徳島は記録的な大雨。PKディック「ヴァリス」に、夢で自分の父親の若き日の記憶を体験する下りがある。おれも同じ経験をした。父である自分は若者らしい朗らかな蒙昧さに溢れ、どこかの海を恍惚と見ていた。その時着ていた黄色いポロシャツは今おれが所有している。
2014-08-03 14:42:42「現実とはなにか」ということに、P.K.ディックはそれはもう苦悩する訳です。自身の神秘体験を語るために、妄想を生きる自我とそれを相対化する自我に分裂させて、危機に瀕して「真のキリスト」とのグノーシス的な秘密の交わりの一点にようやっと到達する。日本人にとってみれば、
2014-08-05 08:29:21「現実とはなにか」なんていう主題が、そんな考え込んで、危機と跳躍でキリストと秘密の交わりに至らないと解決できないような、そんな大問題だということがどうしても理解できない。現実なんてあんた、本音と建前でくるくる巡っていくものでしょ、なにがそんなに大問題なの?と。
2014-08-05 08:31:42山形浩生訳「ヴァリス」の後書きで、新訳においてはこの分裂した自我のもう片方、妄想を妄想として相対化しようと努め続けるディックのほうを(かつてのアンバランスを是正する意味で)際立たせた、と触れている。なるほど山形氏らしい視点だが、同時にこの「そっちも大事なんだよね?」という前提が
2014-08-05 08:37:58極めて日本人らしい無意識的な前提からくる「大きなお世話」でもある、とは言えるのではないか。「ヴァリス」のクライマックスは息子クリストファーに施す秘密のイニシエーション儀式であり、その秘密の一点は妄想からも相対化からも切り離された「聖なる瞬間」であり、
2014-08-05 08:41:01日本人的感覚に準えれば「本音」と「建前」が止揚された「間」の聖性である。おそらく、ここにある種の「聖性」を認めること、それを聖性と呼ぶことを躊躇するような感覚が、バブルから311までの期間のある世代的感覚としてうっすらと存在することはあちこちで触れてきた。何故突然この話かというと
2014-08-05 08:46:47放射脳、ヘイトスピーチとカウンター、32年ぶりの朝日新聞の記事訂正、ガザ、米国での大麻解禁、と、今日の日本人は極めてディック的な揺さぶりの直撃を受けていて、ならばディック読者、「秘密のディック読者」ならではの身の振り方というものがあろう、ということを暑いから考えた、のである
2014-08-05 09:01:56おれは特段にP.K.ディックが好きという訳ではないのですが。どっちかというと「そんなに苦悩するような話?」と茶々を入れる側でして、シュタイナーのアホ性を愛するシュタイナー派、ディックの苦悩をヨシヨシと抱きしめつつハリセンで打つ、みたいな。今日は暑いよまったく。
2014-08-05 09:07:27リンク忘れた。ヴァリス〔新訳版〕 amazon.co.jp/dp/B00LITTJD6 ついでに映画「アルベマス」bp.cocolog-nifty.com/bp/2014/07/rad…
2014-08-05 09:11:45