#日刊小説 まとめ

日刊小説をまとめるよ→まとめたのは支部にあげてくよ http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=4220289 明日の分からは別のまとめにトゥギャるよ!→まとめ2 http://togetter.com/li/704880
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りんねさん @tmn15679

#日刊小説 というものを始めていみようかと思う このタグを入れて140文字以内 1日の投稿は10ポスト前後(8~12くらい) 縛りは1ポスト内で情報や文章が(出来るだけ)完結していること これで1日1000文字前後を毎日書き続ける訓練をする。

2014-08-04 00:10:30
りんねさん @tmn15679

1:エスティリア・ノブレージ、通称エスティは19世紀イギリスに生きる女性探偵である。ベーカー街の探偵を師と仰ぎながら、日々訪れる様々な依頼を解決して過ごしている。表向きは――。エスティの裏の顔は女王陛下の密偵としてロンドンを脅かす闇を撃つことである。 #日刊小説

2014-08-04 00:14:56
りんねさん @tmn15679

2:ノブレージ家は元々は伯爵の爵位を持つ名門貴族であり、その歴史は数百年に及ぶ。だが、エスティの父が保険の投資に失敗したためにノブレージ家は没落、両親は幾ばくかの財産をエスティに残して自ら命を断ってしまった。我が身の不幸を嘆くエスティに、語りかける声が聞こえた。 #日刊小説

2014-08-04 00:17:48
りんねさん @tmn15679

3:現状を変えたいか? エスティの頭のなかに語りかけて来るのは、その声を聞いただけで涙を流しそうなほどの神聖なる存在。それは自らをメタトロンと名乗った。そして、エスティに問いかける。現状を変えたいか、と。 エスティはそれに対してただ頷くしかなかった。 #日刊小説

2014-08-04 00:21:09
りんねさん @tmn15679

4:このままではどのように生きていけばいいのかすらわからない。そんなエスティにメタトロンは力を与えるといった。そして、我と契約せよと告げる。 契約を願うエスティに対して、メタトロンは懐中時計とゴーグルを与えた。曰く、これは世界の歪みを視ることができるものだ。 #日刊小説

2014-08-04 00:24:05
りんねさん @tmn15679

5:世界の歪みは階差(ディファレンス)と呼ばれる。懐中時計は正常ならば0時から1時の間で揺れ動いているが、それが1時を越えて進みだすようなら世界は危険な状況にある。もしその針が午後の11時59分を超え、再び0時を指したならば、世界は破滅を迎えるとメタトロンは告げる。 #日刊小説

2014-08-04 00:26:53
りんねさん @tmn15679

6:そして、ゴーグルは歪んでいる場所を視ることが出来る道具だ。これで歪みを見つければその原因がどこにあるかは分かる、とメタトロンは言う。更にメタトロンは、汝が現状を変えようとして力を振るった際にも階差は産まれる。くれぐれも力の乱用には注意せよ。と警告して消えた。 #日刊小説

2014-08-04 00:29:25
りんねさん @tmn15679

7:メタトロンがいなくなるタイミングで、ノブレージ家の屋敷に一人の男が現れた。左目にモノクルをつけた銀髪の美青年。侯爵家嫡男にして自身は伯爵の爵位を持つ男だ。そして彼は、ノブレージ家とは家ぐるみでの深い付き合いをしていた。「大丈夫かい、エスティ」レナードは問いかけた。 #日刊小説

2014-08-04 00:33:13
りんねさん @tmn15679

8:大丈夫ですわレナード様。天の主はわたくしを見捨てませんでした。メタトロン様が、わたくしに力を与えてくださったのです。 そんなふうに語るエスティの手には、懐中時計とゴーグルが握られていた。 ああ、そういうことなのだな……レナードはそれを見て全てを理解したようだった。 #日刊小説

2014-08-04 00:35:59
りんねさん @tmn15679

9:エスティ、これを見てほしい。そういうレナードの手にも懐中時計とゴーグルがあった。 レナード様、それは……エスティの質問に、レナードは頷く。 これは、神や天使、悪魔といった超常の存在と契約した時に与えられるもの。力の使いすぎを戒めるためと、もうひとつの理由で……。 #日刊小説

2014-08-04 00:38:30
りんねさん @tmn15679

10:その理由とは、世界のことなど気にかけずに自らの欲望のままに力を振るう愚か者のせいで世界に発生する歪み、即ち階差を監視し、その原因を取り除いてほしいという暗に秘められた理由。たとえ悪魔といえども、世界の破滅は望んでいないからだ。 次いでレナードは歪みを説明する。 #日刊小説

2014-08-04 00:41:14
りんねさん @tmn15679

11:歪み=階差とは昨日の続きの今日、今日の先にある明日が本来有り得ぬ方向にねじ曲げられてしまったことを示す概念だ。それ故に歪みが蓄積すれば世界は誰もが望まぬ方向に進んでいって、やがては破滅する。それ故に階差の解消が必要なのだ。レナードの言葉が、恐ろしく思えた。#日刊小説

2014-08-04 00:44:28
りんねさん @tmn15679

12:それはともかく、とレナードは語る。ともあれ君は今日を、そして明日を生きなければなるまい。ノブレージ家の没落を防げなかったのは無念の極みだが、その分、我が祖霊アルテミスに誓って君を必ず幸せにしてみせる。レナードがそう宣言した、瞬間、世界が揺らいだような気がした。 #日刊小説

2014-08-04 00:48:55
りんねさん @tmn15679

ということで今日の #日刊小説 はおしまい

2014-08-04 00:49:55
りんねさん @tmn15679

昨日暇がなかった分、深夜に #日刊小説 をやる。

2014-08-05 02:41:20
りんねさん @tmn15679

13:それは、レナードの誓いが、世界に受け入れられた瞬間の揺らぎだった。これ以降、レナードがエスティの幸せのために取る行動には、世界の助力によって少しでもうまくいくように有形無形の様々な力が働くことになる。 #日刊小説

2014-08-05 02:45:26
りんねさん @tmn15679

14:それから、レナードはエスティをノブレージ家の屋敷から連れだすと、馬車を走らせて王宮へ向かった。 王宮で待っていたのは女王ヴィクトリアその人で、女王は穏やかな笑みを浮かべながら告げた。 ようこそ、レディ・エスティリア・ノブレージ。 #日刊小説

2014-08-05 02:47:17
りんねさん @tmn15679

15:レナード伯爵……女王はレナードに話しかける。あなたの送った使い魔により、状況は把握しています。あなたの選択は、まかり間違えればこの娘の命を奪うやもしれません。それでもよろしいのですか? 女王の言葉は、心の底から心配するような響きだった。 #日刊小説

2014-08-05 02:49:31
りんねさん @tmn15679

16:あの、どういうことですの? エスティはレナードと女王に尋ねる。その問いに対して、女王は答えた。 この男は、貴女を私の密偵にせよと言っているのです。それが、危険を伴う仕事であるのを知りながら。 女王の言葉は、エスティを心配する様子だった。 #日刊小説

2014-08-05 02:51:59
りんねさん @tmn15679

17:ノブレージ家は王室とほぼ同時期に勃興した名家。そして、伯爵もまた、その頃よりの付き合いと聞きます。そんなノブレージ家が没落してしまったのは、私としても悔恨の極みです。 女王は言葉を続ける。 #日刊小説

2014-08-05 02:53:58
りんねさん @tmn15679

18:そんなノブレージ家の唯一の生き残りである貴女が、大天使メタトロンの声を聞いたのは、何かの縁なのかもしれません。わたくしの密偵となって、帝国の夜に蠢く邪悪を狩る仕事をあなたが引き受けるならば、破格の報酬を用意しましょう。おそらく、三年後には再興できるはずです。 #日刊小説

2014-08-05 02:56:37
りんねさん @tmn15679

19:夜に、蠢く……? エスティの疑問は当然だろう。これには、女王に変わってレナードが説明した。夜陰に紛れて犯罪を行うのは、犯罪者共の常道。さらに、魔術や霊的な存在は、昼にはその力を発揮できず、夜になると軛を説かれる。密偵とは、夜の住人から、臣民を守る仕事だ。 #日刊小説

2014-08-05 02:59:38
りんねさん @tmn15679

20:わかりました。 エスティは頷き、密偵になる決心をする。 ですがレナード様、私はどうやって暮らしていけばいいのでしょう? エスティの切実な問いに、女王にとある男を紹介する許可を得ると、先頭に立って歩き始めた。そして、とある部屋に到着する。 #日刊小説

2014-08-05 03:03:49
りんねさん @tmn15679

21:久しぶりだな、マイクロフト。 レナードは、男に対して挨拶も抜きに話しかける。マイクロフト・ホームズは人付き合いが苦手な面があるため、レナードも無駄な挨拶はしないのだ。 彼女がメタトロンの声を聞いた。君と君の弟の助力を得たい。そんな風に、マイクロフトに頼み込んだ。 #日刊小説

2014-08-05 03:06:27
りんねさん @tmn15679

22:ふむ……あの愚弟か……。まあ、こちらとしても最大限便宜は図る。他に何か用事はあるか? ないならばお引取り願おうか。 マイクロフトに追い立てられるようにして歩き出した二人は、今度は蒸気自動車を拾ってベーカー街へと向かったのであった。 #日刊小説

2014-08-05 03:08:21
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