黒瀬陽平さんとni_kaさんの「たよりない現実、この世界の在りか」展についての展評とその後の呟き(2014.08)
続いて資生堂ギャラリーで『たよりない現実、この世界の在りか』。評判が良い展示だけど、これはどうかな。アトラクションとしては良くできているが、それは「アートのわりには楽しい」というエクスキューズ付きなのでは。相変わらずコンセプトは幼稚で、漠然としてて、中身がない。
2014-08-17 17:10:22スクール生との、懇親会という名の作品相談会を終え、帰路についている間に資生堂ギャラリーの展示のことをまた思い出して腹が立ってきたので、あらためてツイートしておきたい。
2014-08-17 23:34:06『たよりない現実、この世界の在りか』展、会場には品の良いホテルのワンフロアが再現されていて、客室や廊下を探索するアトラクション風の作品になっている。ホテルは、ところどころ非現実的な空間になっている。たとえば、客室にある鏡の中に入ることができ、鏡の向こうにもう一つの客室がある、など
2014-08-17 23:39:34あとジェームズ・タレルそっくりの仕掛けなんかもあったが、まあ細部はともかく、現実そっくりに作られた空間に、ところどころ「裂け目」があり、鑑賞者はその「裂け目」を通って、虚構の世界に少し足を踏み入れるといった作品。
2014-08-17 23:43:18問題なのは、こういった体験をさせることで何をしたいのかが全く不明瞭なこと。私たちの現実はことほどさように「たよりない」ものなんですよ、と、そんなことをわざわざ言うために作られたのか?
2014-08-17 23:46:15ステイトメントを読むと、作者のひとりである荒神明香が、幼稚園の体操の時間に寝転がって空を見上げていた時、空に落ちてしまいそうな感覚に陥ったという体験が語られている。......いやいや、それはコンセプトではなく「動機」でしょうよ。
2014-08-17 23:51:13言うまでもなく、作品づくりのきっかけとなった「動機」と、それを作品化することによって何が表現できるのか、といった拡がりは別のレベルにある。アーティストが「幼児期の特別な体験」をそのまま具現化し、あとは鑑賞者が体験して「想像」してね、というのは最悪の「神秘化」だとぼくは思う。
2014-08-17 23:56:21こういう作品が評判良かったり、ネットで絶賛されてるのを見ると(実際、この展示は非常に評判が良い)、アーティストは甘やかされているなーと思う反面、それは正確に言えば、単にナメられてるのであって、アーティストはこういう天然系天才キャラでやってりゃいいと思われてるんだろうな。
2014-08-18 00:01:00あと、批評としては低レベルだけれども、単に手法がジェームズ・タレルと同じとか、マーク・マンダース的なインスタレーションだとか、そういうレベルの指摘すらないのかね。
2014-08-18 00:06:03黒瀬さんの資生堂ギャラリーの展示『たよりない現実、この世界の在りか』の暴力的に読める評価をRTで拝見して、ある年代における「銀座」や「資生堂」や資生堂パーラーの意味(コンテクスト)をまったく理解していないと思いました。展覧会の行われている土地や場所への理解が粗雑すぎる。
2014-08-18 01:11:18資生堂(パーラー)は、明治から「洋」を受け入れてきて、上流階級や芸者さんが顧客だった。関東大震災で無くなってしまってから再建した建物のパーラーの中は「洋物」の本物でうめつくされていて庶民の憧れだった。ちなみに展覧会のチラシが当時の化粧水オイデルミンのチラシのカラー2色と同じ色。
2014-08-18 01:18:12オイデルミンというのは、当時芸者さんたちがソーダー水を資生堂パーラーで買うとおまけされたものらしいのだけれど、「洋」に憧れたり、洋の人たちに買われたり、銀座の上流階級の紳士に買われた芸者さんたちの心の中に閉じた部屋が再現されたと考えれば鏡のような展開も違うものに観得る。
2014-08-18 01:21:03関東大震災で女性のあこがれだった資生堂パーラーは川島利一郎のデザインで再建されるのだけれど、その時からポイントに使われたのが今回の中で再現されていたランプのえんじ色やブルー。
2014-08-18 01:23:32戦後もおそらく銀座、資生堂パーラーは女性達にとって特別な場所であり続け、母も独身時代に資生堂パーラーへ行った時のお話をよくしたりする。そういう時代が確実にあったことがふまえられて実際にお菓子を販売している資生堂の店舗の裏側に歴史の迷路のように展覧会が行われていたように思いました。
2014-08-18 01:27:08「再現された」2つの部屋に和物が一つもなく、西洋のものだけが置かれていた点、女の子と若い母親らしき人の姿のない足跡/鏡のようにみせかけたもう一つの部屋。明かりが暗いホテルのような作りは、資生堂パーラーの裏側にはこんな歴史があったのかもしれないという思いが充満していた。
2014-08-18 01:31:19作品の見方はそれぞれでよいし感想も自由だし、「おらおら、こんなんだからアートは舐められるんだよ」みたいに出てくるスタイルも面白いと言えば面白いのだろうけれど、あまりに暴力をふるう言動が先に立ちその声が大きいともの作りの弊害になると思います。私は最低限の謙虚さを忘れたくない。
2014-08-18 01:34:45『たよりない現実、この世界の在りか』展は、社長が明治にパリの万博まで行って本物志向の西洋菓子(アイスやソーダー水)を始めて売った資生堂パーラーの顧客が当時は上流階級と芸者衆だったという構造で、そのお客さんの関係性に売買春が想起される、その「裏側、地下」が(続く
2014-08-18 02:11:19完全なる偽物で再現されていたことが興味深かった。またその場所=銀座=資生堂パーラーの特性・歴史をすごく生かしている試みが素晴らしかったです。戦後や今の「あこがれの」消費文化の裏側。女の子の履物のようなものがベッド下にあったのもその歴史から複雑に感じました。
2014-08-18 02:14:50明治から昭和まで、資生堂パーラーに恋い焦がれて行けなかった階層のひとたちの想いの歴史もあの地下の重苦しさに繋がっていたようにも思います。正式な部屋ではない場所い入り込まされる。銀座の織りなす貧富の格差も意識された展示だと思います。
2014-08-18 02:18:36昨日tweetした資生堂パーラーの関東大震災後の再建時のデザインは、パリに当時在住していた川島理一郎さんでした。お名前の誤字申し訳ありません。
2014-08-18 15:46:12藤田さんの「サイトスペシフィック的な作品のコンテクスト」というご指摘はこの展示においては重要かなと改めて思います。他の方の感想も拝読して勉強になりました。「め」は、サイトスペシフィック・アートを志向しているアーティストなので場所への考慮は欠かせないかなぁと。
2014-08-18 23:37:55[[後日]]
そうだ。「たよりない現実、この世界の在りか」展について思うところがあって先日いろいろ書いたけれども、能書きむかつくみたいなご感想も拝見してそれもよく分かるんです。直感的な楽しい展示であることは間違いなくてそれはそれでとても価値のあることだと私は思います。
2014-08-20 00:03:37これ読んだけど、ただ資生堂のウンチク言ってるだけで、作品と全然関係ない。解釈は自由ですが、明らかに作品を見ていない。RT@hamuzou 黒瀬陽平さん、ni_kaさんを中心とした資生堂ギャラリー『たよりない現実、この世界の在りか』展 togetter.com/li/708120
2014-08-20 00:05:15