不知火に落ち度はない その14

yamoto @yamoto

「司令、本日は告白の日らしいです」 「ほう。つまり俺が全世界モテフェスになる日が来たか」 「そうですね。ある意味モテモテかも知れません」 「え、マジで？」 「はい、食堂にアンケートを設置しました。題して『匿名で司令に本音で言ってみよう！』だそうです」 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「……。陽炎か、また陽炎か畜生が！！！」 「お察しの通りです。普段司令に声を大にして言えないことを大募集しました」 「嫌な上司を針のむしろに座らせよう会とか正気じゃねえぞ」 「それだけ思い至る節があるのですか？」 「いや、ねえけど」 「では始めます」 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「では書式について説明します。今回はこのような用紙を用意しました」 「言いたいことを書き殴ろうってもう、やりたい放題じゃねえか」 「今回は最大限自由度を重視しました」 「俺への心のケアは最低限かよ」 「陽炎は『ゼロ？』」って言ってました」 「泣くぞ」 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「では読み上げます。『スーパー北上さまだよー』」 「……あいつホント何がしたいんだ？」 「おそらく目立ったら勝ちなのではないでしょうか」 「いったい何と闘ってるんだあいつ」 「世のニーズと戦ってるのかも知れません」 アイドルでも目指してるのか。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

まず、安心の北上と言うやつなのだろう。 「では次行きましょう……司令、早速誰か特定できましたが」 「言うなよ？」 「はい、読み上げます──『夜戦しよっ♥』」 出オチ担当２人目来たな。 「返信覧に何か書きますか？」 「夜戦バカめ、と返してやれ」 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「書きました。では次に行きましょう」 「気になったんだけど、その返信覧なにか意味があるの？」 「司令からのメッセージという形で食堂に掲載する企画です」 「なにその公開処刑」 「アットホームさを重視したそうです」 ブラッドホームって感じだぞそれ。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「回答なしって形で処理できないか？」 「了解です。回答なしは、全てノーコメントと書いておきます」 それ俺が不都合な時、答えを返してないってことになるんだが。 まあいいや。 実際答えられない質問もあるしな、北上みたいなアレとか 「それでいい。続けろ」 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「では次を読みます──『雨はいつ止むと思う？』」 「……答えづらい回答投げて遊んでないかこれ」 「そうなのかも知れませんね。どう答えますか？」 「天気予報を見なさい、時雨」 あいつはな。 どうもな。 雨好き過ぎだろ。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「書きました。では次ですが──これ、長門さんですね」 「また名前でも書いてるか？」 「読み上げます。『ホノルルマラソンが楽しい季節だな？ by長門』」 「何考えてやがんだあいつは！？」 「司令？ どういう意味でしょうか」 あ、やべ。 「なんでもない」 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「では司令、何考えてやがるんだあいつは、と書いて良いのでしょうか」 「あー……」 くっそ、あいつ楽しんでるな絶対。 「やるならワイキキビーチだろって書いておけ」 「司令。不知火には意味ありげな言葉に──」 「なんもねえ」 あのメスゴリラめ。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「不知火に何か隠し事でも？」 「ねーよ。ありません。さっさと次読め」 バレてるってわけじゃないが、探りを入れられても面倒だ。 「ワイキキビーチですか」 「ワイキキビーチです」 そこつついても何もでねーぞ。 いいからさっさと次行こう次。 な？ #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「わかりました。では次ですが──『クマが来てたって本当クマ？』」 わかりやすすぎだろ球磨。 不知火も声真似せんでいい。 「『縄張りを汚されるのは我慢ならんクマ。仕留めてやるクマ』」 「あー。それお前より偉いボスクマ。って書いて置けクマ」 「司令？」 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「いかんいかん、伝染ったクマ。これでいいか？」 「いいでクマ」 「お前がやるんかい。で、次は？」 「はい──『最近妹の部屋に男物のシャツがあったんだけど？』」 お い 川 内 。 この筆跡といい、空気を読まないこの質問といい、お前川内だろ。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「司令。これはどういうことでしょうか」 「あー、わかりづらいが相談じゃないのか？」 よし誤魔化そう。 徹底的に誤魔化そう。 「おかしいですね。これは告白の話のはずですが」 「俺もおかしいと思うが、空気を読まない奴が書いたんだろ」 疑いの目、続行中。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「ではどう書きますか？」 「風紀の問題を感じるなら個人的に聞くから、自室まで──」 「司令室じゃなくですか」 「あ、いや。言い間違い。ここでいい」 疑いの目１２０％。 「本当に心当たりはないのですね」 「ありません」 断固としてNoの姿勢だ。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「そうですか。ではそのように書いて張り出しておきますので」 「おう。そのように頼──」 「所で司令。不知火はこの筆跡に見覚えがあるのですが」 え。 「これ。川内さんの字ではないでしょうか」 「ん？ そうなのか」 誤魔化せ俺、頑張れ俺。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「ええ。勝手に飾られた掛け軸の字にとても似ています」 川内ー！！ お前なー！！ あれだけスーパー忍者ごっこできるならなー！！ 筆跡ぐらいなー！！ 「個人的に聞き出すべきでしょうか」 「やめとけ、やめとけ」 手をプラプラ振る。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「先程風紀の問題だと仰られましたが」 「川内と限ったわけじゃない。あのバカに話してみろ、犯人当て大会とかやりかねん」 「……それもそうですね」 疑いの目５０％。 「では、次のアンケートを読みますか」 「そうしてくれ」 疑いの目、続行中であった。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「では次ですが──『あらあら～。面白そうなのがあったので書きました～』」 おい龍田。 文章でもその自己アピールかよ。 「『提督の本命はずばり誰ですか～？』」 はいきた拷問。 根っからの超S龍田降臨である。 不知火、声真似完璧だけど乗り移られてね？ #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「とのことですが。提督どうぞご回答を」 「ノーコメントで」 ずばり即答だ。 「不知火と書いて良いですか」 「ノーコメントで」 「不知火と──」 「ノーコメントで」 押し切る。 徹底的にNoで押し切る。 ここは絶対にNoだ！ #不知火に落ち度はない

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「というかいつ集計してたんだよこのアンケ」 「陽炎が～こう言うのは思いついたら飽きるまで～やれって～」 「真似してもノーコメントは変わらんぞ」 似てたな畜生。 「残念です。不知火本命と書きましたが」 「さっさと直して書き直せ」 ふくれてもだめです。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「では次を読みます──『提督は無精ヒゲ剃った方が良いと那珂ちゃん思うなー？』」 「……え？」 おいそこのアイドル。本名出てるぞ。 「提督は無精ヒゲ剃った方が良いとぬいちゃん思うなー？」 「真似すんな」 「実際どうなんですかそのヒゲは」 「剃らんぞ」 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「司令はヒゲがないと死ぬのでしょうか」 「んなわきゃねえよ」 んなわきゃねえんだが。 そのな。 ぶっちゃけな。 このヒゲ一応伸ばしてんだよ。 等と言うと多いに笑われるので黙っておく。 「回答は、ないと死ぬって書いとけ」 「了解です」 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「ちなみに不知火も剃った方がいいと思います」 「ぜってえ剃らねえ。長門は俺の味方だ」 「は──？」 ほう、眉を上げたな。 「あいつはヒゲぐらいあった方がいいと──」 「司令。少し休憩しましょう」 あれ。不知火。 お前笑顔こわくね？ #不知火に落ち度はない