MM祭り
- DaiskeIkegami
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コーエンの強制法の後,集合論で起こった大きなブレークスルーってどんなものがあるだろう,という話をAsperoとした。挙がったのは以下の三つ:1. Proper forcing, 2. MMとその後の一連のイベント,3. PCF theory.
2014-08-12 16:07:35@DaiskeIkegami Minimal walk とか canonical structures が入っていないので,くるるさんにぶち殺されるかも。
2014-08-12 16:08:14@DaiskeIkegami そうそう,思い出した。何でこんな話になったかっていうと,「去年は強制法生誕50年だったけど,今年はMartin's Maximum生誕30年だからお祝いしなくっちゃ!」とAsperoが言い出したからだった。僕は大いに同意した。
2014-08-12 22:09:00@DaiskeIkegami この前ウィーンでMMをさらに強めた公理の話をしていたら Matt Foreman いてびっくり。MMのモチベーションについて話し始めたときに気付いて,「Oh, Foreman! Now I should shut up.」と言ってしまった。
2014-08-12 22:13:12@DaiskeIkegami 集合論の歴史が動いた瞬間に立ち会った人の前で,まさにその話の延長線上について語る,というのも不思議な感じだった。あのとき,MM生誕30周年ということに言及すればもうちょっと盛り上がったかも。
2014-08-12 22:16:41そーいや、Maritn's Maximumの論文は1984年出版だった。学生の時に先輩と読んだけど、この論文はアイディアの塊であり、これが2本の論文で収まってるのは恐ろしい。
2014-08-12 22:20:17@DaiskeIkegami 注:Martin's Maximum は Foreman, Magidor, Shelah の三人によって導入されました。
2014-08-12 22:22:25今となっては論文のアイディアは標準的、というか「これくらい知ってなきゃダメだろ」的なものになっちゃってます。漫画でいうと「大友以前・大友以後」的な感じかなぁ。
2014-08-12 22:33:40いろんな話の切り口があるけど,まずはイデアルの話から(環上のイデアルじゃなくて集合上のイデアルね)。
2014-08-12 22:41:37イデアルの飽和性について(参考文献これ:bit.ly/1oGzWCv)。集合X上のイデアルⅠがあると,Ⅰに属さないXの部分集合全体に,modulo Ⅰでの包含関係を入れると,擬順序ができる。基数κが与えられたとき,Ⅰがκ飽和とは,この擬順序がκ-ccを満たすこと。
2014-08-12 22:46:09で,どの集合上のⅠがどのくらいの飽和性を持つか,という問いは,Tarskiのころから考えられてたみたい。例としては,ルベーグ零集合全体はこんな感じで見れて,ω1-飽和になってる。
2014-08-12 22:48:03これから考えるイデアルたちは,ある不可算基数上のもので,σ-completeかつnormalとする。どういう基数上にどのくらいの飽和性を持つイデアルが存在するか,という問いが考えられてきた。
2014-08-12 22:50:55簡単な例としては,可測基数上には,2-飽和なイデアルが存在する。で,可測基数でないlimit cardinal上にどのくらいの飽和性を持ったイデアルが存在するか,という問いには,1970年代前半に既に完全回答が得られていた(文献:bit.ly/1oGzWCv)
2014-08-12 22:53:39さて,では,successor cardinal κ上にどのくらいの飽和性を持ったイデアルが存在するか,という問題が残ったわけだけど,κ-飽和なイデアルは存在しないことをソロヴェイは示した。
2014-08-12 22:54:49さらにソロヴェイは,successor cardinal κ上にκ^+ 飽和なイデアルが存在したら,そのイデアルから前述の方法でできる擬順序のV-ジェネリックフィルターGがκ上のV-超フィルターになる事実を使い,VのGによるウルトラパワーUlt(V,G)をとることで,以下を示した
2014-08-12 22:58:481) 構造(Ult(V,G), \in)はV[G]でwell-founded,2) Ult(V,G)のtransitive collapse を取ったとき,Ult(V,G)はV[G]上のκ列について閉じている,3) ウルトラパワーマップをjとしたとき,j(κ)はVでのκ^+.
2014-08-12 23:01:28これら3つの事実から言えることは,前述のj が,V[G]で定義された,V上のalmost huge elementary embedding になっているということ。
2014-08-12 23:05:20κがalmost huge であるとは,j:V to M でMが<j(κ)列について閉じているような j で critical point がκになっているものが,Vで定義可能に取れること。Almost hugeness は超コンパクト基数より強く,huge より弱い。
2014-08-12 23:06:41当時の感覚だと,almost huge embedding がVで定義可能に取れることと,ある強制拡大V[G]で定義可能に取れることには,それほどの差がなかったようで,sucessor cardinal κ上のκ+飽和なイデアルの存在は,超コンパクト基数より強いものと思われていた
2014-08-12 23:10:01そんななか,Kunenはhuge cardinalを使って,ω1上のイデアルでω2-飽和なものが存在することが無矛盾であることを示した。(文献:bit.ly/1oGzWCv)この文献見ると,Kunenが後者の命題が超コンパクト基数より強いものと思ってたことがわかる
2014-08-12 23:13:11そして,Kunenは,NS_{ω1}がω2-飽和になることが無矛盾かどうか,open problem として挙げた。当時,NS_{ω1}がω2-飽和だったら,ω1上のnormal idealが全部,ω2-飽和になることは知られていたので,これは自然な問いだった。
2014-08-12 23:15:24