊でした。裁判官は、新しい六法が出るとひとり1冊支給されるのですが、有斐閣『六法全書』とこの六法のどちらかを選ぶようになっていました。

2014-07-25 10:49:32
ひと目でわかる六法入門 @ichimoku_roppou

ある年、その六法の刑法で誤植が出ました。刑法の「罪」の条文は、「○○をした者は、懲役○年以下の刑に処する」という犯罪類型と刑罰の列挙ですが、なんと「懲役○年」の数字を間違えてしまったのです。

2014-07-25 10:50:24
ひと目でわかる六法入門 @ichimoku_roppou

さらに悪いことに、その六法を見た裁判官が誤植に気づかず、それを根拠にして、間違った判決を出してしまったのです。

2014-07-25 10:50:55
ひと目でわかる六法入門 @ichimoku_roppou

いったん出した判決は、「ごめんごめん」とか謝って、修正するようなことができません。いったん取り消す手続をするのがふつうです。そうしたか、別の方法で修正したかはわからないのですが、とにかく大変な不祥事になりました。

2014-07-25 10:52:19
ひと目でわかる六法入門 @ichimoku_roppou

裁判官も、「六法にそう書いてあったから」と言い訳するわけにもいかなかったでしょう。実際にどうなったかは知らないのですが、責任は免れなかったと思われます。

2014-07-25 10:53:43
ひと目でわかる六法入門 @ichimoku_roppou

この事件で、その六法は裁判所の採用を取り消され、間もなく消えていきました。かなり前の話なのですが、六法編集者の間に、誤植の恐ろしさを伝えるために語り継がれています。

2014-07-25 10:54:46
ひと目でわかる六法入門 @ichimoku_roppou

どんな仕事もそうですが、「正しくて当たり前」。改正法の内容を現行法に写して修正する作業を「溶かし込み」と言いますが、国がその作業をしてくれない以上、六法編集者がやらざるを得ない。刑法誤植事件のように、責任の重い仕事なのです。

2014-07-25 10:57:11