ダメ提督と鳳翔さん

鳳翔さん濁らせるツイートの続きです。ご確認ください。
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書庫整@虚ろな目 @Library644

零戦52型とか瑞雲ばっか開発してこれからの航空戦勝てると思ってんのかあ!と言いたいがニコニコしながら52型を持ってくる鳳翔さんを目の前にすると何も言えない(そして倉庫に溜まる52型)

2014-07-31 09:59:42
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「これじゃねえっつってんだろババア!」と提督が鳳翔さんの作ってきた零戦52型を壁に叩きつけて「ごめんなさいね、私こういうのしか作れなくて……」とすすり上げながら夜なべして作った零戦の残骸からボーキのかけらを拾い集めて執務室を後にする鳳翔さんというビジュアルが浮かんでしまってつらい

2014-07-31 10:01:57
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「これじゃねぇっつってんだろババア!」 がしゃん、と壁にたたきつけられた零戦五二型が砕け散り、鳳翔は肩をすくめた。 「ごめんなさい、私こういうのしか作れなくて……」 提督の求めているものが何か鳳翔はわかっている。高性能な艦載機、それだけだ。 #ダメ提督と鳳翔さん

2014-07-31 21:14:09
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

涙をこらえながら鳳翔は部屋の隅に置かれた箒とちりとりで零戦の残骸をかき集める。 「明日はもうちょっとマシなもん作れよ」 「がんばります……」 提督が背を向けたまま放った言葉が防空加工された窓に反射して鳳翔の心を抉る。 #ダメ提督と鳳翔さん

2014-07-31 21:16:53
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

橙色の太陽が水平線に沈み、藍色だった空が黒に変わる頃、鳳翔は静かに提督の部屋の襖を開けた。 「入るときはノックしろっつってるだろ!」 「すみません……でも、夕食の支度が出来ましたので」 「飯ならそう言えよ」 提督は座椅子から立ち上がり、鳳翔の横を通り過ぎる。 #ダメ提督と鳳翔さん

2014-07-31 21:19:49
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「おかわりですね」 鳳翔は無言で突きつけられた茶碗に麦飯を盛る。 「味、いかがですか?」 「言われねーとそんなこともわかんないのかよ」 びく、と鳳翔の肩が震える。 「うめーよ」 提督はそう言うと再び麦飯をかき込む。 #ダメ提督と鳳翔さん

2014-07-31 21:24:17
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「そうですか」 鳳翔の表情が少し和らいだ。 提督はあらゆることに難癖をつけてくるが、食事に関してだけは一切文句を言わない。 「ごっそさん」 箸を空になった茶碗の上にたんと置き、提督は腰を上げた。 鳳翔は彼に何か言葉をかけようとしたが、思いとどまった。 #ダメ提督と鳳翔さん

2014-07-31 21:28:43
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

提督がなぜこんな風になってしまったのか、鳳翔は知らない。 時折聞こえる噂をつなぎあわせて、前任の空母艦娘と何かあったということまでは分かったが、彼女はそれ以上知ろうとはしなかった。 「おやすみなさい」 返事はなく、建てつけの悪いふすまがぶつかる音だけが響く。 #ダメ提督と鳳翔さん

2014-07-31 21:32:58
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「くそっ! どうしてだ!」 洗い物を終え、自室に戻ろうとした鳳翔は漏れ聞こえる提督の声に気づいて足を止めた。 「提督……?」 いけないことだと知りながらも鳳翔は聞き耳を立てる。 「どうしてお前は……俺が止めていればよかったんだ……」 #ダメ提督と鳳翔さん

2014-07-31 21:38:02
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

最後の方は言葉というよりも嗚咽に近かった。 鳳翔は静かに踵を返し、その場を立ち去ろうとした。 がたん、と物音がして鳳翔が振り返った時には提督が彼女の細い手首を掴んでいた。 「いつから居た?」 「そんなつもりでは……」 「嘘をつけ!」 鳳翔の目の前で星が散った #ダメ提督と鳳翔さん

2014-07-31 21:46:03
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

提督に殴られたと鳳翔が認識するまで、たっぷり三秒かかった。 「う、あ……あぁ……!」 狼狽えたのは鳳翔ではなく、手を上げた提督の方だった。 「すまない、俺は……あぁ、なんてことを」 提督は言葉遣いや態度は悪くても、これまで一度も手を上げたことがなかった。 #ダメ提督と鳳翔さん

2014-07-31 21:49:56
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「ふっ、いっぐ、うぅ……」 提督は鳳翔にすがりつくように抱きつくとそのままズルズルとくずれ落ちる。 「しっかりしてください」 「もう、いやだ……」 「私でよければお話を伺いますから、ね?」 駄々をこねる子供をあやすように、鳳翔は優しく言葉を掛ける。 #ダメ提督と鳳翔さん

2014-07-31 22:00:31
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「うぅ、ほうしょお……お前は、どこにも行かないよな……」 鳳翔にしがみついた提督の手に力がこもる。 「行きませんよ、私はここの秘書艦ですから」 ――提督は失うことを恐れている。 鳳翔はそう察した。 「ここにいろ、と命令さえくだされば」 #ダメ提督と鳳翔さん

2014-07-31 22:08:32
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「ここに、いてくれ……頼む」 鳳翔にしがみついたまま、提督は答えた。 「ええ、提督がお望みでしたら」 彼女も膝をつき、優しく提督を抱きしめた。 ――たとえ前任の娘の代わりになれなくても、この人には私が必要だから。 「約束、してくれるか」 「はい」 #ダメ提督と鳳翔さん

2014-07-31 22:18:35
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「提督、朝ですよ」 「んん、あぁー……」 大切なものを提督に捧げたというのに、鳳翔は翌朝もいつものように提督に接した。 「ふふ、意外とお寝坊さんですね」 「うるさい、ババ……鳳翔」 「ありがとうございます。ちゃんと呼んでくださって」 #ダメ提督と鳳翔さん

2014-07-31 22:25:32
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「味噌汁の具は豆腐がいい」 「ふふ、わかりました」 食事に注文つける提督がなんだか可笑しくて、鳳翔はくすりと笑った。 「それと……」 「なんでしょうか」 「ごめんな、色々と」 「お気になさらないでください。これまでより、これからのことを考えましょう、ね?」 #ダメ提督と鳳翔さん

2014-07-31 22:29:39