田舎の街や集落はなんでこんなに分散してるのだろう、

日本の景観をかたちづくったのは美学とか気分とかそんなウェットなもんじゃねえ。生産のため、生きるため、という問答無用のドライな技術の積み重ねこそが、美しさを生み出す。とか考え中
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建築エコノミスト森山高至「土建国防論」執筆中 @mori_arch_econo

コンパクトシティとかなんとか言う前に地方出張したり新幹線の車窓とかから見ると、田舎の街や集落はなんでこんなに分散してるのだろう、こんな辺鄙な場所に集落がパラパラ散らばってんのはなぜ?おそらく当時の人口は今の半分以下だったのに、コンパクトに固まらないで延伸してるの?と思いませんか。

2014-09-18 14:05:31
建築エコノミスト森山高至「土建国防論」執筆中 @mori_arch_econo

そもそも戦後の宅地造成による郊外化の力学と元々の集落の分散は理由が違うんですよ。それはですね、生産拠点の違いですね。近代以前の産業構造のメインは農業、特に稲作だから、現在郊外か無限定に広がる住宅地と勘違いしている平地のほとんどは田んぼです。生産拠点としての稲作工場だったんですよ。

2014-09-18 14:09:20
建築エコノミスト森山高至「土建国防論」執筆中 @mori_arch_econo

だから、ほとんどの日本の住宅地は平地にはなかった。平地はほぼ稲作のために開放してあり、住宅地は平地と山合いの境目の台地や山裾にある。なので複雑に入り組んだ山襞に沿うように集落と街道は延びている。つまり住宅地が先にあるのではなく、生産拠点としての田んぼにならないところに町はできた。

2014-09-18 14:13:21
建築エコノミスト森山高至「土建国防論」執筆中 @mori_arch_econo

そのように日本の集落は形成され日本独特の景観もかたちづくられてきた。宅地は山裾の斜面であるため段々に必ず造成されている。それは石垣によってである。だからかつての住宅地は石垣の技術なくては成立しえなかった。同時に稲作に不可欠の河川の潅漑も同様に石垣による護岸技術によるものだった。

2014-09-18 14:22:28
建築エコノミスト森山高至「土建国防論」執筆中 @mori_arch_econo

集落の構成要素を海抜の高いところから順番に書くと、山→神社→ため池→集落→畑→土手→取水川→農業用水→田んぼ→捨水川となり、標高の高い集落から海浜の集落まで数珠つなぎに繋がっていたわけである。そこを縫うように街道や用水路が網の目のように巡らされて日本の国土と景観は維持されてきた。

2014-09-18 14:26:51
建築エコノミスト森山高至「土建国防論」執筆中 @mori_arch_econo

日本の景観をかたちづくったのは美学とか気分とかそんなウェットなもんじゃねえ。生産のため、生きるため、という問答無用のドライな技術の積み重ねこそが、美しさを生み出す。逆にいえば、「生」につながるものこそを、我々は美しいと感じるようにアプリオリに刷り込まれている論を展開中です。

2014-09-18 14:29:17
建築エコノミスト森山高至「土建国防論」執筆中 @mori_arch_econo

同時に貨物輸送システムは船舶によっていたため廻船と呼ぶ大型船の沿岸航行から、積み替えのための港湾、各商業拠点まで遡行できる川、街内に張り巡らされた運河も経済主体のための土木施設である。橋が太鼓になっているのも当然、美観でけはなく陸上と運搬船の立体すれ違い航行のためである。

2014-09-18 14:53:48
建築エコノミスト森山高至「土建国防論」執筆中 @mori_arch_econo

田舎の風景は山と神社と石垣と家と土手と小川と田んぼで形成されているように、都会の風景は港と倉庫と川と運河と橋と家と塀である。そのときに技術的にも意匠的にも日本の景観を特徴づけるもっとも重要な建築土木要素が石垣である。数百年の石垣の技を戦後は制度的に捨ててしまった。ほんの50年前に

2014-09-18 15:00:23
建築エコノミスト森山高至「土建国防論」執筆中 @mori_arch_econo

話を郊外形成に戻すと、都市のスプロール化は、生産要素が農業から工場労働や通勤労働に変化していくプロセスと並列でおこった。なぜなら初期のニュータウンは田んぼから作られたからである。新興住宅地は生産から切り離された純粋に個人的所有物と勘違いさせられているが、戦後の経済循環の中で住宅は

2014-09-18 15:05:27
建築エコノミスト森山高至「土建国防論」執筆中 @mori_arch_econo

ニュータウンは戦後の日本の金融システムの中で重要な位置を占める。理由は住宅ローンである。生産システムが職種を問わず通勤労働の形になったわけだから、かつての農業生産時代と比較して居住地は生産現場と固着しないはずだが、金融システムにより居住の仕組みは目に見えないかたちで今も隣接する。

2014-09-18 15:10:16
建築エコノミスト森山高至「土建国防論」執筆中 @mori_arch_econo

@akasaka_moon そうなんです。景観を考えるときのその根本が十分捉えきれていないと以前から不満に思っていたのです。たとえばアレックス・カーの「犬と鬼」は現代建築や地方の自然景観や都市景観の鋭い批判にはなっているのですが、なぜなの?どうする?といった骨子が見えなくて

2014-09-18 15:13:17
建築エコノミスト森山高至「土建国防論」執筆中 @mori_arch_econo

@kz_iw 景観について、歴史的ストーリーはこれまで多くの人たちによって語られていると思うのですね。僕自身もノスタルジーをとても感じるのです。が、何かもっと分析的に考えないとダメなような気がして、、。「景観は機能美」という考え方は、まだ誰もしていなかったと思うのです。

2014-09-18 15:15:14
建築エコノミスト森山高至「土建国防論」執筆中 @mori_arch_econo

@kz_iw 和辻哲郎の「風土」や保田與重郎の「日本の橋」なんかが、その嚆矢だと思うのですが、日本の風景の源泉を生産、「生きるための」機能美と意匠的捉えることができれば、何か雰囲気論じゃない展開が考えられるんじゃないかと考えているのです。「和風概念」を超えれるんじゃないかと

2014-09-18 15:30:22
/赤坂朝霞浅草\ @akasaka_moon

@mori_arch_econo それこそが「美学」ですよね。建築、景観に於いては。「ウェットな美学」ではなく「ドライな美学」。

2014-09-18 15:02:32
建築エコノミスト森山高至「土建国防論」執筆中 @mori_arch_econo

@kumakuma1967_o そうです。現代社会では問答無用のドライなロジックは具体性を離れて無形化してしまったのです。それで分かりにくいのです。僕はまずかつての地形を分析し、現在の無形化してしまった地形に踏み込もうとしているのです「無形化世界の力学と戦略」をおすすめします。

2014-09-18 16:18:36
kumakuma1967 @kumakuma1967_o

DESIGN with NATUREでも読み直すかなぁ。 @mori_arch_econo

2014-09-18 16:22:50
建築エコノミスト森山高至「土建国防論」執筆中 @mori_arch_econo

そもそもアレックス・カーにあそこまで言われて、その通りですと黙ってるのも癪ですしね。

2014-09-18 15:31:49
岩間和彦 @kz_iw

@mori_arch_econo 確かに「景観は機能美」という言葉は城や橋のような人工物に使われても、地域という広い範囲での景観に対しては、考えたことがなかったです そう考えると、日本の風景って、偶然ではなく必然だったんだなぁ

2014-09-18 15:24:44
岩間和彦 @kz_iw

@mori_arch_econo これも一種の機能美なんでしょうね 棚田なんかは、もっと切実な、生きるための手段だったのでしょうし…

2014-09-18 14:36:58
岩間和彦 @kz_iw

@mori_arch_econo 和辻哲郎で検索していたら、寺田寅彦の文字が(大好きなんです) 短いエッセイだったんで読んでみたんだけど、あぁ、そうか…となんとなくすっきりでした(笑) aozora.gr.jp/cards/001395/f…

2014-09-18 15:56:46
建築エコノミスト森山高至「土建国防論」執筆中 @mori_arch_econo

@kz_iw 「吾輩は猫である」の寒月君のモデル寺田寅彦もいいですよね。僕も大好きですよ。ご紹介いただいたページの次の言葉に感激しました。「西洋の学者の掘り散らした跡へ遙々はるばる遅ればせに鉱石のかけらを捜しに行くのもいいが、我々の脚元に埋もれてゐる宝を忘れてはならないと思ふ。」

2014-09-18 16:12:41
岩間和彦 @kz_iw

@mori_arch_econo うん、いい言葉ですよね 寺田寅彦のエッセイを読むと、毎回新しい発見があります

2014-09-18 16:20:34