FF6二次創作【鎮魂のアリア】その1

これまで挙げたFF6二次創作(http://togetter.com/li/540034)⇒(http://togetter.com/li/704351)のうち、ピクシブにおいて文字制限のせいで数回に渡り分けねばならなくなった長編です。これはその第一回に分けてあります。続き⇒http://togetter.com/li/709810
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みなみ @minarudhia

FF6二次創作小説で立て続けにライブツイが難しいですが、シリーズとして成立してる『鎮魂のアリア』のライブツイを開始します。

2014-08-16 23:07:33
みなみ @minarudhia

この鎮魂のアリアは流離う僧と見守る白い竜(togetter.com/li/540034)、奇妙な共闘(togetter.com/li/704351)と三部作になっています。そして、これまでの二作と違いホラー表現およびグロ表現付きです。

2014-08-16 23:16:28
みなみ @minarudhia

そして今回のライブツイに辺り、その辺りの描写を少しばかりハードモードにするたくらみがあります。ピクシブに投稿した際あまり過激すぎるとR18Gになってしまいかねないからです。

2014-08-16 23:17:57
みなみ @minarudhia

そして、これらの話をライブツイした間に書きおろした『約束交換』は私の中においてのED後のフィガロ兄弟の関係ないしマッシュ像を書いてもいるものです。長編はピクシブでのみ公開する腹積もりですが、よかったらお付き合いください。

2014-08-16 23:23:28
みなみ @minarudhia

それでは、開始します。その都度良い所で分けてまとめに更新することになりますので。

2014-08-16 23:24:05
みなみ @minarudhia

FF6二次創作小説【鎮魂のアリア】

2014-08-16 23:25:12
みなみ @minarudhia

狂気の魔導士が倒れ、世界から遂に魔導の力が消えてから2年後―― かつて志を共に戦った者達は思い思いにそれぞれの行くべき道へと散らばった。 もはやかつての世界はどこにもないが、これからの未来に希望があることを垣間見ながら進むために。 世界の復興は少しずつその一歩一歩を進めていた。

2014-08-16 23:25:51
みなみ @minarudhia

貴族の街ジドールを今日も太陽のうららかな日差しが照らす。 その日差しが窓から差し込み、一日の始まりを穏やかに告げる。 日の光を受けて一人の貴族が目を覚ましたのは、朝の七時ほど。

2014-08-16 23:27:33
みなみ @minarudhia

恰幅のいい身体を持ち上げるように起き上がると、つかつかと階段を下り、様々な絵画に彩られた廊下の間を進んでいく。 壁を飾る絵画はどれも彼が家に招いてきた一級の画家の手によって描かれたものだ。 しかし、これだけのコレクションも、今は彼の心を強く惹くものではない。

2014-08-16 23:28:33
みなみ @minarudhia

日の差さぬ地下室に油絵具とカンバス、そして埃の匂いが充満している。 部屋はこれまで彼が招いた画家のためのアトリエとなっており、今はどの画家以上に優れた筆を発揮している一人の少女のものとなっている。

2014-08-16 23:30:35
みなみ @minarudhia

大きなカンバスに描かれているのは、絹のような質感を思わせる亜麻色の髪と透けるような白磁の肌に、穢れのない白布を纏わりつかせた美しい裸の女。

2014-08-16 23:31:35
みなみ @minarudhia

それをたった一本の筆で描き続けていた少女は、ふうと一息ついて、細い腰に両腕を当てる。 家の、そしてこの部屋の主たる彼に気づいたか、ふらりと後ろを振り返った。

2014-08-16 23:31:42
みなみ @minarudhia

「あ、アウザーさんおはよう」 「おはよう、リルムや。今日はいい天気じゃよ」 つかつかと杖をつきながら歩み寄り、アウザーと呼ばれた見事な恰幅の貴族はカンバスを見上げた。 それに気付いた少女が頬についた絵の具を腕でぬぐい、パタパタと服をはたく。

2014-08-16 23:32:39
みなみ @minarudhia

「仕上げまで後ちょっとなの。でも時間経つの早いなぁ…もう朝なんだね」 「上へ上がっておいで。朝食を食べるとしよう」 「そんならパンケーキがいいな!いつもの、ふわっふわのやつお願い!」 「よしよし」

2014-08-16 23:33:49
みなみ @minarudhia

ぱたぱたとアウザーを急かすように駆けだすリルム。 その様子に一晩かけて作業をしたことへの疲れは見られない。 これからの一日をどうしようかと考えるアウザーの耳に呼び鈴が聞こえたのはその時だった。

2014-08-16 23:34:24
みなみ @minarudhia

「……どうしよう、これ…」 人通りの少ないジドールの路地を一人歩くのは190cmもの見事な体躯と金髪碧眼のモンク僧。 手元にある数枚の紙片を手に、彼は困惑の表情を浮かべていた。

2014-08-16 23:35:33
みなみ @minarudhia

「兄貴のやつ、リルムでも呼んで観てこいって言うが、俺オペラのことはよく知らないんだよな…」 数日前、久方ぶりにフィガロ城へ帰って来た彼は兄と話が弾んだ折にオペラ劇場のチケットを押し付けられるように渡されてしまったのである。

2014-08-16 23:36:33
みなみ @minarudhia

なんでも、ジドールから賓客を迎え入れた際に、近々上演があるためその紹介として譲渡されたのだとか。 ―――おまけに、チケットも6枚…いや、7枚あるし。 そう一人ごちながら足取りも遅く進む彼は、前方から歩いてくる人に気づかないままぶつかってしまった。

2014-08-16 23:37:36
みなみ @minarudhia

ゴンッ 「あっ…」 「お、おっと!?」

2014-08-16 23:38:07
みなみ @minarudhia

向こうも前方不注意で歩いていたのだろう。身体が強く当たって相手がよろめく。 筋骨隆々の巨漢にぶつかられるのだから、そのよろめきも大きい。 相手は兄…フィガロ国王エドガーと同じほどの身長のある女性だった。

2014-08-16 23:39:07
みなみ @minarudhia

「すまない…大丈夫か?」 「はい……あ…」 とっさにその女性を支えたモンク僧・マッシュの顔を見上げる瞳が大きく見開かれた。 腰まで届く長い黒髪と銀色の瞳、透けるような白い肌。

2014-08-16 23:44:57
みなみ @minarudhia

美しいというより可憐な顔立ちには、どこか人ならぬ魅力があった。 この町なら深窓の令嬢かうら若い貴婦人であってもおかしくないが、それとは似つかわしくない格好を彼女はしていた

2014-08-16 23:46:01
みなみ @minarudhia

ブラウンのボディス(胴衣)とゆったりとした白いスカート、ボディスの上から羽織った白いケープ。 それ以上に似つかわしくなかったのは、彼女の腰に下がっている、竜を模した白銀の柄の騎士剣だった。

2014-08-16 23:47:23
みなみ @minarudhia

「すまない、考え事をしてつい」 「あ、あの…」 「ん?」 ずっと自分の顔を見つめていることに気づいたマッシュが女性の顔を見返した。 女性の唇はかすかに震え、何かを訴えようとしているかのようである。 そしてその白い頬は、かすかに赤く染まっていた。

2014-08-16 23:48:34
みなみ @minarudhia

「い、いえ、やはり人違い、だったのね…」 「え?」 何かを抑えるかのように呟かれたその言葉にマッシュが瞬いた時。 女性がその脇をすり抜けて走り去っていった。

2014-08-16 23:49:41
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