伊東豊雄先生が新国立競技場改修案に込めた真意

建築エコノミスト森山高至「土建国防論」執筆中 @mori_arch_econo

伊東豊雄先生はコンペ参加者として要項にテンコ盛りされた、収容人数、芝の育成、遮音、屋根開閉などを踏まえた案を練るうちに、プログラムの異常さに気づいた。神宮外苑の景観も機能も都市公園として貴重なものであることは自明であり、そこへの影響を最大限に抑えた案を作った。

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伊東豊雄先生「新国立競技場」へのコメント②コンペ結果が出てからザハ案は本当に要項を満たし機能は成立しているのかの疑問は増した。結果満たされるどころか国民に多大な負担を強いるものだけでなく、ラグビーワールドカップやオリンピックに間に合うかも怪しいと確信するに至った。

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伊東先生「新国立」へのコメント③槇先生がコンペ結果の異様さを指摘された時点で外苑の歴史的意味やザハ案の巨大な規模は人々に伝わったと思ったが、コンペの企画運営や要項内容、審査基準の不適正な部分について実感をもって指摘し得るのは自分しかいない。同時にこの愚挙を人々に伝えたかった。

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伊東先生「新国立」コメント④現実的に考えてザハ案を換骨脱胎して似て非なる物を作る事の無意味さには建築文化に寄与しない、予算と工期を鑑みても国民的利益につながらない。同時にこの案をごり押しすることの無根拠性は建築審査員も有識者会議も気付いてるはずなのだ。

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伊東先生「新国立」コメント⑤計画にただ反対意見を述べ続けるだけでは意味はない。だからこそあえて私の真意を汲み取れない建築家以外の人々からの「コンペ落選者の遠吠え」とのそしりを覚悟してオルタナティブを呈示する。この改修案は設計図というよりアイデアスケッチだ。

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伊東先生「新国立」コメント⑥なぜ改修案のアイデアを呈示したか。建築家達には本コンペプログラムの異様さと同時にこれが戦後日本建築界の未曾有の大事件だという事に気付いて欲しいからだ。伊東が落選者が自己利益に固執するならこのような汚れ役、あえて火中の栗を拾うような事はしない。

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伊東先生「新国立」コメント⑦改修のアイデアを出す事で事件を起こしたかった。何故？どうして？今さら？の疑念が湧けばその裏にある真意、新国立競技場計画の危険性に国民的関心を呼び覚ますことができる。同時に築後50年以上を経過する近代建築の処遇を考えるきっかけになるからだ。

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伊東先生「新国立」コメント⑧ザハ案をいじり回した計画案はザハ建築でもない構造デザインの刷新でもない妥協の産物に過ぎない。むしろ事ここに至っての最適解は既存ストック活用の先鞭として、オリンピックを２回やった施設としてレジェンドを付加した建築としてのレガシーを生み出す機会とすべきだ。

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伊東先生「新国立」コメント⑨東北震災や原発事故を目の当たりにし我々建築家も大きく転換点を迎えているはずだ。私自身震災以降、建築家の役割とか使命を常に意識するようになった。私の無謀とも言える新国立競技場計画に対する異議申し立ての意図を次世代が汲んでくれることに賭けている。

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以上。いつもの伊東豊雄先生の相変わらずの「俺の屍をこえていけ！」っぷりでした。新国立競技場計画に対するオルタナティブ、伊東豊雄改修案とは建築における「俺屍２」なのでした。

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【新国立競技場問題】５月１１日伊東豊雄先生、中沢新一先生、松隈洋先生「もうひとつの可能性」津田ホールに参加させていただいたが、その折いただいた槇先生からの激励メールに「伊東さんには、大変心強く思っています。とお伝えください。」とあった。2020-tokyo.sakura.ne.jp/shinkokuritsu.…