刑法学たん 公然わいせつ罪の保護法益について

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刑法学たん @keihougakutan

@Juris_tan 性的表現を刑罰で規制するべきか、というのはちょっと話が広すぎるので、公然わいせつ罪・わいせつ物頒布等罪の保護法益に関して、少しだけ私見を述べるわ。

2014-08-14 20:02:44
刑法学たん @keihougakutan

@Juris_tan まず確認として、判例はわいせつ罪(公然わいせつ罪とわいせつ物頒布等罪)の保護法益を性道徳ないし性秩序の維持に求めているわ。これに対しては、多様な価値観が共存する社会において一定の性的モラルを国家が刑罰によって強制することは妥当でないとの批判が昔からあるわね

2014-08-14 20:05:53
刑法学たん @keihougakutan

@Juris_tan そこで、保護法益を見たくない者の見ない自由(及び青少年の保護)に求める見解が根強く主張されているわ。この見解によると同意のある者の間でわいせつ物を販売したりストリップショーを行う場合には不可罰となるわね。もっとも、この見解には立法論としてはともかく(続

2014-08-14 20:08:18
刑法学たん @keihougakutan

@Juris_tan 現行法の解釈としては無理があるとの批判があり、判例も、175条は他人の見たくない権利を侵害した場合や未成年者に対する配慮を欠いた販売等の行為のみに適用されるとの限定解釈をしなければ違憲となるものでないとして、この立場を否定しているわ。

2014-08-14 20:09:10
刑法学たん @keihougakutan

教唆犯の意思で幇助犯の事実を実現したときや、その逆の場合のように、異なる共犯形式にまたがる錯誤については、共犯は正犯行為を通じて法益侵害・危険を惹起する行為である点で共通しており、構成要件の実質的な重なり合いが認められるとして、軽い共犯形式の範囲内で共犯が成立するとされるわ。

2014-08-14 20:09:11
刑法学たん @keihougakutan

@Juris_tan 学説では社会の健全な精神的・文化的環境をわいせつ罪の保護法益とする見解も主張されているわ。この見解は性秩序・性風俗の維持を社会環境の保護として捉え直したものともいえるわね。個々の行為に侵害性は軽微であっても、およそその種の行為を一般的に許容した場合には(続く

2014-08-14 20:10:55
刑法学たん @keihougakutan

@Juris_tan それが性に関する商業主義とも結びついて、見たくない人の権利が脅かされたり、青少年が害される環境が形成されるといった弊害が生じうる点で、社会侵害性が認められ、規制に合理性があるとするの。

2014-08-14 20:12:10
刑法学たん @keihougakutan

@Juris_tan 社会の健全な精神的・文化的環境を問題とする見解は、判例の立場を踏まえつつ解釈論として処罰範囲の適正化を図るという点からは理解できるものの、結局のところ、抽象的な可能性を処罰根拠とするもので、モラルの押し付けと変わらないように思われるわ。

2014-08-14 20:14:24
刑法学たん @keihougakutan

@Juris_tan 私は、性的表現の規制根拠として合理性が認められるのは、見たくない者の見ない自由の保護(意思に反して性的表現に接することにより性的感情(性的羞恥心や性的嫌悪感)が著しく害されることを防止すること)であり、現在の規定はこのような場合に限定されていないから(続く

2014-08-14 20:15:57
刑法学たん @keihougakutan

@Juris_tan 過度に広汎な規定であるとして違憲だと考えるわ。合憲限定解釈は難しいと思う。

2014-08-14 20:18:55
刑法学たん @keihougakutan

@Juris_tan なお、わいせつ物は性犯罪を誘発するから禁止すべきだという考えについては、実証的な裏付けを欠いており、また、実際に影響を受けて犯罪を行った者がいたとしてもその者を処罰して性犯罪を禁止する行為規範の妥当性を確証すれば足りるので、妥当とはいえないわ。

2014-08-14 20:22:51
刑法学たん @keihougakutan

@Juris_tan わいせつ物の表現内容が性犯罪を直接的に扇動していて、その結果、犯罪が実行させた場合には、教唆や幇助で処罰すれば十分。

2014-08-14 20:28:59