イラストレーター・中村佑介氏の『イラスト講座⑫』“色の温度とメッセージ編”(2014.08.02)

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@kazekissa ①中村さんこんにちは。以前ヒューマンアカデミーにて講評をしていただいたmiです。以前お見せした一枚目の絵は手を抜いてケーキに素材を利用してしまった事をお話ししました。

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@kazekissa ②今回描いた二枚目の絵（ピンクの方）ではお菓子を全部描いてみたのですが、どうでしょうか…。自分では構図に工夫がないので、何を見せたいのかがいまいち分からない絵になってしまったと思っています。 pic.twitter.com/A1FMIOnQcm

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中村佑介🎨2024カレンダー @kazekissa

うむ、がんばった子はほっとけない！ほっとけない！！　ということで昨日に引き続き急遽イラスト講座を、すこし短縮版でこれからお送りします。

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【@yosimurin2イラスト講座①】まず、ヒューマンアカデミーに講演会で伺った際に見せて頂いたmiさんの作品がコチラ。色々アドバイスしましたが、その中でも特に気になったのが、「パソコンの効果的ではない使い方」でした。 pic.twitter.com/o5aXe1UKgH

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【@yosimurin2イラスト講座②】僕は消費者として絵を見る時、「パソコンでしかできない事をしている絵」は好きですが、「画材を出すのは面倒くさいのと、なんとなく見栄が良くなりそうなので、パソコンを使った」という絵は、お金を払う気になれません。

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【@yosimurin2イラスト講座③】例えば定食屋に入り「おにぎり」を注文したら、コンビニの三角形のおにぎりが、しかもパックに入ったまま出てきたとします。そして店の主人に聞くと「だって握るの面倒くさいし、そっちの方が形が綺麗でしょ？」との事。ちょうどそんな印象を受けるのです。

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【@yosimurin2イラスト講座④】だから消費者の僕らは純粋に「結果」のみを求めている訳ではなく、「そこにかかった手間暇」込みでお金をし払いたい訳です。その点でmiさんの当初の作品は可愛いけど、買うには及ばないと感じました。プロとアマの差は、買う価値が有るか否か、なのです。

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【@yosimurin2イラスト講座⑤】ですが僕は別にプロであっても、趣味で描き続けていても、その人がしあわせであればどちらでも良いと思っています。そこに優劣はありません。ただ彼女は「プロになりたい」と言った。だったらプロになってほしいと思いました。

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【@yosimurin2イラスト講座⑥】では具体的に以前の彼女の作品のいったいどこが「手を抜いていた」のか、お金を払ってまで手元に置きたくはないと思ったのか。それは女の子以外のすべての要素でした。pic.twitter.com/o5aXe1UKgH

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【@yosimurin2イラスト講座⑦】まずは女の子の上部にあるケーキ。特に絵に統一感を与える為の加工をする事なく、写真を切り抜き、そのままパソコン上でペタっと合成されています。だからと言って写真にした意図も感じられなかった。 pic.twitter.com/FkPDBfVtbQ

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【@yosimurin2イラスト講座⑧】ジブリアニメに僕らが感動するのは、ストーリーの面白さや、キャラクターの可愛さも去る事ながら、「食べ物がおいしそう（絵なのに）」という点も大きいと思います。これらが写真だとしたら、どうでしょうか。 pic.twitter.com/LoXK1p7M0t

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【@yosimurin2イラスト講座⑨】そして次に画面上部にある"レース"。お菓子や女の子というモチーフととてもよく合っていますが、ひとつのレースを描いて、上段４つ、下段４つ、あとはすべてパソコン上でコピーして使われています。 pic.twitter.com/4GS1FUZRx3

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【@yosimurin2イラスト講座⑩】ただ別に「繰り返し」というワザが良くない、という訳ではありません。彼女の手で描いた左右非対称のレース、すなわち有機的な絵は、実は繰り返すごとに、非常に単調に見えて行ってしまう、というクセがあるのです。

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【@yosimurin2イラスト講座⑪】例えばここにひとつの赤い丸があります。完全に左右対称の正円です。これを繰り返してみましょう。 pic.twitter.com/yaT0TPzHcq

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【@yosimurin2イラスト講座⑫】横に５つ並べてみました。正円は絵としては非常に抽象的（何にでも見える）なので、点が横に進んでいるようにも、またドット模様の１列にも見え、１つだけの状態に比べ、空想の余地や面白さは上がりました。 pic.twitter.com/M4tv6Xqoon

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【@yosimurin2イラスト講座⑬】同じ赤いモチーフとして、今度は左右比対称のリンゴを使ってみます。先ほどの正円に比べると、圧倒的に形は面白いですよね。 pic.twitter.com/RnYiNVwIHy

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【@yosimurin2イラスト講座⑭】同じように５つ並べてみました。あれ？さっきと同じようには面白くなったようには感じられませんよね。退屈にすら思えてきました。 pic.twitter.com/B4MclSXx8x

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【@yosimurin2イラスト講座⑮】それは僕らの脳が前もってそれを「リンゴ」だと判断したので、「なんだ、５個とも同じリンゴか…」とガッカリしたのです。こちらの方が数は少ないのに、まだ面白い画面になっていますよね。 pic.twitter.com/b1mEN3oDEk

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【@yosimurin2イラスト講座⑯】なので複雑な手描き（左右対称ではない）、かつ具体的なモチーフを同画面にコピー＆ペーストすることは、一見モチーフの数が増えるので、制作者側は画面が華やかになった気がしますが、見る人にとっては実は退屈さが増す大きな原因となります。

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【@yosimurin2イラスト講座⑰】そして最後に背景のストライプ模様も、ただ「背景が寂しいので、とりあえず埋めてみました」と感じられました。これなら多少ムラが出ても、女の子同様に絵具タッチにした方が統一感も温かみも出たと思います。pic.twitter.com/o5aXe1UKgH

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【@yosimurin2イラスト講座⑱】と、以上のような講評を、以前彼女にお伝えしました。ここで今一度申し上げたいのは、今回は「可愛い絵の講座」ではなく「プロになる為の講座」という事です。可愛いを基準にするなら、既に十分可愛く上手な絵なのです。ただそれだけではプロにはなれない。