『イラストレーター・中村佑介氏のＱ＆Ａ③』“自分の絵は好き？”編(2014.08.19)

️ななせ☔️ @naNase_00

@kazekissa こんばんは ある高校のデザイン科1年生です。中村さんにご相談があり、リプを飛ばさせてもらいました。 私は今の高校に入学する前までは正直自分の(上手いかは別で)絵が好きで 自信もありました。ですが、入学して自分と同じ年齢の人の絵や〈続く〉

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@kazekissa 先輩方の作品を見て圧倒され、自分の絵を嫌いになってしまいました。 まわりはドンドン前に進んでレベルを上げていっているのに、私はなにも変わりません。 絵を好きだという気持ちはあるのに、描きたいものが描けなくなりました。 人に私の絵を認めてもらえないのが〈続く〉

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@kazekissa 怖くなりました。それでも私は、絵でごはんを食べていけるようになりたいです。 高校に入学しただけで こうなってる私が、絵を続けられると思いますか？

中村佑介🎨2024カレンダー @kazekissa

【@naNase_00 Q&A①】こんばんは。ご質問ありがとうございます。まずはもう少し詳しく状況を教えて下さいね。①劣等感を感じるのは、ご自分の判断？それとも単に周りと比べて課題の成績が悪い？　②中学まで好きだった自分の絵の一番のポイント（長所）はどんなところだと思いますか？

️ななせ☔️ @naNase_00

@kazekissa ①成績の方は、かなりよかったです。 ただ、自分から見て私の絵はまわりに比べて劣っているようにも見えるし、まわりは自分の描きたい絵をきちんと表現できているのに、私の絵は 描きたいように描けていないんです。 頭の中では「ここはこうしい！」と考えているのに〈続く〉

️ななせ☔️ @naNase_00

@kazekissa 描いた絵は、わたしの頭の中の絵とは全くちがうんです。 ② 自分が描いた絵が好きといいますか、何枚かいても楽しみながら描けていた絵が好きでした。 完璧ではなくても、下手だとしても、「楽しんで描きました」というのが出ていて好きでした。

中村佑介🎨2024カレンダー @kazekissa

【@naNase_00 Q&A②】ということで、本日のQ&Aはデザイン科高校１年生の七瀬さんから。「高校に入ったら周りの子がみんな良く見えて、自分の絵が嫌いになりそう。将来は絵で食べて行きたいのに、今の段階でこんな私は大丈夫でしょうか？」とのこと。

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【@naNase_00 Q&A③】まず『絵を続けられると思いますか？』の質問に「そんなんじゃ無理！辞めちまえ！」と返すのは簡単ですが、おそらく七瀬さんの本当の心は「（どうやったら自信を取り戻せて）絵を続けられますか？」ですよね。第一、明日から高校辞める訳にも行きませんものね（笑）

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【@naNase_00 Q&A④】そこで、"劣等感を優越感に変える方法"なら、自分よりもっと出来ない子を探せばいい。また"自分の絵を好きになる方法"なら、好きな人の絵に近づいたり、褒めてくれる人とたくさん会う等、色々あるのですが、一旦ストップ！これって本当に必要なのでしょうか？

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【@naNase_00 Q&A⑤】僕と七瀬さん、同じく絵を描いていますが違う点がある。それは「いま七瀬さんは勉学の途中にいる」という事。ボクシングに例えるなら、僕は観客席のあるリングで試合をしている。七瀬さんはジムでトレーニングをしている最中だということを、まず自覚して下さい。

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【@naNase_00 Q&A⑥】そこで、試合に勝って泣いて喜ぶボクサー、美しいですよね。憧れちゃいます。それに対し、ジムの練習でサンドバッグを叩いてる自分の姿を鏡に映してウットリしているボクサー……ちょっと気持ち悪いですよね（笑） pic.twitter.com/wJN9w9C8V5

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【@naNase_00 Q&A⑦】つまり、練習において、「どうやったらもっと上手くなるんだろう？」と自分の姿を振りかえることは必要ですが、それはあくまで試合の為の練習であって、それ以上でもそれ以下でもないので、好きになる必要はありません。

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【@naNase_00 Q&A⑧】だから今回の「どうやったら自分の絵を好きになれますか？」は、本当に絵でご飯を食べて行く人になりたいのなら「どうやったら試合に勝てるよう上手くなれますか？」と聞くべきでした。なぜなら七瀬さんは３年後、もしくは７年後、確実にリングが待ってるからです。

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【@naNase_00 Q&A⑨】そして次に"劣等感"はあっても良いと思います。どんなジャンルでもプロになっても「俺なんて…」って言ってる方たくさんお会いしましたよ。それは性格なので、付き合っていくしかないでしょう。僕は優越感、劣等感の前に、将来のお金のことが心配ですが（笑）

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【@naNase_00 Q&A⑩】たぶん七瀬さんから見て「上手いなぁ。。。」と思う同級生や先輩も、実は劣等感を持っています。ただ彼、彼女たちが劣等感を感じている相手は"周りの練習生"ではなくおそらく"プロ"でしょう。何年後かに必ずリングに上がることを想定している。

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【@naNase_00 Q&A⑪】だからどうせ同じ劣等感を持つなら、プロを相手にしましょう。だってその学校のおそらく半分以上は、将来そもそもリングに立たないと思います。そしてプロの作品と、自分の作品を比べると、劣等感を感じる暇もなく、やらなければいけない課題が次々と見えてきます。

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【@naNase_00 Q&A⑫】実例を言いますと、その後の芸術大学に行っても、自分がかつて目指している職業につくのは３割ほど。と言っても他の人が"諦めた"のではなく、専門の大学で勉強するうちに、自分の適性もだんだんとわかってくるので、方向修正をする人が多いのです。

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【@naNase_00 Q&A⑬】僕は大阪芸大のFOコース（※今はない）出身ですが、同級生約50名中、結局、生粋の絵を描く職業についたのは、僕と漫画家の石黒正数くらいでした。

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【@naNase_00 Q&A⑭】そしてそれは「勝ち取った」というより、「続けてた」という方が、今考えると近かったように思います。僕も彼も学校の課題では決して良い点という訳ではありませんでしたから（笑）　でもふたりとも共通して"学校"ではなく"プロ"を目の敵にしていました。

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【@naNase_00 Q&A⑮】まぁ、現時点（高校１年生）でそこまで遠くを見据えなくとも、今はご両親が学費を出してくれているのだろうし、「ねだって買ってもらったおもちゃは、想像と違っていても、壊れるまで遊ぶ」と思って、がんばりましょう。続けてゆきましょう。

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【@naNase_00 Q&A⑯】そしてリングに上がる日に備えて、無心で練習をしましょう。コーチ（学校の先生）の話も噛み砕いてよく聞きましょう。僕もあなたと戦える日が来ることを楽しみに、10年後もリングから下ろされないよう、がんばります。

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【@naNase_00 Q&A⑰】待っていますね。以上、七瀬さんへの解答でした。試合途中なので今日の練習はここまで。リングに戻ります。また。