10周年のSPコンテンツ!

今、改めて天皇機関説事件をおおざっぱに振り返ってみた~@noiehoieさんつぶやき編集

タームの語感だけで論詰すると最後にゃこんなことになっちゃうよ、という例を@noiehoieさんがつぶやいたのをまとめちゃいました。流れの把握が主な目的です。学問的な日本史の研究ではないので、細かい時系列については各自ご検証ください。
社会科学 天皇 政治 歴史
148
菅野完 @noiehoie
機関説論争の端緒となったのは、菊池議員(陸軍中将)による貴族院本会議での滝川事件に関する質疑。美濃部の著書の片言隻句を引用して、「学匪」「反逆者」と罵った。で、その後、美濃部は「一身上の弁明」として本会議で演説を行った。その日の貴族院は議席はもとより傍聴席も満員だったという(続く
菅野完 @noiehoie
(承前)美濃部は演説の中で「天皇主権説であれば、国際条約は天皇個人の契約となってしまう」等の例をあげながら機関説の妥当性を訴えた。一時間を超えたこの演説は、人々の共感を呼び、演説の最後には貴族院では珍しく議席からも傍聴席からも拍手が起こったという(続く)
菅野完 @noiehoie
(承前)この演説の結果、当の菊池中将から「徒に美濃部博士を侮辱したものではない。また博士の著作を通読したものでもない。博士の演説のとおりであれば、私が問題として取り上げる必要もないと思われる」というコメントを引き出すことに成功した。しかし、問題はここからはじまる。(続く)
菅野完 @noiehoie
(承前)演説の結果、菊池議員による誹謗が不当であることを証明したが、そこからが問題。演説の翌朝、新聞各紙はこの演説と菊池議員の謝罪とも取れるコメントを掲載した。各紙とも論調は美濃部寄り。しかしこの報道で広く国民が「テンノウキカンセツ」という言葉を知ることとなった(続く)
菅野完 @noiehoie
(承前)ここからが大変。「テンノウキカンセツ」なる言葉の響きが新聞により報道された結果、雨後のタケノコのように、「美濃部は不敬なり!」「貴族院の玉座の前で何事ぞ!」と騒ぎ建てる在野の馬鹿が増えた。まるで今の日の丸アイコン共のよう。で、ついには、美濃部を訴える奴が出てきた(続く)
菅野完 @noiehoie
(承前)訴えたのは、平沼騏一郎系の在郷軍人会の某とかいう退役中将(名前忘れた)。この告訴を期にして、全国各地でいろんな団体が出来き、機関説排斥運動が繰り広げられていく。この様子を陰でほくそ笑みながら見守つつも裏で金や人を使って、在野の馬鹿共を炊きつけていた政治家がいる(続く)
菅野完 @noiehoie
(承前)で、この機関説排斥運動を陰でほくそ笑んで見守っていたのが鳩山一郎だってのは、歴史の皮肉としか思えない。私は常に、辞書の「浅知恵」の項には鳩山一郎の写真を載せるべきだと思ってるんだが、この時も鳩山の浅知恵が冴え渡る。鳩山は愚かにも機関説排斥運動を倒閣の道具にしたのだ(続く)
菅野完 @noiehoie
(承前)鳩山の妄動もあり、また、市井の馬鹿どものファナティックな陶酔感もあり、機関説排斥運動は燎原の火のごとく全国を覆った。ついに、美濃部の著書は発禁処分となる。貴族院での演説から発禁まで、たった半年。その直後に、例の、「国体明徴声明」が出され、世相はさらに狂気じみていく(続く)
菅野完 @noiehoie
(承前)美濃部はその後、貴族院議員を辞職するがその後もずっと、ファナティックな連中から命を狙われ続ける。一方で「機関説問題で岡田内閣追い詰めた後は、俺、俺だよね!!」って妄動してた鳩山は、自分で自分の首を締めていた事にようやく気づく事になる。
菅野完 @noiehoie
(承前)ちょっとここで時系列のおさらい。鳩山文相による滝川事件の強行処理があったのが昭和8年の夏だったはず。で、昭和10年の1月に機関説論争が始まり、美濃部の著作が発禁になるのが同年初夏。で、同年夏には「国体明徴声明」がでる。鳩山の妄動が冴え渡った2年
菅野完 @noiehoie
(承前)つまり、滝川事件→機関説論争→国体明徴声明まで、たった2年。他人の片言隻句だけ捕まえて、利用されるタームの語感だけを掴んで政敵を葬り去るなんていうゲスい事を政治家がしだして、市井の馬鹿がそれを歓迎してたった二年で、時代は一気にファナティックになる。で、狂気の冬が始まる
菅野完 @noiehoie
(ちょっと補足)ちなみに、滝川事件の翌昭和9年、帝人事件という疑獄事件が起こる。この時の検察のやりざまが酷かった。美濃部が時の人となったのは実を言うとこの疑獄事件に関し検察ファッショを批判しだしたから。菊池中将の質疑も美濃部の検察批判への反論として始まった
菅野完 @noiehoie
(閑話休題 承前)で、再整理。滝川事件→帝人事件→機関説論争→国体明徴声明ってながれは、昭和8年〜10年の3年間で一気に起こった出来事。機関説論争なんて、たった半年で明徴声明に至ってる。たったこれだけの時間で、世の中はガラッと変わる。それも銃口ではなく言論によって(続く)
菅野完 @noiehoie
(承前)かくて国民各層がファナティックな陶酔感に酔いしれた昭和10年が暮れようとしている。岡田内閣はまだ倒れない。鳩山はホゾを噛む。翌昭和11年の正月は厳冬だったという。そして2月26日、降りしきる雪のなか「義憤に燃え」た若い公務員の服務規程違反が起こる・・・(本項一端終わり)
菅野完 @noiehoie
まとめると、①タームの語感だけで誰かを論詰するのは馬鹿のやることだよ ②鳩山のおじいちゃんは、かなり浅知恵の馬鹿だよ ・・・そしてなによりも大切なこと・・・ ③民主制を潰すのは、軍や武装勢力による制圧じゃないよ、いつだって「ファナティックな民間の馬鹿」なんだよ。 の3つかな。
菅野完 @noiehoie
もっと大切な事は、「馬鹿に馬鹿っていうのって馬鹿だよね」ってニヒルに決めちゃうことって、なんの足しにもならんってことなんだけどな。馬鹿にちゃんと「お前馬鹿だろう」って言わないと、機関説論争で美濃部をファナティックな民間馬鹿に売った当時の学者や知識人となんら変わらないよ。
菅野完 @noiehoie
おっと・・・大事なことを書くのを忘れてた。ちなみに美濃部は戦後、憲法制定作業にたずさわっている。戦中とうってかわって「ギブミーチョコレート」路線にみんなが掌を返す中、美濃部は「占領軍に憲法制定の権限なし」「国民主権は国体変更」と、最後まで抵抗を続けた。偉い人はやっぱり偉いんだ。

コメント

紙魚 @silver_fishes 2010年11月21日
んー、天皇も「法人や団体などの意思を決定したり、代表したりする者、または組織」なり「ある目的を達成する手段として設けた組織や機構」だから「機関」だというのはわかる。医療機関も教育機関もわかる。暴力機関もまあわかる。でも「装置」にはそういう意味無いよね? 普通、医療装置とも教育装置とも言わないよね? 「産む機械」と何が違うの?ってのがわからん。
学徒にならない何か@在華紡反対! @no_quisling 2010年11月21日
非常に良くできていて納得。ただ、「日の丸アイコン」が云々は余計に感じる。まあ「低偏差値=嘘つき」とかいっちゃう人だし。(http://togetter.com/li/56913)ネトウヨを憎むのは理解できますが、やり過ぎると自分も同じ穴の狢になりますよ。とにかく、戦前の議会政治を破壊したのは軍部ではなく政治家自身であった、ということ。同様の構図は1940年の「反軍演説」事件にも見られる。
学徒にならない何か@在華紡反対! @no_quisling 2010年11月21日
ちなみに、鳩山一郎は統帥権干犯問題のときにも策動し、執拗に浜口内閣を攻撃している。戦前の議会政治崩壊の主因だわな。何で、こんな奴が戦後復権し内閣総理大臣にまで上り詰めたのやら。
@justamemory 2010年11月21日
私的な「神の国」発言だけでケチつけられたし、柳沢大臣の時も「産む機械」だなんて言ってないのに、言ったかのように書かれたし、民主党もそれを利用して叩いてたんだから、どっちもどっち。大衆を利用してきたんだから、与党野党に限らず、これからも政治家たちは大衆にボッコボコにされるのが、日本の正しい政治。なんでいまさら賢くなれとか言い出すのか不思議です。
@justamemory 2010年11月21日
僕のような「馬鹿」を利用して票を集めるのが政治家で、僕のような「馬鹿」を煽って飯を食うのがマスコミなので、noiehoieさんの求めるような賢い国民を求めるのは無理ってものです。僕を含め大半は、そのような教育だってされていませんし。/「馬鹿に馬鹿って言うべき」って書いてますが、「noiehoie、馬鹿発言!」として、煽られ、大衆の反感を買うだけでしょう。なぜ過去の事例に学習しないんでしょう。
山形 伸 @noboruyamagata 2010年11月21日
「タームの語感だけで誰かを論詰」なら、「美しい国」の方が酷い。近年なら麻生の「株屋は信用されていない」だな。発言の真相が流れて報道が嘘とわかった後でも「株屋は差別用語!」と拘る馬鹿がいっぱいいたよ。未だにそう信じてたりするのかね連中は。
@adgjmp0gmdn 2010年11月21日
凄い良い纏めだ。
ベンコフ @atauky 2010年11月21日
「天皇機関説」は名前だけ聞いたとき、戦前だったら、不敬あつかいされたんだろうなと思いましたが、こんな経緯があったんですね。
gryphon(まとめ用RT多) @gryphonjapan 2010年11月21日
お年寄りに対して「後期高齢者」とはなんという言いぐさだ!!という話で盛り上がったのは2年前だったか、3年前だったか。    ■『暴力装置』と『後期高齢者医療制度』-学術的には正しいが・・・http://d.hatena.ne.jp/momo21C/20101120
まひわり @Mahiwari_jpnn 2010年11月21日
機関と装置に違いがあると思う人はエンジンなら納得できるのだろうか。マッスィーンでもいいけどさ。違いなんか無いぜ。
すずみん @suzmin 2010年11月21日
きちんと筋が通っていて、良いまとめじゃない。ただ、やはり民主主義というものは「馬鹿と貧乏人に暴力装置を丸投げする覚悟」のことであるので、こういう戦前の経緯を改めて読んでしまうと、民主主義の持つきわどい部分が身に迫って感じられますね。当然、今の日本にも鳩山一郎に相当するニヤニヤ野郎は自民党にいっぱいいる訳ですが。
よろづ @yorodzu 2010年11月21日
天皇機関説の問題は、ある意味時限爆弾みたいなものだったと思っていて、一般大衆には天皇を神聖視するように教育する一方で、帝国大学では天皇機関説を教えるという顕教/密教の使い分けみたいなことをしていたらいずれは噴出した問題だったのだろう、と。
よろづ @yorodzu 2010年11月22日
「市井・在野の馬鹿」とはいうけれど、時代はその「顕教」のほうを信じる人達が数の上では圧倒的多数だったわけで、まだ「密教」は実質的に秘され顕教が依然布教されているような状況。その中で政党政治による議会制民主主義を進めていたのだから、この問題は相当センシティブだった(のに政争の具とし放火炎上させた連中は罪深い)と思う。求められるのはいつの時代も政治家の見識
現役マジカルガール @_sakumikura 2010年11月22日
実に興味深い。でもグラン・ルーピーがどのへんで「自分で自分の首をしめ」ていたのかが分からなかった。
学徒にならない何か@在華紡反対! @no_quisling 2010年11月22日
天皇機関説というのは明治憲法体制下での議会政治を支える根拠だったんですわ。それを、議会に立脚する政党政治家である鳩山一郎自身が叩きまくって失墜させたんですから。当然「自分の首を絞める」行為です。
有村悠%1/22砲雷撃戦・に-10 @y_arim 2010年11月23日
@justamemory 「僕のような「馬鹿」」と連呼しても何と言いますか、ああこの人は馬鹿なんだなあと思われるだけで何もいいことないと思うんですけども(少なくとも自分はそう思います)。その時間使って調べ物でもしたほうがマシです。
@justamemory 2010年11月24日
でも、僕のようなバカはたくさんいるのですから、正論なんて自己満足にしかならないですよ。現状、マスコミは事実や文脈を捻じ曲げても、僕のようなバカを煽るようになっていますし、そういう状況を踏まえて発言しないで「俺は学術的に正しい」と言っても、「よかったですね。誇りを持って死んでください」ということにしかなりません。
@justamemory 2010年11月24日
考えるべきは 1:ではバカを減らすにはどうしたらいいか 2:バカを煽るマスコミを黙らせるにはどうしたらいいか 3:バカを減らせないとしたら、どうすべきか ですよね。バカじゃないみなさんなら、いい対処法を思いついていることだと思います。なんで教えてくれないんでしょう。いじわるですねー。
@justamemory 2010年11月26日
誰も答えてくれないのでがっかりしました。「大衆は愚かだ」とインテリゲンチャを気取るのは20世紀にさんざん馬鹿にされたことなので、21世紀ともなれば、その大衆をどうやってコントロールして民主主義を維持していくかが課題となります。マスコミの扇動による衆愚政治の危険性も20世紀に散々言われたことですので、今さらそれ自体に危機感を覚えるのも間抜けな話です。
@justamemory 2010年11月26日
テレビや新聞で「編集され」、インターネットでは真偽や真意を確かめられないまま「拡散され」る時代ですので、為政者はタームの語感にこそ気をつけ、曲解され難いように細心の注意を払うべきです。自らが置かれている社会的立場や、大衆からの位置づけを把握し、気をつけて言葉を選ぶことが、民主主義の崩壊を防ぐのだと思います。/ メディア・リテラシーの教育は必要だと思いますが、すでに大人になっちゃった人には意味が無い話です。また、大衆は教えたところで理解しない人も多数いるのです。
山形 伸 @noboruyamagata 2010年11月27日
「教えた所で理解しない」というより、「怒れる正義の世論の一部」として社会に期待される行動を取ると衆愚的になりますわな。 「タームの語感に気をつける」のは実際か弱い一人の為政者ができる唯一の対策ではありますが、安全地帯はあまりに狭い。
花咲正直(鬼退寺桃太郎) @hanasakimasanao 2011年2月28日
「反論を許さない正論は信用できない」が最低限のメディアリテラリシーかな?
御神楽 @rena_mikagura 2011年3月5日
ちなみに先帝陛下も天皇機関説に対して肯定的だった訳で、実のところ、天皇機関説は「不忠」ですら無い。
菅野完 @noiehoie 2011年8月16日
今日になってはてブのホッテントリになっとる。
ポポイ @popoi 2011年10月16日
この問題は、表現規制問題にも通じる。古今の言葉狩りの狂騒、「コドモタチヲマモレ」な輩の虚妄、絶望的に論理が通じない所、その気持悪さが似ている。
ログインして広告を非表示にする
ログインして広告を非表示にする