【ベーヴァーストックUNSCEAR批判①】

宗教学者 島薗進氏のツイートをまとめました。 UNSCEAR(国連科学委員会)2013年報告書に対するベーヴァーストック氏の批判を紹介する第1弾。 「国際的緊急対応システムの失敗」 「報告書による線量評価の信頼性の欠如」 に関する部分です。
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島薗進 @Shimazono

0【ベーヴァーストックUNSCEAR批判①】 csrp.jp/posts/1466  世界保健機関WHOでヨーロッパの放射線防護の責任者を務める等、この分野で世界的に著名なBaverstock氏から送られてきた「UNSCEAR 2013年報告書」批判論文が9/4公表された

2014-09-05 14:28:21

キース・ベーヴァーストック:
福島原発事故に関する「UNSCEAR 2013年報告書」に対する批判的検証 /
Keith BAVERSTOCK :
2013 UNSCEAR Report on Fukushima: a critical appraisal
【日本語概要】
英語原文全文
http://csrp.jp/posts/1466

島薗進 @Shimazono

1【ベーヴァーストックUNSCEAR批判①】福島原発災害「UNSCEAR 2013年報告書」批判論文。 csrp.jp/posts/1466  冒頭のみ「日本語概要」として訳出掲載「この「報告書」に期待されているのは、被ばくした可能性のあるすべての集団を適切に下位区分し」

2014-09-05 14:29:15
島薗進 @Shimazono

2【ベーヴァーストックUNSCEAR批判①】 「事故が起きた日から現在までのそれぞれの平均実効線量と不確実性、そして各平均値の適用可能範囲について信頼できる推計を示すことである」「本稿で筆者は、この「2013年報告書」が上記の目的を達成していないことを論じる」

2014-09-05 08:27:21
島薗進 @Shimazono

3【ベーヴァーストックUNSCEAR批判①】「さらに筆者は、現状では「報告書」で計算されているレベル(線量)の推計値のなかに賛同も反対もできないものがあることを論じる。これは、IAEAが主導している国際緊急時対応計画を通して入手可能だったはずの情報が一般に公表されていないため

2014-09-05 08:27:33
島薗進 @Shimazono

4【ベーヴァーストックUNSCEAR批判①】csrp.jp/posts/1466 「必要な推計ができないからである。また、事故時およびその直後の公式発表といわれていたもの(例えば、日本の担当機関やIAEAの発表)の多くが、後になって明らかに信頼できないことが分かった。」

2014-09-05 08:27:53
島薗進 @Shimazono

5【ベーヴァーストックUNSCEAR批判①】csrp.jp/posts/1466 「ということは、UNSCEARも信頼できるデータにアクセスできているのかどうか怪しく、さらにはそもそも信頼できるデータが存在するのかさえ定かではないのである」以下、邦訳未掲載部分の概要紹介。

2014-09-05 08:29:11
島薗進 @Shimazono

6【ベーヴァーストックUNSCEAR批判①】csrp.jp/posts/1466 訳出されている冒頭部分に続く2つの大きな見出しは、「国際的緊急対応システムの失敗」と「報告書による線量評価の信頼性の欠如」となっている。この①では、その2つの部分のおおよそをまとめる。

2014-09-05 08:29:48
島薗進 @Shimazono

7【ベーヴァーストックUNSCEAR批判①】国際的緊急対応システムが機能しなかった。このことが報告書に記されていないのは奇妙。25年間かけて練ってきた緊急時対応の計画がほぼまったく機能しなかったことは重大。早くから相当の放射能が流出していることが分かっていたのに隠されていた。

2014-09-05 08:30:03
島薗進 @Shimazono

8【ベーヴァーストックUNSCEAR批判①】 直後の放射能流出を記録にとどめす、住民に知らせず、対策を遅らせた。被害の過小評価の意図が疑われても仕方がない。初期対応が不適切だったことと関連して、初期被ばくの推定がひじょうに困難になってしまった。とくに最初の数週間が重要だ。 

2014-09-05 08:30:18
島薗進 @Shimazono

9【ベーヴァーストックUNSCEAR批判①】 初期の被曝の推定が困難であること、ここに報告書の最大の不確かさがある。報告書の線量推計は信頼性が薄くむしろ虚構のもの。報告書の公表が遅れた1つの理由は、危うい推計をどのように用いてもっともらしく見せるかにあったのではないか。

2014-09-05 08:30:31
島薗進 @Shimazono

10【ベーヴァーストックUNSCEAR批判①】2011年7月までWBCでの検査はほとんどんされなかった。ごくわずかの内でも子供はさらに少ない。その後、食品の線量コントロールが効果的になされたことは明らかになっている。だが、早野龍五らの論文は7-20ヶ月後の調査データに基づくもの。

2014-09-05 08:30:50
島薗進 @Shimazono

11【ベーヴァーストックUNSCEAR批判①】報告書が採用しているJAEAの線量評価は他と比べて低く見積もられているものだ。科学的な誠実さや公平さや独立性を疑わせるもの。たとえばStohlらが推計しているキセノン放出量はチェルノブイリの倍だがUNSCEARは評価していない。 

2014-09-05 14:30:21
島薗進 @Shimazono

12【ベーヴァーストックUNSCEAR批判①】JAEAは東電の安全対策を監督する立場にあったわけでその評価の確かさが疑われても当然。また平均線量の評価をa)避難地域b)それ以外の福島県c)東日本のいくつかの県d)それ以外の日本と4つの広い範囲に分類しているが線量分布の情報がない。

2014-09-05 08:32:05
島薗進 @Shimazono

13【ベーヴァーストックUNSCEAR批判①】なのでa)b)地域の高線量範囲がどのぐらいかが分からない。平均線量を誤って用いて、高い線量の住民の線量を低く見せかけることになっている可能性がある。チェルノブイリでは狭い高汚染地区の事故後1ヶ月の線量で12~50mSvと推定しているが

2014-09-05 08:32:33
島薗進 @Shimazono

14【ベーヴァーストックUNSCEAR批判①】、福島では避難地域住民の1年間の1歳児線量を0~3.3mSvと推定している。つまり濃淡をならし広く薄く見えるような提示の仕方だ。また、村落部を軽視し都市部のデータを取り上げているが、都市での放射能分布は複雑で推定困難だ。

2014-09-05 08:32:47
島薗進 @Shimazono

15【ベーヴァーストックUNSCEAR批判①】報告書においてこうした問題が考慮されていないということは、日本政府が外部線量20mSv以下の地域で帰還を促進しようとしているだけにとくに重要だ。住民、とくに子どもたちがどれほどの危険にさらされているかを知ることができないからだ。

2014-09-05 08:33:01
島薗進 @Shimazono

16【ベーヴァーストックUNSCEAR批判①】「UNSCEAR 2013年報告書」に対する批判的検証  以上から、a避難住民(とくに飯舘のように遅く非難した住民)の線量(とくに内部被曝)はデータが欠けていて不確実性が大きい、b帰還住民は想定外の汚染源にふれる可能性がある

2014-09-05 14:31:13
島薗進 @Shimazono

17【ベーヴァーストックUNSCEAR批判①】この後厳しく、“it is NOT a scientifically unbiased or even a truly scientific, report” という論点に入る(続く) csrp.jp/posts/1466

2014-09-05 14:32:10