日本で「キャラクター・ビジネス」はどう始まったか

自然発生的に思われがちですが全然違います。
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It happens sometimes @ElementaryGard

日本で交通信号機(赤、緑、黄のあれ)の児童への教育が始まったのはいつだろう。私は幼稚園のとき婦人警官が来て、中庭に道路セットを作って教わった覚えがある。腹話術の人形つき。

2014-08-02 14:18:40
It happens sometimes @ElementaryGard

pref.niigata.lg.jp/murakami_kikak… ある島に設けられた、島で唯一の信号機。なくても誰も困らないんですが児童が島から出て信号機を理解できず事故をおこすなんてことがないよう、特別に設置された。

2014-08-02 14:21:22
It happens sometimes @ElementaryGard

過去に何度かつぶやいたネタですがまたいきます。夏目さんのゼミで、日本のいわゆるキャラクタービジネスがどう始まったのかを通史的に語ったとき、生徒さんからよくわからない質問をされた。

2014-08-02 14:24:13
It happens sometimes @ElementaryGard

ディズニーがアメリカ国内で使ってきたと思われるキャラクター使用許諾の契約書(むろん英文)を、ディズニー日本支社は日本でもそのまま使っていた。使わせていただく側にすれば何が書かれているのかわからないままとにかく署名していたことになります。

2014-08-02 14:26:18
It happens sometimes @ElementaryGard

あるとき、セイカノートがこの契約書を自主的に訳してみた。「ああなるほど、こういう内容なのか」と概略をつかんだ。そして今度はその和訳を手に東映の戸を叩いた。今映画館でかかっている『西遊記』のアニメの絵、うちで使わせてよ。契約書のひな形はこんな風です。と。

2014-08-02 14:28:16
It happens sometimes @ElementaryGard

東映側は「なんやそれ?うちは映画で稼いでるさかい、そんな小銭稼ぎに興味ないけど、まああんたらがそういうならハンコ押したるわ。見せてみ。あー?こんな細かいこと書かんでもええやろ、これもこれも削ってまえ」と簡略化され、それでセイカと契約。

2014-08-02 14:30:45
It happens sometimes @ElementaryGard

こうやって国産キャラクターによるキャラクタービジネスが始まった、と語ったわけです。するとこんな質問が。「それ以前はNHKの人形劇番組のキャラクターが無許諾でノートになって売られていてお咎めなかったのに、なぜ『西遊記』のとき急に契約書を持ち出す必要があったんですか」

2014-08-02 14:32:19
It happens sometimes @ElementaryGard

この質問が理解できなかった。さらに夏目さんが乱入して「独占権を狙ったんだよきっと」と一見もっともらしい見解を述べてきたのでさらに混乱。

2014-08-02 14:33:52
It happens sometimes @ElementaryGard

今思うと、信号機を例に出して答えればよかった。例えば幕末の横浜かどこかに、今の電気式信号機が作られたとします。むろん当時の日本人は誰一人それが何なのか理解できないから、赤だろうが青だろうが関係なしにわたっていきます。

2014-08-02 14:35:21
It happens sometimes @ElementaryGard

ある日、信号機のそばに西洋人がいたとします。この方は赤のときはその場にたしつくし、青になると歩き出します。まわりの日本人は「なんだこのガイジン、なんで急に凍ってまた動き出すんだ?」と思う。

2014-08-02 14:38:16
It happens sometimes @ElementaryGard

ですがこの信号機の前でほかの西洋人もやはり同じように凍って、また動き出すのを日本人は何度も目撃します。するとやがて気が付くわけです。「奴ら、どうやら赤が光ると動かなくて、緑になると動き出すみたいだぞ」

2014-08-02 14:39:37
It happens sometimes @ElementaryGard

さらにこう気が付くはずです。「こっちが赤のときはあっちが緑になる…そうか道が十文字になるところで衝突を起こさないようにする合図だこれわ!」

2014-08-02 14:40:58
It happens sometimes @ElementaryGard

実際にこうだったわけではありません。日本で最初の信号機は昭和5年。日比谷です。幕末の横浜でどうこうは私のフィクションです。でももし幕末の横浜の、人通り、馬の通りの多い道に今の信号機が設置されていたら、きっとこんな風に交通規則を日本人は目で盗んだ(学んだ)と思います。

2014-08-02 14:43:21
It happens sometimes @ElementaryGard

緑が「進んでいい」で赤が「進むな」のsymbolだと目で気が付くことはそんなに難しくない(と思う)。しかしながら、それがどういう規則つまり法律に基づいているかは目では盗めない。西洋人に教わるか、西洋の書物を読み解くしかない。郵便切手に判を押すやり方を前島密が必死に学んだように。

2014-08-02 14:45:55
It happens sometimes @ElementaryGard

セイカノートがディズニーの英文契約書を解読したのも、ここでいう信号機のsymbolに気が付くのと同じことだったんだと思います。著作権法が関係していることはディズニー日本支社で聞き知っていたものの、厳密な法理論までは研究しなかった。とにかく赤では進んでいけないことはわかった。

2014-08-02 14:47:50
It happens sometimes @ElementaryGard

実はキャラクターを無断で商品に使ってはいけないと厳密に定めた法律はアメリカにも日本にもありませんでした。今もそうですが。ディズニーの場合は社内に法務部があって、何かあるとすぐ裁判を起こして判例を積み重ねることで「権利」を固めていった。セイカはそのことを知らなかった。

2014-08-02 14:50:01
It happens sometimes @ElementaryGard

「世界のディズニーがそうやってるんなら日本でもそうなんだろう」ぐらいで納得したのでしょう。それで東映に話を持ち掛けたとき「契約書を交わさないとあかんのだそうです」と説明し、東映側も「よくわからんけどそれが法律ならそうしてもいいよ」と応じた…こんなところではないでしょうか。

2014-08-02 14:51:39
It happens sometimes @ElementaryGard

アニメやまんがのキャラクターを商品に流用する、いわゆる「商品化」ビジネスが国産で本格化するのは、この数年後に始まるテレビアニメ『鉄腕アトム』からでした。ディズニーのやり方を手塚も聞き知っていたんですよ。ただ手塚も法理論としてじっくり思索を深めるなんてことはしなかった。

2014-08-02 14:53:54
It happens sometimes @ElementaryGard

「信号機とやらの前では西洋人は厳密に止まる、進むを守っている。これがたぶん万国公法とやらであろう。難しくて読む気にもならんが、とにかく赤、黄、緑が合図だとわきまえていれば文明国なんだ」ぐらいに考えた。

2014-08-02 14:55:29
It happens sometimes @ElementaryGard

面白いと思いませんか。道路交通法を厳密に学ばないまま、交通規則もどきは目で盗んじゃったのです二ホン。

2014-08-02 14:57:20
It happens sometimes @ElementaryGard

感覚的につかんじゃった。理屈は後回しで。これがやがていろいろ問題を起こしていきます。サザエさんの顔を観光バスに描いて運行していたら長谷川町子先生に訴えられたバス会社の事件とか、いろいろです。

2014-08-02 14:59:14
It happens sometimes @ElementaryGard

まんがやアニメや特撮ヒーローの人気キャラクターはそもそも知財なのか?ここが裁判で問われた。驚くことに仮面ライダーの無断商品化をめぐる裁判で、製作元の東映が負けてしまうことさえありました。そのくらい法解釈が曖昧だったのです。

2014-08-02 15:01:19
It happens sometimes @ElementaryGard

今ではおよそ信じられない判決です。むろん地裁です。こういう裁判が70年代に入っていくつもありました。その積み重ねから、次第に法解釈に一定の方向性が浮かんできたのです。キャラクターも知財と考えるべきではないか、と。

2014-08-02 15:03:12
It happens sometimes @ElementaryGard

アトムやオバQやウルトラマンが大ブレイクして商品が売れまくったのは60年代。ところが法理論として厳密に考えるようになったのは70年代に入ってからでした。映画産業の斜陽と入れ替わりにテレビ産業が娯楽の王様となり、キャラクターものは小銭稼ぎどころか主収入となっていった。

2014-08-02 15:06:13
It happens sometimes @ElementaryGard

倒産必至まで追い詰められた東映アニメを立ち直らせたのは巨大ロボットものでした。『マジンガーZ』のおもちゃを試しに売り出したら売れに売れた。キャラクター商品がもはや副収入どころか稼ぎ頭となった。このとき東映は、旧来の映画会社的発想から抜け出してキャラクターで稼ぐモデルに切り替えた。

2014-08-02 15:10:09