艦娘と提督が殺し合うだけの話

白金桜花 C103土曜東ヨ18b @YamanekoOuka

目の前に居る少年はプラチナブロンドの長髪を靡かせ、その腕には、小柄な身体に不似合なショットガンを構えてる。 ショットガンはAA-12、旧世代のアメリカと言う国が造り出した自動連射式の散弾銃。 散弾なんて艦娘の私……川内型巡洋艦の一番艦、川内には効果などない。

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電磁装甲によってその弾丸阻まれ、私の手袋等に取り付けられた各種艤装からくるエアバースト式の単装砲が彼の体を抉り抜くだろう。 電磁加速のみで放たれる、対空砲の技術の発展系であるこの兵装は深海棲艦相手には心もと無いが、人間相手には効果は絶大だ。 だというのに、私は恐怖していた。

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少年はある区画の提督だ、彼を抹殺せよと言われ、そして追い回した挙句がこの向き合う形だ。 人間は艤装艦娘に勝てない、それは絶対の不文律。 なのに、少年は諦めていなかった、その銃を手に持ち、戦おうと決断したのだ。 その碧眼が私を睨む、自分は歴戦の狩人だと、宣言するように。

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笑わせるな、人が何を出来ると言うのだ、その自信を破壊してやる。 私は歯ぎしりしながら腕を交差させ、手袋型の艤装に付けられた単装砲全てを少年に向け、弾丸を放つ。 絶死距離による超音速の弾丸、それが少年の体を穿つ、その筈であった。 だが、少年は後ろに置いた左足を軸に動き、回避する。

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一撃目の連続砲激が回避され、頭に冷たい何かが流れた、そんんな瞬間、回避動作を取った少年は散弾銃を連射する。 無駄の筈だ、そう私は認識し、連続で逸れる散弾に安堵の笑みを浮かべようとした。 だが、狩人はそれを予見していたのだろう。 私の慢心を。 次の瞬間、左腕が抉られた。

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何かが左肩に当たり、金属製フレームの関節が、交差させていた左腕が、胸が、抉られ、吹き飛ぶ。 身体機能を確認、左腕機能停止、右腕中破、腹部から下半身共に大破。 肉体が、散弾によって抉られたのだ。 電磁装甲が、ただの人間が使う散弾銃の前に耐えられなかったというのか。

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艦娘の絶対的優位たる障壁の崩壊、その現実に唖然としながら、足音は近づいてくる。 来るな。 来るな。 来ないで。 私の眼に涙が流れていた、だが、プラチナブロンドの悪魔は、私の目の前で、見下ろす。 私の右腕に、散弾銃の代わりに手に持った拳銃の引き金を引き、弾を叩きつけた。

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右腕が機能停止する、事実上の戦闘機能の停止だ。 「ねぇ、お願い、殺さないで」 私は命乞いをする、無様に、犬のように。 死にたくないから、ここで、こんな所で、人生を終わりたくないから。 だが、少年は私の頭に拳銃を突きつける。 恐怖で、どうにかなって、私は笑いだしていた。

白金桜花 C103土曜東ヨ18b @YamanekoOuka

これは夢だ。 人間が艦娘を殺すなんてありえない。 だから夢だ。 悪い夢だ。 わるいゆめ。 だからだいじょうぶ。 ゆめならさめる。 さめる。 きっとさめる。 さ

白金桜花 C103土曜東ヨ18b @YamanekoOuka

… …… ………

白金桜花 C103土曜東ヨ18b @YamanekoOuka

正直、やれるとは思ってなかった。 誰も連れないで鎮守府から抜け出した途端にどこかの区画の川内に強襲され、逃げ惑っていたのだが逃げ場が無くなり、仕方が無く護身用に持っていたAA-12で応戦、連続した散弾なら、艦娘の電磁障壁を抜けるという話に、縋っての戦いだった。

白金桜花 C103土曜東ヨ18b @YamanekoOuka

まだ、心臓の動悸が止まらない。 生と死のスレスレの戦い、相手側の砲が、こちらの一点を狙う砲撃でなかったら、連続したショットガンの連射で障壁を破れなければどうなってたことやらと考えると、生きた心地がしない。 きちんとトドメを刺した筈だから、もう動かないと祈りたい所だ。

白金桜花 C103土曜東ヨ18b @YamanekoOuka

早く帰らないと、同じような刺客が来なければいいのだが。 そう考えながら、私は投げ捨てたAA-12を拾い、逃げ惑った結果どこに来てしまったのかわからない区画内の通路を戻るのであった。

白金桜花 C103土曜東ヨ18b @YamanekoOuka

そんな艦娘VS提督の話、川内さん殺しちゃってごめん