瑞雲劇場

瑞雲よ永遠なれ
7

瑞雲劇場第一幕 初霜と電の巻

ほとんど職無しNICK @NICK18univers

初霜「それでは駆逐艦初霜!」 電「駆逐艦電、ゴミ拾い任務に行ってくるのです」 日向「ああ、気をつけてな」 ーーーーーーー 初霜と電は休暇のときは二人で街のゴミ拾いをしている。心優しい彼女たちはおかげで人気者だ。

2014-08-27 00:46:54
ほとんど職無しNICK @NICK18univers

初霜「今日もいっぱいゴミが取れたね」 電「だんだん街がきれいになってきてる気がするのです」 老婆「あらあら、初霜ちゃん、電ちゃん、今日も精が出るねえ。ほら、飴ちゃんをお食べ」 電「ありがとうなのです!」 男性「初霜ちゃん今日もかわいいね!」 初霜「そ、そんなことありません……」

2014-08-27 00:50:15
ほとんど職無しNICK @NICK18univers

艦娘は深海棲艦のための兵器であり兵士。民間人からは不気味に思われることも多いが、この二人の駆逐艦はすでに多くの人から信頼と愛を得ていた。 初霜「ちょっと休憩しよっか。……あれ? あそこにいる人たちは……」 電「募金しているのです?」

2014-08-27 00:53:19
ほとんど職無しNICK @NICK18univers

初霜と電が見たのは街角で募金箱を持って何事かを呼びかけている数人の青年。髪を染めるものもあり、格好もラフだが、「恵まれない子供たちへ救いの手を」と書かれたボードが見える。 初霜「ねえ電ちゃん、私たちもあの人たちを手伝わない?」 電「実は電もそう言おうと思っていたのです」

2014-08-27 00:56:45
ほとんど職無しNICK @NICK18univers

初霜「こんにちはお兄さんたち。私たちにも募金、手伝わせてくれないかしら」 電「なのです」 青年1「えっ、キミたちもしかして初霜ちゃんと電ちゃん?」 青年2「街のアイドルが協力してくれるなんてありがたいなあ」 青年3「じゃあぜひお願いするよ」

2014-08-27 00:59:12
ほとんど職無しNICK @NICK18univers

そうして初霜と電は夕暮れまで募金活動を手伝った。 青年1「二人ともお疲れ。もうそろそろ暗くなるからそろそろ帰りなよ」 電「もう、電たちは駆逐艦なのです! 夜戦は大の得意なのですよ!」 青年2「あはは、そりゃ悪かった。でもさ、早く帰らないと俺たちが酒……」 青年3「バカ!」

2014-08-27 01:02:49
ほとんど職無しNICK @NICK18univers

初霜「? どうしましたか?」 青年3「いやあなんでもないんだ、こちらの話。ま、やっぱり司令官? って人も心配するかもしれないから帰った方がいいよ」 初霜「わかりました。今日はありがとうございました。行きましょう、電ちゃん」 電「はーい」 青年3「………………」

2014-08-27 01:04:46
ほとんど職無しNICK @NICK18univers

ーーーーーーー 初霜「あっ、いけない! お財布の入ったポーチを忘れちゃった。取りに行ってくるね!」 電「あっ、電もついていくのですー」 ーーーーーーー

2014-08-27 01:06:07
ほとんど職無しNICK @NICK18univers

初霜「えーっと、確かこの辺に…… あら? あれはお兄さんたち?」 電「何か話してるのです」 青年1「全くボロいもんだぜ。募金活動のフリして金儲けなんてよ」 青年2「へっ、簡単に騙されやがる」 青年3「街のアイドルが手伝ってくれたおかげでいつもの3倍の金ははいったぜ」 初霜「!」

2014-08-27 01:09:08
ほとんど職無しNICK @NICK18univers

青年3「ま、今日の稼ぎで飲みにでも行こうや」 青年2「いいねえ!」 初霜「そんな……私たち騙され……あっ」 電「あっ、初霜ちゃん足を滑らせて……」 (転ぶ初霜) 青年1「! あれは初霜!?」 青年2「聞いてやがったな!」 初霜「う……」

2014-08-27 01:11:58
ほとんど職無しNICK @NICK18univers

青年3「おっと、電も一緒か。話を聞いてしまったなら仕方が無い」 青年2「やっちゃいますか? やっちゃいましょうよ」 青年1「そのための右手? あとそのための拳?」 電「あうう……」 青年3「艤装のない艦娘はただのガキだ。ちょっと「お相手」してもらおうかな」

2014-08-27 01:14:08
ほとんど職無しNICK @NICK18univers

初霜「いや……やめて……こないで……」 電「た、たすけ……」 青年1「ハイエースなら用意してるぜ」 青年3「周到だな。じゃあさっさとさらってずらかるか」 青年2「お楽しみは車内でな。がははは!」 青年3「抵抗するなよ。痛い目に会いたくなければ……」 ???「君達、何をしている」

2014-08-27 01:17:17
ほとんど職無しNICK @NICK18univers

青年2「誰だ?」 日向「私か。私は伊勢型航空戦艦二番艦、日向だが」 初霜「日向さん、どうしてここに……?」 日向「何、近場の瑞雲喫茶でお茶をしていてな。その帰りなんだ」 青年3「で、その日向さんが何の用だ? 見たところあんたも艤装をつけてない。無力なオンナだな」 日向「ほう」

2014-08-27 01:20:37
ほとんど職無しNICK @NICK18univers

日向「無力なように見えるか?」 青年2「何……」 日向「この手提げ袋には瑞雲喫茶のポイント景品である瑞雲のスケールフィギュアが入っている。それがどういう意味か、わかるか?」 青年3「それで俺たちと取引しようってのか?」 日向「取引? なぜ貴重な瑞雲を君達に渡さなきゃならない」

2014-08-27 01:23:59
ほとんど職無しNICK @NICK18univers

日向「瑞雲は……こう使うんだ!」 日向が手提げ袋を空に投げ放つ。すると袋が輝き、光の中から瑞雲、そのスケールフィギュアが飛び出す! 青年1「何ぃ!」 日向「瑞雲は例えフィギュアでも瑞雲だ。瑞雲であるなら…… 発進できないわけがない」 青年2「ふざけろ、フィギュアごときで、うおっ」

2014-08-27 01:27:54
ほとんど職無しNICK @NICK18univers

フィギュア瑞雲が青年たちの周りを縫うように飛行。ラジコンの飛行機など比にもならないスピード! 日向「どうだ瑞雲の機動性は。素晴らしいだろう」 青年1「なめんじゃねえ! うぐっ……」 殴りかかろうとした青年の周囲を瑞雲が高速旋回。これでは引くも押すもできない! 日向「これが瑞雲だ」

2014-08-27 01:33:13
ほとんど職無しNICK @NICK18univers

日向「もしこれ以上抵抗するのなら…… む?」 青年2「てめえ! こいつらがどうなってもいいのか!」 初霜「ひ、日向さん……」 電「たすけて……」 青年3「ちょっとでも動けば……わかってるな? 瑞雲とやらを止めろ」 日向「……人質を取るとはな。仕方ない」

2014-08-27 01:36:35
ほとんど職無しNICK @NICK18univers

日向「だが、瑞雲の力を甘く見るなよ!」 瑞雲は高速旋回をなおもやめず、むしろ加速! 青年1「なに、人質がいるのが見えないのか!」 日向「安心しろ。一瞬だ」 ーーーー瑞雲が消えた 青年1「ぐわっ」 青年3「ぎゃっ」 そして青年らが倒れ伏した。

2014-08-27 01:42:49
ほとんど職無しNICK @NICK18univers

日向「瑞雲の最高速度は時速448km。手加減はしたからそこまで出してはいないが、小さなフィギュアとはいえ、超高速の物体を脳天に食らえば、まあ、そうなるな」 青年2「ああ……あ……」 日向「どうする、君。まだやるかい?」 青年2「すいませんでしたァー!」 日向「逃げたか……」

2014-08-27 01:47:34
ほとんど職無しNICK @NICK18univers

日向「初霜、電、大丈夫か?」 初霜「ひ、日向さぁ〜ん」 電「こわかったのですぅ〜」 日向「よしよし。もう悪いやつはやっつけたからな。鎮守府に帰るか」 初霜「でも、日向さん、フィギュアが……」 電「体当たりの衝撃で壊れてるのです……」 日向「残念だが、いいんだよ。君達が無事なら」

2014-08-27 01:50:40
ほとんど職無しNICK @NICK18univers

日向「それに瑞雲喫茶のポイントさえ貯めれば、また手に入る。気にするな」 初霜「日向さん……」 日向「じゃあ帰って一緒に映画でも見よう。借りてきたんだ。『水上機部隊出動』という映画でな」 電「面白そうななのです〜!」 ーーーーーーーーー

2014-08-27 01:52:42
ほとんど職無しNICK @NICK18univers

ーーー後日 電「日向さん、これ……」 初霜「あの時のフィギュアの代わりじゃないんですけど二人で作ったんです」 日向「おお、これは瑞雲のぬいぐるみじゃないか! ふかふかのもふもふで瑞雲の新たな魅力が引き出されているぞ! ありがとう、二人とも」 初霜・電「えへへ……」 おしまい

2014-08-27 01:55:45
1 ・・ 24 次へ