ケンペイvs座礁艦隊! あとパンツ ~フライングフィッシュ・オブ・アラビアン~ その6
艦娘に関することで「人」や「人間」という単語を含む言い回しを使う時に少しうーんとなるけど、人が読むことを考えたときに「艦」「艦娘」と変えるとマジでなんかしっくりこないので人のままにしてる。
2014-08-20 14:48:36『cargo2:tpd301を収容。戦闘続行不可能なためこのまま離脱させる。カーゴ1と一緒に302、303を戻す』名取の保護と修理を受け持った明石から、叢雲へIRCが走る。『tpd101:ネガティブ。カーゴだけでは敵の攻撃に対応しきれない。全員そのまま同伴させて離れろ』 31
2014-08-20 20:11:13『cargo1:しかし、このままでは弾薬の補給ができないであります』あきつ丸からもIRC。『tpd101:文字通信にまでありますは不要。弾薬は作戦完了まではなんとか持つ。共に離脱せよ』叢雲は状況判断で命令を出す。しかし残弾は万一ケンペイ天狗と戦うことになった場合は不足する。 32
2014-08-20 20:15:39ケンペイ天狗へ根拠の無い信用を預けたのか?部下を率いる小隊長として実際悪手!…否!叢雲と同じく指揮官用増強電探をお持ちの読者ならお気づきであろう。西の夜空の向こうに感あり!識別信号は味方、数は1。信じられぬスピードで戦場に急行している! 33
2014-08-20 20:21:55SLAAAASSSSSHHH!「アイエエエ!」「グワーッ!」「アバーッ!」空が瞬いたかと思うと、一筋の光線がテロリストとクローンイ級の軍勢を薙ぎ払った。大出力化学レーザー砲である!照射源には真っ赤な異形の空母艦娘艦載機。スエズ鎮守府、飛龍所属のトップエース、ブービーである! 34
2014-08-20 20:28:14SLASH! SLASH! SLAAASSSH!ブービーはさらに二、三度レーザーを敵部隊へ照射、混乱を拡大させると、マッハコーンを発生させて半重力飛行艇へ急接近!「アイエエエエ!何だあの飛行機は!」狼狽えるミュグラ少佐。パイロットも思わず回避機動を取り、機内が大きく揺れる。 35
2014-08-20 20:34:18「ご安心を。我が隊への伝令です」最上に支えられながら、マキシマ中尉はつとめて冷静に答えた。中尉のIRC端末にはスエズ鎮守府に赴いた中隊長からの暗号化されたメッセージが転送されていた。デコードは水陸機動団の端末でしか行えないようになっている。 36
2014-08-20 20:56:30「どんな内容だ。教えろ!」「水陸のコードです。軍規に触れますよ」中尉のその一言で、ミュグラ少佐は唇を噛み締めて黙った。水陸の暗号化がされたメッセージは、たとえ同じ国であろうと陸軍や海軍が見ることは重大な違反行為なのだ。 37
2014-08-20 21:00:16内容を要約するとこうだ。スエズ提督本人は鎮守府に居り、ケンペイ天狗であることは知らないが代理での出走を確認していること。一連の出来事が不当に交わされた契約によるものであり、この妨害作戦自体も不当なものである可能性。そして、契約が失敗した場合スエズ提督がセプクさせられること。 38
2014-08-20 21:13:31提督のセプク、それが意味するところは、所属艦娘が赤レンガの管理下に置かれるということである。セプクに処せられる分際の提督に率いられていた艦娘など、良くてグンレイ配下の提督のオイラン、最悪捨て艦として絶望的な戦闘へ駆り出され、無下に海の藻屑となると相場が決まっているのだ。 39
2014-08-20 21:19:45スエズは軍事的にも政治的にも要所。スエズ提督はそんな事にはまるで興味が無く、業を煮やした海軍の偉方が国連軍と組んで遂行不可能な契約を結び彼を陥れようとした。が、偶然にもスエズにいたケンペイ天狗に契約を知られたのだ。ケンペイ天狗の主張と矛盾しない。 40
2014-08-20 21:30:38彼はスエズの艦娘を救うために、ネオヨコスカまでの10000キロを走っているのだ。パンツのみで。…パンツのみで? マキシマ中尉は目を疑った。『specter:パンツとは』スエズ所属のブービーへ質問する。『booby:うちのてーとくは、ぱんつたべます』意味が分からない! 41
2014-08-20 21:41:50契約にはパンツの補給のみで10000キロを走破せよとある。それも艦娘の、脱いでから一時間以内のもののみを。マキシマ中尉はかぶりを振って、冷静さを取り戻す。スエズ提督がパンツを摂取できることを事実と仮定して、では今代理で走っているケンペイ天狗も同様にパンツを食べられるのか? 42
2014-08-20 21:55:19『booby:おそらく、むりかと』この世にパンツを食べられる人間が二人もいてたまるか、というニュアンスをマキシマ中尉は感じ取った。だとするならば、スエズからここまで、ケンペイ天狗は食物を一口も、水の一滴さえ取っていないことになる!許されているのは艦娘のパンツのみなのだ! 43
2014-08-20 21:57:51マキシマ中尉は叢雲へとIRC通信を繋ぐ。音声はミュグラ少佐や彼の秘書艦である扶桑に聞き取られる可能性があるため、文字通信を通す。「specter:トーピード全艦へ。鍵は嵌った。ケンペイ天狗の支援を続行せよ。加えて、彼に自然な形でパンツを供給せよ」 44
2014-08-20 22:01:44「はああ!?」叢雲は思わず声を上げた。内容をそのまま全艦へ転送。「パンツぅ!?」「嘘でしょ」「この場で生脱ぎしろと?」「あかん無理」「オウ、ストリップか!」並走する五隻も口々に抗議する。だがマキシマ中尉は冗談を言う性格では無いし、今は作戦中だ。れっきとした命令である。 45
2014-08-20 22:06:08それも、ただパンツを差し出すだけではダメだ。それではケンペイ天狗と示し合わせているのがバレてしまう。あくまで敵対しているフリを貫きつつ、パンツを渡さねばならない。またケンペイ天狗自身も言っていたが、彼はスエズ提督と違いパンツ自体は摂取できない。水分を含ませる必要がある。 46
2014-08-20 22:08:50この混乱の最中、ケンペイ天狗の傍を飛行している監視ドローンに見えぬよう、自然な形でパンツに水分を含ませつつ渡すには。叢雲は考えを巡らせ、そして決断した。内容をまとめたIRC通信をケンペイ天狗と五隻へ送る。「これしか無い。やるわよ」全員無言の了解。 47
2014-08-20 22:13:10