東日本大震災 大川小 なぜ山に避難しなかったのか 林さんのツイートまとめ

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林 衛 @SciCom_hayashi

「東日本大震災・大川小被災と検証失敗の原因―教訓をどう共有するか」 というタイトルで,科学教育研究協議会全国大会「科学と社会」分科会で発表。大川小の具体例の分析に進んだときの,参加者のすごい集中力を感じた。ちゃんと語られてこなかった真実を,誰もが大事だなと聞いてくれた。

2014-08-03 23:57:25
林 衛 @SciCom_hayashi

ただ一人の現場生存教員の教務主任の先生は,理科の知識に富み,大川小の危険を強く感じていた。 ハザードマップの想定で3.5kmの陸上遡上のほんの500m先に学校があること。想定を越えた尋常ではない地震だと気づいていたにちがいないこと。1階ではなく校舎2階に避難場所を探したとの証言。

2014-08-04 00:01:19
林 衛 @SciCom_hayashi

標高2m程度の典型的な沖積平野であり,洪水,高潮,津波を繰り返し経験してきた場所だとの知識をもっていたにちがいない。 教頭に向かい2度以上,山へ行こうと進言している。教頭先生も山だなと語っているのを聞いた証言もある。 山に行こうとの判断はあったが,決断できなかったのはなぜか。

2014-08-04 00:04:23
林 衛 @SciCom_hayashi

じつは,マニュアルの想定以上の避難を決断した助かった学校は宮城県内にほかにもある。どの学校も,すんなり避難の決断ができたわけではないようだ。避難して「津波がこなかったら」「なにか事故があったら」との思考が,決断を逡巡させている。学校の先生ならば,そう考えるのは当然。

2014-08-04 00:06:17
林 衛 @SciCom_hayashi

でもやはり,生徒・児童のためならば覚悟を決めよう。みんなで避難しよう。遠ければ,クルマに乗せよう。裏山に道がなければ,みんなでよじ登ろう。そう決断して,行動に移した。 大川小では,教頭の決断を待ちつつ,しかし,教頭の決断を後押ししようもせず,各自が持ち場に戻ってしまった。

2014-08-04 00:08:36
林 衛 @SciCom_hayashi

自分のクラスの子どもを励ます先生。保護者への児童引き渡しの名簿チェックをする先生。寒いだろうからとたき火の準備を始める先生。校舎内に避難場所を探しに行く先生。教頭は,堤防付近から川の様子を見に行っていたのかもしれない。

2014-08-04 00:10:42
林 衛 @SciCom_hayashi

教員同士が集まって,議論をすれば,もっと早く避難できたにちがいない。 山は滑りやすいと心配の声をあげる先生もいたという。しかし,子どもの運動能力についての知識があれば,重心が低く体重も軽く,要するに身軽なので,転んでも大けがしにくいことがわかる。みな知らなかったはずはない。

2014-08-04 00:13:23
林 衛 @SciCom_hayashi

全員で議論したら,もっと早く避難できただろう。しかし,議論をせず,教頭任せにしてしまったのではないか。 2009年から宮城県でも職員会議は諮問機関化され,議論して練り上げ,決定する場ではなくなった。管理職が決めなければならなくなった。意見をいいにくくなっていた。

2014-08-04 00:15:25
林 衛 @SciCom_hayashi

その悪い面がでてしまったのが,大川小学校だった。危機感はあったのに,50分も校庭にい続けた大きな理由としては,これ以外ありえないと思う。 ほかの学校でもあった事態が大川小でも生じたと仮定,学校の先生の常識的な思考パターンを追いかけると,こうとしか考えられない。 ということ。

2014-08-04 00:18:04
林 衛 @SciCom_hayashi

岩手県の陸前高田,高田高校も校庭避難まではそっくり。漁師兼業の地元教員が,これは危ないからと強く,校長を説得。急斜面を登って,高台に移動した。地元教員が校長の決断を後押ししたから,助かった。

2014-08-04 00:21:33
林 衛 @SciCom_hayashi

大川小でも,慎重タイプで児童をゆっくり見守るのには長けていたけれど,決断力の面では弱かった管理職をもう一押ししていたら,押されて決断しただろうに。 単級(1学年1クラス)なので,担任はクラス運営だけをやれば済んだ。学校全体の方針を議論する機会なんて皆無になっていた。

2014-08-04 00:27:05
林 衛 @SciCom_hayashi

みなで議論すれば,自分たちにできるベストはなにか,決断ができただろう。知識や経験が不足していた先生方ではない。誠実に,それぞれの仕事に向かっていた。 職員室で徹底議論する習慣がいま各地で薄れてきている。東京都では,嫌気をさして管理職のなり手がいなくなって困っている。

2014-08-04 00:29:42
林 衛 @SciCom_hayashi

ほかの学校も危なかった。ぎりぎり助かった学校が多かった。 潜在化していた危ない状況は,震災時に露わになる場合もあるし,いじめ自殺や指導死という学校が児童・生徒を死に追いやるかたちで露わになる場合もある。ほとんどのケースが,学校側は気づいていたのに止められずに最悪の結果になった。

2014-08-04 00:33:08
林 衛 @SciCom_hayashi

大川小は,学校運営に親も協力的。地元の大事な学校,母校として,運動会前にはボランティアで校庭の草むしり。農家は草刈り機を持ち込み,校庭に凹凸があると小型重機でならす保護者もいたそうだ。 だから,危ない状態は潜在化したままだったのだ。

2014-08-04 00:35:40
林 衛 @SciCom_hayashi

現場教員の責任もあるのだけれど,もっと大きいのは一つ一つの学校をちゃんと支えていこう,そのためには一人一人の先生を尊重しよう,という教育行政の根本がゆらいでいたことではないのか。 ベストを尽くすための議論の場さえ形骸化,書類づくりが形式化していくなかで,生じた事態。

2014-08-04 00:38:16
林 衛 @SciCom_hayashi

富山大学に着任して教員養成にかかわるようになって9年目の林にだって,これくらいの考察はできる。ということは,しらばっくれている石巻市教委も,検証委員会を指導・監視した宮城県教委や文科省で学校現場の実態を知っている人なら,同じようなことに気づいているにちがいない。

2014-08-04 00:40:16
林 衛 @SciCom_hayashi

だから,検証委には,教育行政の問題にふみこませなかった。ふみこむ必要を示唆する事実を,できる限り遅くまで報告書案に盛り込まないか,最後まで盛り込まないように検証委員会が遺族や調査に入った研究者やジャーナリスト,臨床内科医に抵抗したのは,指導・監視の宮城県教委・文科省の意向ゆえか。

2014-08-04 00:42:57

林 衛 @SciCom_hayashi

根拠ない検証の証拠 「津波が到達するまでに児童から山に逃げようという声があった。教諭と児童が防災教育を通じて信頼関係が築けていたら、結果として子供の意見に耳を傾けていたかもしれない」 神戸大の室崎名誉教授が講演 愛媛 - MSN産経sankei.jp.msn.com/region/news/14…

2014-08-12 16:31:27
リンク MSN産経ニュース 防災教育の大切さ指摘 神戸大の室崎名誉教授が講演 愛媛 愛媛県内の公立小・中学校、県立高校の防災管理担当者らを対象にした研修会が20日、松山市上野町の県生涯学習センターで開かれた。東日本大震災で児童74人が死亡・行方不明となった宮城県石巻市立大川小学校について調査した検証委の委員長を務めた室崎益輝・神戸大名誉教授が講演し、防災教育の大切さなどを強調した。
林 衛 @SciCom_hayashi

そんな風にいうのならば, 教諭と児童との間に,信頼関係のなかったという証拠をだしてください。ほかの学校と比較した結果だというのならば,なおさらです。 死人に口なし,死者を鞭打つ,実証性のない検証結果を,吹聴しないでほしい。

2014-08-12 16:33:47