気象業務に独特の #オープンデータ 推進に向けた議論の歴史

国の気象資料のオープンデータ化に関して提言などする前に知っておいてほしい基本的な経緯について連ツイしたのをまとめました。このあたりのスタートポイントを共有せずに意見されても、気象庁や既存の気象サービス事業者としては「いちからか?いちからせつめいしないとだめか?(©あずまきよひこ)」という甚だ非生産的な対応しかできないのです。
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生やし長二郎(こののにおじさん) @Retina014

(1)日本における #オープンデータ の議論では、起点として2003年のEU二次利用指令 eur-lex.europa.eu/LexUriServ/Lex… 和訳 twitdoc.com/36Z6 )が紹介されることが多いが、気象業務における開放的なデータ利用については、

2014-08-25 06:54:24
生やし長二郎(こののにおじさん) @Retina014

(2)これより10年以上も遡る議論と実務の蓄積がある。むしろ、気象資料の無償・無制約(+無手続)の交換・提供が、オープンデータの牽引役の一つだったとさえいえる。

2014-08-25 06:54:37
生やし長二郎(こののにおじさん) @Retina014

(3)ことの発端は、特に1980年代の欧州で顕在化した「政府の商業化」と呼ばれる動きである。財政難に直面した各国政府が、一部の行政サービスの有償化によって税収不足を補おうと考え、気象行政においては、国家水文気象機関(NHMS)が、民間気象業務や学術研究の素材となる加工性データ、

2014-08-25 06:55:00
生やし長二郎(こののにおじさん) @Retina014

(4)さらには特定産業・地方向けの予報・防災気象情報(!)やテレビ放送用の画像等の提供を有償化する例がみられるようになった。日本の気象庁でも、この頃から何度か、気象衛星の観測データ等の有料化が検討されている。

2014-08-25 06:55:13
生やし長二郎(こののにおじさん) @Retina014

(5)しかし、商業化したNHMSが提供する気象資料・サービスには、民間企業による場合よりは目立たないものの、実費(納税)を超える割高な料金、第三者への転送・二次加工の制限、商業上の秘密を理由としたメタデータ(観測施設・測器の詳細、品質管理情報等)の非公開、

2014-08-25 06:55:39
生やし長二郎(こののにおじさん) @Retina014

(6)地域(≒支払い能力の違い)ごとのデータ・サービスの密度・品質の偏りや継続の不確実性といった欠点がある。さらには、NHMSが、観測網や数値予報システムなどのインフラを支配していることから、競合する民間気象会社を「兵糧攻め」する

2014-08-25 06:56:30
生やし長二郎(こののにおじさん) @Retina014

(7)(+従業者の給与が租税起源であればダンピングも可能)例さえあり、いずれにせよ利用者の便益を損ない、市場を不健全化するとの批判があった。

2014-08-25 06:56:38
生やし長二郎(こののにおじさん) @Retina014

(8)また、折から、地球温暖化予測や熱帯低気圧の監視・予測等の国際的な気象業務(特に途上国の寄与を伴うもの)の進展に伴い、気象資料の世界的な共有の容易化・低コスト化が求められるようになり、

2014-08-25 06:56:58
生やし長二郎(こののにおじさん) @Retina014

(9)もともと学術界や地方政府がデータ入手に係る負担増に不満を持っていたこともあって、この観点からも、商業化したNHMSによる有償・条件付きのデータ提供に対する批判が起こってきた。

2014-08-25 06:57:12
生やし長二郎(こののにおじさん) @Retina014

(10)一方、米国では、早くから民間気象業務が盛んであり、基礎研究から産業応用まで、産学官の協力関係が確立されていたことから、政府(国家気象局:NWS)を国民経済・学術研究の発展のための基盤的データ供給者として位置付ける(政府機関が士族の商法で小遣い稼ぎするより、

2014-08-25 06:57:38
生やし長二郎(こののにおじさん) @Retina014

(11)民間に政府のデータで自由に稼いでもらったほうが税収、雇用創出等で総合的に社会の得)政策を選択しており、1991年の政策声明( nws.noaa.gov/im/fedreg.htm 和訳 twitdoc.com/36YV )も、NWSの役割としてこの点に言及している。

2014-08-25 06:57:55
生やし長二郎(こののにおじさん) @Retina014

(12)日本でも、1992年の気象審議会答申第18号( twitdoc.com/36YW )及びこれを制度に実装した1993年の気象業務法改正は、この米国の政策を参考としており、GPVまでも含む加工性データの無償(むろんデータ本体についてのみ。

2014-08-25 06:58:20
生やし長二郎(こののにおじさん) @Retina014

(13)「送料」は受益者負担。当時の国会審議 twitdoc.com/36YY を参照)・無制約の利用を確立した点で、当時は世界最先端の制度であった。しかし、(中抜きや遅延のない)一次配信サービスへの(複数の)民間参入を制度的にも実体的にも確立できず、

2014-08-25 06:58:45
生やし長二郎(こののにおじさん) @Retina014

(14)国の呼びかけで設立された財団法人が認可された手数料を以てこれにあたるという固定化しやすいシステムを採ったことと、それゆえに加工性データの提供経路の複線化・低廉化・Web対応の取組がなされにくかったことによる限界が後に露呈する。

2014-08-25 06:59:02
生やし長二郎(こののにおじさん) @Retina014

(15)ともあれ、1990年代前半までには、西欧先進国を中心とした商業化されたNHMSによる有償・条件付きの気象資料の提供と、日米等の政策であり国際的要請でもある無償・無制約の提供という二つの政策の対立が深刻化したことから、1995年には世界気象機関決議事項40

2014-08-25 06:59:18
生やし長二郎(こののにおじさん) @Retina014

(16)wmo.int/pages/about/Re… 和訳 twitdoc.com/36YZ )が採択され、両者間の妥協が図られた。ここでは、基礎的な気象資料の無償・無制約の国際交換の原則が確認された一方で、

2014-08-25 06:59:38
生やし長二郎(こののにおじさん) @Retina014

(17)NHMSが生データの販売によって収入を得ている国に対する当該国についてのデータの逆輸出の抑制等、商業的理由等によってデータ交換に条件をつける(イスラエルのように、他国へのデータ提供にあたって周辺の敵性国に自国の気象データを転送しないことを条件とすることも可)

2014-08-25 07:00:02
生やし長二郎(こののにおじさん) @Retina014

(18)権利も国際的に認められた。なお、NHMS等の公共的主体の商業化による悪影響を最小限に抑えるため、決議事項40については、2014年までに水文データや気候データを対象とした同様の決議もなされている。

2014-08-25 07:00:19
生やし長二郎(こののにおじさん) @Retina014

(19)この後、米国は、少なくとも国内向けにはあらゆる政府データ、なかんずく加工性データの無償・無制約の、できれば無手続の供用を国是とする方向性を固め、1996年には電子情報自由法( justice.gov/oip/foia_updat…

2014-08-25 07:01:13
生やし長二郎(こののにおじさん) @Retina014

(20)和訳 twitdoc.com/36Z0 及び行政管理予算局回章A-130(連邦情報資源の管理: whitehouse.gov/omb/circulars_… 和訳 twitdoc.com/36Z1 )を定めた。これらの背景となった情勢には、

2014-08-25 07:01:50
生やし長二郎(こののにおじさん) @Retina014

(21)前記の世界気象機関におけるデータ政策の対立も含まれている。そして、しだいに欧州もこれに追随するようになり、EU二次利用指令に至っている(欧州における実施につながる政策研究として、2006年の英国公正取引庁報告書 ec.europa.eu/information_so…

2014-08-25 07:02:16
生やし長二郎(こののにおじさん) @Retina014

(23)これら、主に欧米における政策の展開や国際比較については、2001年の全米研究会議報告書( nap.edu/catalog.php?re… 正統な翻訳権による和訳なし)や2002年の故P. Weiss(NWS)の報告( nws.noaa.gov/sp/Borders_rep…

2014-08-25 07:02:56
生やし長二郎(こののにおじさん) @Retina014

(25)一方、日本では、1998年の中央省庁等改革基本法において官民の気象業務の役割分担の見直しが指示された( law.e-gov.go.jp/htmldata/H10/H… )が、立法作業にあたって「気象情報の提供は国が行う必要があるものに限定する」の具体的内容が充分に詰められた形跡はなく、

2014-08-25 07:04:00
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