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イーフー・トゥアン『個人空間の誕生』メモ集

地理学者イーフー・トゥアンの『個人空間の誕生――食卓・家屋・劇場・世界』(阿部一訳、1993、4)の読書メモ。原題はSegmented Worlds and Self : Group Life and Individual Consciousness。
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荒木優太 @arishima_takeo
「ローマの学者であったプリニウス(西暦二三年-七九年)は、自分の奴隷が客に大きな声で朗読するときにはいつもノートを取っていた。プリ二ウスはいつも人生の短さを意識しており、知識を得るどんな機会でも逃すことを嫌っていたのである」(トゥアン『個人空間の誕生』)。なのに奴隷という…。
荒木優太 @arishima_takeo
テーブルマナーは疑い無く、ヨーロッパの生活において心暖まる群集性を避けようとする傾向が次第に強まったことを反映しており、またその傾向を促してもいた。byトゥアン『個人空間の誕生』
荒木優太 @arishima_takeo
他人と寝室を共にするのは、現代人にとって気分の悪いことである。しかし昔の人々は、高貴な人であっても卑しい人であっても、睡眠に別々の部屋が必要であるとは感じていなかった。中世をさかのぼればさかのぼるほど、人々が個別には寝ていなかったことがわかる。byトゥアン『個人空間の誕生』
荒木優太 @arishima_takeo
フロイトの人格の概念は中産階級の家の構造を基にしているように思われる。つまり、貯蔵庫はイドであり、存在の暗黒の基盤、熱情を煽るかまどの場所である。居間はエゴ、すなわち公的・社会的自我である。屋根裏部屋はスーパーエゴであり、詩人や内向的な子供のための夢の場所なのである。byトゥアン
荒木優太 @arishima_takeo
フロイトはかなり計画的に、自分の家の診療室を子宮に見立てた。自己への引きこもりと自己の超克はどちらも乱雑な子宮のような部屋で可能だったのだ。byトゥアン『個人空間の誕生』
荒木優太 @arishima_takeo
「役者たちに舞台全体を自由に動き回らせ、必要な時には彼らの背中を観客に向けさせた最初の舞台監督の一人が、ヴィクトル・ユーゴーだったのである」(トゥアン『個人空間の誕生』)。昔の舞台では役者と観客の差異は曖昧で、両者は掛け合いをしていた。が、これが次第に変わっていく。興味深い。
荒木優太 @arishima_takeo
普通の家を舞台に自然な言葉を使って演じられる人間のきずなと争いの個人的なドラマは、役者と観客の間に明確な線が引かれるにつれて実現可能になった。byトゥアン『個人空間の誕生』
荒木優太 @arishima_takeo
「われわれは皆、接触が「タッチング」であり、他人に触れることで愛情を示したり慰めを与えたりできることを知っている。接触は文字通り自己と世界を結び付けているのだ」(トゥアン『個人空間の誕生』)。そう、偶然性contingencyの問題も、接触touchのモードとして考えねばならぬ。
荒木優太 @arishima_takeo
「「スタイラス(尖筆)」という言葉はもともと杭や、槍のような器具を意味し、「スクライブ」は、切断や分離を意味する古インド・ヨーロッパ語のskeriを起源としているのである」(トゥアン『個人空間の誕生』)。文体styleの先端性。すごいデリダっぽい話。
荒木優太 @arishima_takeo
「西暦四世紀に二九あったローマの図書館は、必ずしも静かな別世界というわけではなかったのだ。われわれは黙読を当たり前と考えている。しかしアウグスティヌスはアンブロシウスが無言で読んでいるのを見てびっくりしたのでる」(トゥアン『個人空間の誕生』)。これはすごい前田愛的な話。
荒木優太 @arishima_takeo
「シモーヌ・ヴェイユは、彼女が翻訳した 『イーリアス』に「力の詩」という適切な副題をつけた」(トゥアン『個人空間の誕生』)。へぇー、知らなかった。
荒木優太 @arishima_takeo
世界主義(コスモポリタニズム)と個人主義は、同じ歴史的な過程の産物である。コスモスへの忠誠は、実際には、地上の何か特定のものに対する忠誠がみられないーー少なくと完全な献身はみられないーーということを意味しているのだ。byトゥアン『個人空間の誕生』
荒木優太 @arishima_takeo
演技の領域と観客の領域が交錯し、観客は劇に引っ張りこまれ、否応なしに芝居の一部となる「環境型劇場」というアイディアがあったらしいが、これってアルトーの「残酷演劇」と何が違うのだろうか。 pic.twitter.com/hcpMoDMNQ3
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荒木優太 @arishima_takeo
トゥアン『個人空間の誕生』読了。虫食い状態だったのをちゃんと通読した。トゥアンは『空間の経験』以来だったが、やっぱり面白い。「風土」みたいなことを今考えようとすると、不可避な思想家だと思う。本書も社会構成主義を、家や舞台といった具体的な観点で展開していくから、納得度が高い。
荒木優太 @arishima_takeo
「プライヴァシー」の考え方の変遷みたいなのを、ちゃんと勉強しておくべきなんだろうと思う。アレント的にいえば、パブリックから疎外された(市民ではなく奴隷の)属性こそ、それだった訳で、それがどのように転倒していったのか。(まぁ、アレントが間違ってるという可能性もある気がするが…)。
荒木優太 @arishima_takeo
あと、ノベルト・エリアス『文明化の過程』、ロベール・ミュシャンブレッド『近代人の誕生』、アルマン『中世における個人と社会』、ルイス・マンフォード『都市の文化』、このへんを読むべきだと悟った。

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