土山しげるの『食キング』にレストランで子供がラーメンを食べたいと騒ぎ出し、当然、レストラン側はその家族連れの客にお引取りを願うが、主人公は「どうしてラーメンを作ってやらないんだ!?」と憤慨するエピソードがあったと記憶している。
2014-07-31 09:52:19私にはこの類の話に強い違和感があるのだ。なぜならば、相応の格の店では雰囲気も商品のうちであろうと思うからだ。
2014-07-31 09:55:15大枚はたいて恋人をそういったレストランに連れて行ったのに、隣の席でそんな騒ぎを起こされてしまっては、色々と台無しであるのは自明の理だ。
2014-07-31 09:56:23今、私は「自明の理」と書いた。だが、納得出来ない方も当然いらっしゃるだろう。そこで、いくつかケースを想定してみたい。
2014-07-31 09:58:04Aは恋人のBをお洒落なレストランに連れて行った。Aはその席でBにプロポーズするつもりで、Bもそのことにそれとなく気付いている。
2014-07-31 10:00:16そして店に木霊する「YOUはSHOCK!」……台無しである。何もかもが台無しである。お洒落な雰囲気、恋人同士の甘い時間、そういった何もかもは消し飛び、想起されるの世紀末でマッチョな世界である。
2014-07-31 10:05:40勿論、最早プロポーズどころではない。「何故、愛をとりもどせ?」とか「この店に相応しい服装は所謂フォーマルなものではなく、トゲトゲのついた肩パッドとモヒカンなのでは?」と至極どうでもいい考えが脳内を駆け巡ることであろう。
2014-07-31 10:08:50さて、注文も終わって、暫しの待ち時間の後、料理が運ばれてくる。内心舌なめずりしながら(言うまでも無いが実際にやるのはお行儀が悪い)いよいよ料理に取り掛からんとしたそのとき、やたらとノリが良い曲に乗せて「唸るリビドー、力に変えろ」から始まる奇々怪々な歌詞が流れてくる。
2014-07-31 10:16:33台無しである。やはり台無しである。料理を楽しむ前に聴覚からの珍妙極まりない歌詞がもたらす刺激を遮断する作業に没頭しなくてはなるまい。でなくては味や香りを楽しめない。
2014-07-31 10:18:56「何でダイミダラーなんだよ!」という反論はあるだろう。私もそう思う。店内BGMにダイミダラーを流すような料理店にはなかなか出会えるものではない。
2014-07-31 10:22:22そして流れる屋良有作の美声。「その時、一つの星が銀河の中で瞬いて消えた。その時、一つの時代が終わりを告げた」
2014-07-31 10:28:02最早、料理を楽しむどころではない。「ヤン提督!どこにいらっしゃいますか!?」とCが絶叫したとしても誰が彼を責められようか。
2014-07-31 10:30:19