アイヌ語爺さんのアイヌ文化へのエール

アイヌ文化政策に関する研究者たちのツイートを巡っての、アイヌ語爺さんのアイヌ民族と文化へのエールです。
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非ウポポイ系アイヌ @aynuitak_jiji

①さてお昼過ぎ。TLの流れが穏やかになったところで、少し長いRTをさせてもらう。アイヌ文化行政への批判は私も繰り返ししているが、それは傍からのものではなく、それに関わる当事者としての告発である。

2014-08-15 13:33:44
非ウポポイ系アイヌ @aynuitak_jiji

② 当然言うだけではなく、でき得る限りその改善に努めている。昨日私と同じ立場で大変勇気あるツイートがなされた。勇気があるとは、そんな事黙っていて流されてればウハウハだからだ。それが大人の対応というものかもしれないが、それでは世も末だ。わずかな善意が世を支えている。

2014-08-15 13:39:04
非ウポポイ系アイヌ @aynuitak_jiji

それではまずお一人のツイートから。

2014-08-15 13:40:54
丹菊逸治 @itangiku

アイヌアニメ「オルシペスウォプ1・2」について誤解があると嫌なので改めて書いておく。まるで私が作ったかのように聞こえるかもしれないが、そんなことはない。映像制作、音声・SEはクリエイターの仕事。DVD制作は制作会社の仕事。私はあくまで文化考証を中心とした事実上の監修だけ。

2014-08-14 16:31:22
丹菊逸治 @itangiku

アイヌアニメ「オルシペスウォプ1・2」について誤解があると嫌なので改めて書いておく。まるで私が作ったかのように聞こえるかもしれないが、そんなことはない。映像制作、音声・SEはクリエイターの仕事。DVD制作は制作会社の仕事。私はあくまで文化考証を中心とした事実上の監修だけ。

2014-08-14 16:31:22
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku 私はアイヌ文化財団の編集委員になった。研究者として職務の範囲内で参加した。大学から給料をもらっているので手当は辞退している。事実上かなりの範囲で仕事をすることにはなったが、私に大幅な権限があったわけではない。予算細目も作品の仕様も基本的に変更できなかった。

2014-08-14 16:35:32
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku いくら少人数制とはいえ、アニメ制作は大勢の人間が関わる仕事である。何十人もの人間が関わり、1千万近い金が動く。だが、カネをかけただけでは出来ない。私がやったのは文化考証と協力体制の維持だけだが、事実上はコーディネイター的な仕事だった。

2014-08-14 16:45:40
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku 映像制作、音声・SE、声優の方々は、実はこのアニメの「実現困難さ」を実感していないようだったが、いずれ分かっていただけることだろう。このようなアニメは今後少なくとも20年は作られないだろう。

2014-08-14 17:04:19
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku このアニメが画期的なのは「アニメとしての品質が高い」こと。この一言に尽きる。一般にアイヌ関係の事業者・研究者は、外部クリエイターとの共同作業の成果物の品質が低い理由を理解していない。だから今後も低品質なものが作られ続けるだろう。

2014-08-14 17:10:57
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku さて「オルシペスウォプ」制作状況の話に戻る。「5分程度の作品を3つ」「アイヌ語口承文芸の教材」「アイヌ語の語りに映像をつけたもの」という仕様に加え、「著作権関係の取り扱い方」も事前に決まっていて私にはほとんど裁量がなかった。

2014-08-14 17:16:01
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku プロポーザル形式の入札事業。事業者は「用意された歌の録音5分に合わせて適当に絵を動かす」作品を3つ作るだけだと思って落札する。事業者はまた、全国の同じような「官製教材アニメ」を参考に品質を決める。我々編集委員には予算の細かい使い道に口を出す権限もない。

2014-08-14 17:28:30
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku 公共事業というものは怖ろしい。「仕様」さえ満たしていればいい。誰でも分かる客観的な基準で問題がなければ納入される。つまりアニメ事業においても、「芸術点」「作品の出来」なんていう主観的にしか測れないものは基準にならないのだ。

2014-08-14 17:30:53
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku つまり官製アニメをはじめとする文化事業なんてものは、手を抜こうと思えばいくらでも抜けるのである。黙っていれば自然に質は下がる。逆に品質向上の圧はほとんどない。ウソだと思うなら全国の官製アニメや教材映像とその制作費をチェックしてみればよい。

2014-08-14 17:37:21
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku ほぼ百パーセント外注になる官製映像の品質は、クライアントである行政側の「映像制作の理解度」に大きく左右されるのである。アニメでも教材映像でも。もちろん、たんに担当者が個人的に映像にうるさいだけでは何の役にも立たないが。

2014-08-14 17:41:21
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku アイヌアニメの編集委員として私が参加した段階で、仕様や権利関係の処理だけでなく、すでに「どんなアニメになるか」という品質はほぼ決まっていた。クライアントのアイヌ文化財団は、よくある手抜きFLASHアニメか何かを予想していたらしい。

2014-08-14 17:46:07
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku 私は全国各地の官製アニメ(自治体PRアニメなど)とその制作会社、札幌のアニメ制作業者・クリエイターとその作品をリストアップした。2012年の段階ではすでに映像クオリティは2極分化しており、その要因が主として事業計画そのものにあることもすぐに分かった。

2014-08-14 17:52:03
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku ものすごく簡単にいえば、クライアントと事業者の間にコーディネイターが必要なのである。事業者が用意したのではだめだ。クライアントである行政内部の人間でもだめだ。成功例を見るとどこも、何らかの手段でコーディネイターを配置した特殊な事業スタイルをとっていた。

2014-08-14 17:58:32
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku そこで私もまず編集委員会にコーディネイターを参加させることを考えた。アニメ制作の知識がある人間でなくてはならない。だが「アイヌアニメ」ではアイヌ文化関連特有の別の要素もある。外部の人間を入れれば時間が余計かかることが予想できたが、制作期間に余裕はなかった。

2014-08-14 18:04:05
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku 私は外部コーディネイターの調達を諦め、音楽制作の経験がある妻(篠原智花)にボランティアで協力してもらうことにした。私たち夫婦で文化考証とコーディネイトをする体制にした。私たちには何の権限もなかったが、「付け焼刃の知識」と「進行を調整する力」だけは用意できた。

2014-08-14 18:10:53
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku アニメ事業において、私たちは歯車の一つにすぎなかった。だが、歯車の「あそび」を最大限に利用して方向と品質を制御した。例えば全体会議の回数は決まっていたが、個別の「打ち合わせ」の回数は決まっていない。ならば「打ち合わせ」回数を増やして最大限の情報交換をする。

2014-08-14 18:14:10
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku どんなアニメの映像になるか、進行に合わせてありとあらゆる可能性を考えておく。アイヌ文化にかんする相手の誤解を予想しておく。「この絵でいいか」と制作者に聞かれたときに即答できるようにするためだ。絵だけでなく脚本においても同じ作業をする。

2014-08-14 18:17:40
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku アニメ映像作家とのやりとりのほかに、全体の仕様の話もしなくてはならない。こちらは私に変更の権限がないので、粘り強く交渉するしかない。当初声優を使う予定はなかった。声優を使えばその分出費がかさむ。「声優を使ったアニメ」自体にも財団は難色を示した。

2014-08-14 18:26:00
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku だが予算規模に見合った内容にするには、財団が予想していたような「手抜きFLASHアニメ」では駄目なのだ。また、録音に絵をつける方式は難しい割に「出来映え」が分かりにくい。私はどこに行っても制作費を隠さずにすむようなアニメにしたかった。

2014-08-14 18:30:08
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku 「口承文芸の録音」に合わせて絵が動くというコンセプトは、基本的にアニメのパフォーマンスを殺す。「60のゆりかご」「ハンキリキリ」は奇跡的な素材なのである。「ルロアイカムイ」は長いので一部だけ切り出して絵をつけることにしたが、アニメの出来は不安だった。

2014-08-14 18:38:13
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku そこでアニメ制作者と相談して「脚本アニメ」の構想を立てた。財団はOKを出していなかったし、声優が使えるかどうかも不透明だった。実現できないかもしれないと承知の上で、制作者は同時並行作業を引き受けてくれたのだ。そこで私も腹を決めた。

2014-08-14 18:41:28