JASRACシンポジウム2010:パネルディスカッション「大いなるガラパゴス!今必要とされる日本型の取り組み」-津田大介氏(@tsuda)による実況まとめ
岸「なぜ私がコーディネーターなのかよくわからないまま座らされてます。私最近話しているのは民主党の政策批判ばかりなのですが、今日はそういうことではなく、この分野について話したいと思います」
2010-11-18 15:03:36岸「大いなるガラパゴスという言葉に象徴されるが、議論されるのは大体端末の話ばかりでコンテンツの流通についてはあまり話されない。コンテンツ流通についていえば、プラットフォームレイヤーでグーグルやアップルなどが大きな影響力や支配力を持ってきている」
2010-11-18 15:05:44岸「著作物という文化が発展するには適正な対価が創作者や権利者に還元されるか。音楽については比較的世界から見てもそれができている。音楽の次は電子書籍、その次はグーグルTVのように映像もそうした動きが来る。その中で日本独自のモデルが作れるのだろうか」
2010-11-18 15:07:24岸「出版文化も江戸時代から受け継がれてきた日本の大事な文化。出版文化が日本は強かったおかげで個人の知の体系化や知的レベルの向上につながってきた。その文化を維持するという意味で、日本型のビジネスモデルを作っていくことを考えることがグーグルTV以降の議論につながっていくのではないか」
2010-11-18 15:08:59杉本「ニコニコ動画を知らない人はもういないと思うが、先日小沢一郎さんがニコ生で記者会見を行った。ネットが情報が発信される1つの形、あるべき姿として取り上げていくのかなと思う。事業仕分けもずっと中継して、のべ188万人が視聴した。情報発信様式や編集のされ方が革新の時期に来ている」
2010-11-18 15:12:06杉本「ガラパゴスという言葉についてはあまりネガティブな印象を持っていない。iモードについてもそもそも垂直統合型モデルを実現しているのはiモード。アップルやグーグルはそのモデルを悪い言い方をしたら真似をした。彼らが成功したのはそれに優れたUIを付けただけ。事業構築力は日本の方が上」
2010-11-18 15:13:19杉本「事業構築力は日本の方が優れた部分もある。その意味で、今日のテーマの電子書籍については、下地が整って新しいモデルが作られている時期に入っているのではないか」
2010-11-18 15:14:51佐々木「モバイルブック・ジェーピーは電子書籍における、取次のような存在。このモデルは元々電子書籍流通で効率やコストを考えると、こうした取次のような存在がある方がコスト削減になるし、グローバルプラットフォームと戦いやすい。こうした存在は日本独自の知恵ではないかと思っている」
2010-11-18 15:17:11佐々木「日本の場合、音楽は元々96年頃から音楽配信が始まったが、その頃有料で音楽配信やっている国はなかった。世界でもかなり早い段階で有料音楽配信をやり始めたのが日本。音楽配信は日本では花ひらなかったが、アップルが03年以降垂直統合でそれをうまくやった」
2010-11-18 15:18:44佐々木「今後日本は米国型のグローバルな垂直統合モデルを志向するのではなく、あくまで日本ならではのノウハウやビジネスモデルを構築して、それを世界に発信していくというスタンスが求められているのではないか。流通に必要なメタデータの標準化などでこの市場に参入される環境が担保されるだろう」
2010-11-18 15:20:48角川「Kindleが出たときにも驚いたがそれ以上にiPadには驚いた。出版業界はグーテンベルク以来の技術変革期を迎えているのではないかと思った。Kindleはリアルな書籍のサイマル的存在。一方iPadは多機能機。出版業界に限定される端末ではない」
2010-11-18 15:22:55角川「iPadは出版のみならず映画やゲームなど様々なコンテンツをバンドルして提供できる。『時をかける少女』は元々筒井康隆さんの小説だが実写映画、アニメ版、アニメ版の実写化、音楽など様々な形で提供されている」
2010-11-18 15:25:28角川「iPadがトリガーになって媒体の垣根を越えて1つのコンテンツになるコンテンツの融合が起きるのではないかと思っている。先週電子書籍コミックサミットで神戸芸術工科大の学生がiPadを使ったインタラクティブ漫画を出展した。あれはコミックなのかアニメなのかわからない」
2010-11-18 15:28:00角川「我々のジャンルでいうと、ライトノベルは新しいサブカルチャーだったが、iPadで登場している融合型コンテンツは新たな秋葉原サブカルチャーの可能性を示しているのではないか」
2010-11-18 15:29:09角川「最近の私の仮説として、出版社はネット化し、出版社がソーシャル化するというものがある。角川グループ内に魔法のiらんどという企業があるが、ここからケータイ小説がたくさん生まれている。月間PV35億、ユニーク600万人。累計投稿作品は180万タイトル。男女比は88.7%が女性」
2010-11-18 15:31:23角川「最後の問題提起。Kindleは著作権の流動化の象徴。iPadは著作権は現実的に流動し、他のコンテンツと一体化・融合化していくものの象徴。従来の著作権法が二次元的著作権だとしたら、KindleやiPadで扱われるコンテンツは三次元的著作権になる必要があるのではないか」
2010-11-18 15:35:23菅原「5年前10年前の議論でよくあったのは、BtoC、CtoCといった話。従前の構造はBtoBtoBtoCくらいだった。今の電子書籍などの議論は、BtoBtoCくらいに、Bがちょっと減ったようなものでしかなく、Cの部分は変わらない」
2010-11-18 15:37:30菅原「2年前くらいからニコニコ動画と包括契約した。あれはCを中心に考えて、それはプラットフォームの枠があればその中で自由にしてもらえると思ったから契約したもの。グーグルブック検索が話題になったとき、権利処理データベース作ればという話になったができてない。日本はできている」
2010-11-18 15:40:09岸「電子書籍、米国でも盛り上がってるが垂直統合のAmazonとApple。日本は端末はiPadとシャープのガラパゴスくらい。ほかにはケータイなどいろいろあるが、日本は垂直統合がいいのか水平分業がいいのか?」
2010-11-18 15:42:54角川「今はまだ電子書籍の点数が少ない。恐らく3年か5年かのうちに星の数くらいまで増えていく。数が増えればその分読んで欲しくても読まれなくなる。今はバブルだから電子書籍出せば話題になるが来年にはただ出すだけでは話題にはならなくなる」
2010-11-18 15:44:40角川「その中で知や文化の多様性を確保するには、プラットフォームも多様でなければならない。うちはサブカルに強いグループ。もっと真面目な本ばかりのプラットフォームも、もっとくだけた本ばかりあるプラットフォームがあっていい。それが併存するのが日本型のモデルじゃないかと思う」
2010-11-18 15:45:38杉本「どんなに垂直なり水平で整備しても、ユーザーがそのサービスに興味を持たないと意味がない。電子書籍がネットで使われることが前提となったときに書籍という単語を使うのはどうなの?という根本的問題もある。音楽はアナログからデジタルになったが、音楽は音楽として楽しまれている」
2010-11-18 15:46:50