ライの刺青

刺青に関するまとめ
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人形屋トゥルー @Doll_True

(鏡台の前に座り、鋏を手に取る。銀に光るそれを、長年伸ばしていた前髪に入れる。毛束が落ち、視界が広がった。) うん、こっちの方が印象も良いじゃない。素敵よ。 (自分に言い聞かせ、後片付けをすると、布団に潜った。)

2014-09-08 00:14:48
人形屋トゥルー @Doll_True

(鏡台の前に座り、鋏を手に取る。銀に光るそれを、長年伸ばしていた前髪に入れる。毛束が落ち、視界が広がった。) うん、こっちの方が印象も良いじゃない。素敵よ。 (自分に言い聞かせ、後片付けをすると、布団に潜った。)

2014-09-08 00:14:48
人形屋トゥルー @Doll_True

(市場の帰り道、もう日暮れ時と言うのに人通りの少ない道を二人で歩く。夕日の照らす石畳に靴音を響かせながら、この人の元にいられる幸せを噛み締めていた。)

2014-09-07 16:46:46
人形屋トゥルー @Doll_True

「あれ…あのう、前髪…いいんですか?」 (伸ばしていた前髪をバレッタで留めて、刺青を露出させる。) うん、すっきりするでしょ?似合わないかしら。 「いえ!そう言うわけでは…」 (自分だけの物で無くなってしまった、と少し残念に思いながら、買い物鞄を持って外へ出た。)

2014-09-07 16:36:01
人形屋トゥルー @Doll_True

「っ!ライさん!」 ただいま、デュアル。 (ごめんなさいと言う前に胸に飛び込んできた) 「ごめんなさい…俺…っ。ていうかどこ行ってたんですかぁ!心配しました!」 ごめんなさいね、泣かないで。いいのよ別に。それより買い物行きましょう、ね?

2014-09-07 16:29:34
人形屋トゥルー @Doll_True

(店主が出ていってから随分した。あんなこと言わなければよかったと激しく後悔し、テーブルからは一歩も動けていなかった。) 「ごめんなさい…」 (そう呟くと扉が開き、優しげな微笑みを称えた店主が立っていた。)

2014-09-07 16:26:34
人形屋トゥルー @Doll_True

(瞬きすればそれは消えて、元の景色に戻ってしまった。けれど私には、彼の言いたいことがわかった。ずっと隠していた左側の前髪を思い切りかき上げる。憎らしい孤児院の象徴が風に晒される。また泣きそうになりながら、墓石にキスを落としてその場を去った。)

2014-09-07 16:20:31
人形屋トゥルー @Doll_True

(その時ふいに頭に何か触れた。優しく髪を梳いて呆気なく去ってしまったその感覚に、愛しい人が思い浮かぶ。はっとして顔を上げるが、そこには墓石しかなく、ただ曇り空が覆い被さっているだけだった。風が前髪を捲り左目に景色が映る。その中に、あの人の背中が見えた気がした。)

2014-09-07 16:15:58
人形屋トゥルー @Doll_True

(跪いたまま静かに啜り泣きはじめ左目の横を強く抑え必死に声を押し潰す。墓石には刺青と同じ、反転されたSが刻まれていて、それが目に入ると声を上げて泣き出した。)

2014-09-07 16:06:58
人形屋トゥルー @Doll_True

(ほとんど走るようにして森を抜け、その場所にたどり着いた。荒廃した建物の横に並ぶ墓標に駆け寄ってその前に跪く。数ある墓の中でそれだけは手入れされ綺麗なままであった。塗装の剥げ落ちた建物のの入り口には「天使の孤児院」と彫られている。)

2014-09-07 15:56:20
人形屋トゥルー @Doll_True

(悲しいような恥ずかしいような情けないような気持ちになって、同時に幼き日のことが憎らしくて堪らなくなってきた。はやく、はやく彼に会いたい。)

2014-09-07 15:50:00
人形屋トゥルー @Doll_True

あ…ごめんなさい、ちょっと、一人にして……。 (足早にその場を後にして裏口から外へ出る。落ち着く場所にいきたい。デュアルには何て言おうか。そんなこと考えていられなかった)

2014-09-07 15:47:24
人形屋トゥルー @Doll_True

(デュアルが発した言葉に私は頭を殴られたような衝撃を覚える。背中につららを突き刺されたような感覚と胸の奥を思い切り掴まれているような感覚。言葉を紡げずいると) 「ライさん…?怒って…ます……?」 (不安げな瞳に射抜かれ思わず目をそらしてしまう。)

2014-09-07 15:43:57
人形屋トゥルー @Doll_True

(言うか言うまいか、第一声を放ってから随分と時間が過ぎた。やっと決心して) 「…左目の横……刺青……」 (詰まりながらなんとか伝える。店主の顔色が青くなるのがわかった。)

2014-09-07 15:36:57
人形屋トゥルー @Doll_True

(今すぐこの場を立ち去りたい。けれど店主の声はそれを許してくれない。) 言ってごらんなさい?怒ったりなんかしないわ。 (見なくてもわかる。幼い子供を宥めるような優しい顔をしている。) 「…あの………ライさん。」

2014-09-07 13:34:06
人形屋トゥルー @Doll_True

(唐突な店主の核心を突いた質問に一瞬時が止まる) 「な…なんですか、急に」 (自分でも笑えるくらい情けない声が出た。店主の目を見ることが出来ない) なんだか今日様子がおかしかったから。 「そんなことありませんよ。考えすぎじゃないですか?」 (空気が全身を突き刺してくるようだった)

2014-09-07 13:29:32
人形屋トゥルー @Doll_True

(計算を済ませて市場で買った桃を剥く。綺麗に盛り付けてからテーブルに置くと嬉しそうな声を漏らす) どうぞ、召し上がれ。 「いただきまーす!」 (食事の時は幼い子供のようだ。様子も変わらないように思える。けれど――) ね、デュアル。何か隠し事してないかしら?

2014-09-07 13:23:39
人形屋トゥルー @Doll_True

今朝からデュアルの様子がおかしい、気がする。目を合わせないと思ったらじっと見つめてきたりするし、何か言いたげに口を開いてはややあって首を振ってからそっぽを向いたりしてる。何も思い当たらないのだけど…後で聞いてみようかと思う。

2014-09-07 12:59:59
人形屋トゥルー @Doll_True

いつも通り店の掃除をしているとレジカウンターで計算をしている店主が目に入る。昨夜のことが頭をちらつく。けれどそれを口にしてはいけないんだろうと言い聞かせ、平静を装って箒を動かす。

2014-09-07 12:46:10
人形屋トゥルー @Doll_True

刺青に口付けを落として、前髪をかける。今だけはこの人の秘密を自分だけのものにしたかった。いつかこれを知るのは自分だけではなくなるであろうと、根拠なく感じていたのだ。そしてそれは、悲しいことに的中する。

2014-09-07 00:52:57
人形屋トゥルー @Doll_True

しかし――月明かりの下に晒される、美しい店主と醜い刺青に、何とも言えない高揚感を抱いていた。きっと刺青のことを知っているのは俺だけなのだろうと思うとどうしようもなく胸の奥が締め付けられる。醜い刺青は店主の美しさを一層引き立てているのだ。

2014-09-07 00:49:00
人形屋トゥルー @Doll_True

ベッドで眠る店主を見つめる。いつも隠れている左目をそっと覗くように髪をかき上げてみると、見たことのない刺青が入っていた。こんなに長く一緒にいたのに、自分は一度も見たことがない。この刺青は、店主にとって何なのだろうか。

2014-09-07 00:44:10