《切迫性》の要素から《エロ漫画は女性と子供へのヘイトスピーチ》という主張の考察をしてみた

金展克 ★No Pasaran★ @HeartRights

ラバト行動計画　段落２９より抜粋▼　(f) 切迫の度合いを含む、結果の蓋然性：煽動は定義上、未完成犯罪である。その発言が犯罪に該当するうえで、煽動発言によって唱道された行為が実際に行われる必要はない。しかしながら、ある程度の危害リスクは確認されなければならない。（続

金展克 ★No Pasaran★ @HeartRights

承前）これが意味するのは、裁判所が、発言と実際の行為の間の因果関係が相当程度直接的に成立していると認識し、当該発言が標的とされた集団に対する実際の行為を引き起こすことに成功する高い確率があると判断しなければならないということである。　@HeartRights

金展克 ★No Pasaran★ @HeartRights

さて、いまTweetしたのは、《差別、敵意又は暴力の扇動となる国民的、人種的又は宗教的憎悪の唱道の禁止に関するラバト行動計画》の段落２９の一部。ヘイトスピーチが《犯罪》となるかを判断する上で考慮することを推奨されている要件の１つに関するもの。 @HeartRights

金展克 ★No Pasaran★ @HeartRights

タイトルが《国民的、人種的又は宗教的憎悪の～～》とあるので、根本的にこれ以外のカテゴリは対象外ではあるのだけど、《エロ漫画は女性と子供へのヘイトスピーチ》とかいう言説がだいぶフザケてると思うので、ちょっと書いておこうと思う。 @HeartRights

金展克 ★No Pasaran★ @HeartRights

この《(f) 切迫の度合いを含む、結果の蓋然性》の要素は、表現の自由の規制に関してよく語られる基準である《ブランデンバーグ基準》とかなり近い。参考→ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%8E… ヘイトスピーチの規制についても当然参照することになる。 @HeartRights

金展克 ★No Pasaran★ @HeartRights

ラバトの段落２９でも、当然こうした考え方は踏襲していて、それゆえに《(f) 切迫の度合いを含む、結果の蓋然性》という要素が判断基準の１つとして挙げられているのだろう。ここは、《表現の自由》と《被害の防止》の調整として納得できるものだと思っている。 @HeartRights

金展克 ★No Pasaran★ @HeartRights

そして、この要素については《煽動発言によって唱道された行為が実際に行われる必要はない。しかしながら、ある程度の危害リスクは確認されなければならない。》という説明が付されている。 @HeartRights

金展克 ★No Pasaran★ @HeartRights

また、《裁判所が、発言と実際の行為の間の因果関係が相当程度直接的に成立していると認識し、当該発言が標的とされた集団に対する実際の行為を引き起こすことに成功する高い確率があると判断しなければならない》という説明をされている。 @HeartRights

金展克 ★No Pasaran★ @HeartRights

ここは結構大事なことを言っている。《Speech（表現）》と《被害》との間の因果関係が、それなりに近くて、被害が実際に生じてしまう可能性がちゃんと推認されるよな状況でなきゃイカン、ということになる。 @HeartRights

金展克 ★No Pasaran★ @HeartRights

なので、例えば《無人島で『○○人をぶっころせー』と１人で叫んでいた》というダケの話なら、《(f) 切迫の度合いを含む、結果の蓋然性》は満たさないので、少なくとも《犯罪となるヘイトスピーチ》には該当はしない、と判断することになる。まぁ当たり前だろう。 @HeartRights

金展克 ★No Pasaran★ @HeartRights

他方で、これはどうか？狭い路地の、店の前を通り過ぎながら《皆殺しにしろ》と叫びながら歩いている訳で、こういうのは当然ながら《犯罪となるヘイトスピーチ》に該当すると言う他ないだろう。 @HeartRights p.twipple.jp/u8OFM

拡大

金展克 ★No Pasaran★ @HeartRights

こういうのはどうか？２００人前後の集団による《デモ》という形式での表現であり、《(f) 切迫の度合いを含む、結果の蓋然性》は十分満たす。《犯罪となるヘイトスピーチ》に該当すると言うしかないだろう。 @HeartRights p.twipple.jp/3F9ZS

拡大

金展克 ★No Pasaran★ @HeartRights

このように、ラバト行動計画では、ｆ）切迫の度合いを含む、結果の蓋然性　という要素が結構《客観的な判断基準》として提唱されている。従って、《なんでもかんでもヘイトスピーチ》という話とは全く違うのである。 @HeartRights

金展克 ★No Pasaran★ @HeartRights

そして、《エロ漫画は女性と子供へのヘイトスピーチ》という言説について、ちょっと検証してみよう。 @HeartRights

金展克 ★No Pasaran★ @HeartRights

《マンガでの表現》を《実行に移してしまうバカ》は、まぁ確かに居るには居るのだろう。しかし、少なくとも、先ほど挙げた在特界隈のヘイトデモにおけるような《ｆ）切迫の度合いを含む、結果の蓋然性》が、《マンガの表現》について認められるとは言い難いだろう。 @HeartRights

金展克 ★No Pasaran★ @HeartRights

しかも、マンガは《買わなきゃ読めない》。これはデモでのヘイト表現が、その場に居合わせてしまうと強制的に見ざるを得ない状態になるのとは、随分異なっている。しかも、多人数が集まってデモ行進している所にある《切迫性》が、《マンガ表現》にあるとは到底言い難い。 @HeartRights

金展克 ★No Pasaran★ @HeartRights

以上の点から、少なくともラバト行動計画において提唱されている基準を転用して《エロ漫画は女性と子供へのヘイトスピーチ》と言説を検証すると『流石にバカげている』と言う他ないし、こういう議論と、今現実にあるヘイトスピーチの被害とを混同されては困る。 @HeartRights

金展克 ★No Pasaran★ @HeartRights

ただ、他方で《出版物全般》がヘイトスピーチ規制の埒外にあるかというと、そういう訳でもない。これは、現に嫌韓本の類が相当程度扇動的に機能している実態があるから。海外でも当然ながら出版物に関し《犯罪となるヘイトスピーチ》として争われている実例もあるから。 @HeartRights

金展克 ★No Pasaran★ @HeartRights

《出版物全般》についは、じゃぁどういう基準で考えるか、等まだまだこれから検討が詰められていかなきゃならない。ただ、少なくとも《エロ漫画は女性と子供へのヘイトスピーチ》と同一視できる程度に雑な話にはならない、という事だけは、誤解しないで欲しいと思う。 @HeartRights