綾哭谷鳥居巡り
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Q.おいどうした! 何が起こってる!?
A.お盆の夜、何やらアパートメントの敷地内に異変が発生。
×暇な ◎好奇心旺盛な住人たちは、手に手に蝋燭を持ったり持たなかったりで今夜も探索へと乗り出すのだった!
16日・夕方
【正門】門の手前から一号棟の裏戸、玄関ホールを貫き、細く開いた表戸を潜って中庭へと続く行列。黒々とした影が傾いた陽を受けて斜めに歪んでいる。影を連れた実体はみずみずしい緑色をしている。精霊馬の列が、熱のこもった地面に這い伸びている。微動だにせず、蛇の死骸のように。
2014-08-15 17:11:05【中庭】ヒグラシの木霊する薄暮のさなか、木枠に紙を貼った灯籠のようなものがいくつも立っている。木陰や外壁の傍、植え込みの陰など、息を潜めるように散在している。
2014-08-15 19:37:5116日・夜
【一号棟一階・玄関ホール】裏扉を入ってすぐ正面、窓口の台に一本、蝋燭が立っている。白地に流水桜の絵柄……立派な和蝋燭だ。 いつぞやとは違い、既に火が入っている。
2014-08-15 21:45:52【中庭】流し灯の始点めいて明かりがひしめく中庭から僅かばかり外れた場所に、群れる灯籠たちと同じ炎の色をした明かりがぽちりと一つ灯った。
2014-08-15 22:07:14【中庭】捨て子の落とす道標のように軌跡を描いてぽちりぽちりと増えてゆくその明かりは、這い去る蛇のように、進むに連れてしんがりから消えてゆく……。
2014-08-15 22:11:04【奥庭】日時計の針をぐるりと回り、まだ行軍は止まらないようだった。七号棟の外壁を照らしながら奥へ奥へと進んでゆく。
2014-08-15 22:22:55六号棟と八号棟の間を遮るように聳える大きな広葉樹。そのすぐ横手は深い茂みになっていて、敷地外との境界を示す柵すら飲み込んで何者をも阻んでいるのが常である。 ……のだが、今夜はどうしたことだろうか。
2014-08-15 22:29:43灯りの行列は、吸い込まれるように茂みがある筈の辺りへと消えていく。 蟻が通る隙間も無かったその場所に、奇妙なことに、由来の知れない獣道が開いているのだった。
2014-08-15 22:34:17【???】…草木に足を取られながら進むと、やがて細い道に似つかわしくない朱塗りの鳥居が現れた。 鳥居の前には進路を塞ぐように一本の灯籠が立っている。中庭に群生していたものよりも立派で明るい。
2014-08-15 22:45:31【???】暗がりに目を凝らす。鳥居の先にはまた鳥居が続いているようだ。行列はこの奥へと進んでいったのだろうか。 涼しい風が鳥居を吹き抜ける。
2014-08-15 22:46:34【お知らせ】お盆です。皆様いかがお過ごしでしょうか。昨年よりは涼しい気もいたしますが夏は夏、蒸し蒸しジトジトとした暑気にげんなりしている方も多いのではないでしょうか。
2014-08-15 22:49:30残念ながら今年は八号棟は閉まっているようですが、何やら妙な座標が出現している様子。夕涼みがてら足を伸ばしてみてはいかがでしょうか?
2014-08-15 22:50:43「明かりが無いと心細い……」という方、今回もお誂え向きにそこいら中に蝋燭が散らばっているようです。ただ、どうやら火種は一号棟玄関ホールの和蝋燭のみ。そこまで戻るのが面倒だというのならお止めはいたしません。保証もいたしかねますが……。
2014-08-15 22:57:11身一つで向かわれるのもまた一興、安全な道よりも面白いものに出会える可能性は高くなるかと。………保証はいたしかねますが。
2014-08-15 22:58:53