新本格はなぜ都市を離れたのか

ミステリの「都市化」と、都市から離れていった「新本格」について。
10
kei_ex @kei_ex

最近郊外の文学を色々調べていて、せっかくだからミステリについて調べるかと思って探したんだけどそういう研究が全く出てこないのは何でだ。小田光雄は「80年代ミステリはこうした郊外の風景に覆われていたのだ」っていってるけど何指してるんだろう。社会派ミステリか。

2010-11-17 02:58:44
kei_ex @kei_ex

乱歩をはじめとして推理小説は都市の発生と切り離せないが(知人以外が隣に住んでいる状況が必要)、本格ミステリはクローズドサークル的状況を必要とすることから村落共同体での殺人を描いたり、人工的な孤島の洋館を必要とするようになり都市から撤退していった、という適当思いつき。

2010-11-17 03:27:34
氷川透 @toru_hikawa

これは「新本格」を語るうえで欠かせない視点だと思います。 QT @kei_ex //推理小説は都市の発生と切り離せないが//、本格ミステリはクローズドサークル的状況を必要とすることから村落共同体での殺人を描いたり、人工的な孤島の洋館を必要とするようになり都市から撤退していった//

2010-11-17 05:12:13
氷川透 @toru_hikawa

あくまで私見ですが、クイーンの国名シリーズは都市小説だったし(クリスティはともかくとして)、横溝→高木→森村→島田と日本のミステリも徐々に「都市化」していったのに対し、なぜ「新本格」はやたら山奥や孤島に行きたがったのか? ここに実は、人気の秘密があるとぼくは思っています。

2010-11-17 05:18:29
kei_ex @kei_ex

僕が最も尊敬する現代ミステリ作家の一人である氷川透先生にRTされてるだ…と……?

2010-11-17 05:45:46
橡の花 @totinohana

@kei_ex 良かったね。そういえば加藤泰という監督が乱歩の「陰獣」を撮っているのだけど(色々ゴタマゼになっており…)、佳境の舞台となる蔵屋敷までの往路にある「郊外」が、まるでこの世のものならぬ、「仮に都市とそのクローズドサークルの間でカメラを回したら」という異様な景でしたよ。

2010-11-17 06:07:05
kei_ex @kei_ex

@totinohana どうもです…。へー、なるほど。それは興味深いですね…文章だと舞台となる都心部からクローズドサークルまでは一瞬で飛んでしまうので、その中間がなかなか描かれづらいってのはありそうですね…。

2010-11-17 06:15:15
kei_ex @kei_ex

氷川先生とは若干見立てが違っていたりするのだけど(僕は乱歩→横溝の間に反転があると思うので)、新本格が都市を舞台にしなかったという疑問が始まりだったのでその続きはぜひお伺いしたいな……。多分、第一、二世代だと都市舞台なのは京極と法月ハードボイルドぐらいじゃないかな。

2010-11-17 06:21:17
kei_ex @kei_ex

氷川透さんも都市の中に閉鎖空間をつくりだすタイプの作風ですね。閉鎖空間をつくる強引さに関しては石持浅海さんには誰も適わないでしょうがw

2010-11-17 06:25:38
氷川透 @toru_hikawa

@kei_ex ご発言はもともと「推理小説」「本格ミステリ」についてなのに、恣意的に「新本格」に文脈をねじ曲げてしまって、申しわけありませんm(_ _)m

2010-11-17 06:30:38
氷川透 @toru_hikawa

あ、問題意識が重なりますね。ただ、これを語ると長くなるのですみませんがまた後日w QT @kei_ex //新本格が都市を舞台にしなかったという疑問が始まりだったのでその続きはぜひお伺いしたいな……。多分、第一、二世代だと都市舞台なのは京極と法月ハードボイルドぐらいじゃないかな。

2010-11-17 06:35:09
kei_ex @kei_ex

@toru_hikawa いえいえ、とんでもないです。続きはぜひともお伺いしたいです。

2010-11-17 06:37:46
橡の花 @totinohana

@kei_ex 移動手段で言うと、例えば舞台となる土地の最寄り駅からのアクセスについての描写は厚いのだけど、その駅まではどうだったか?車窓からのパノラマなんて、ほとんど触れられませんよね。いわば、前者については土地の者が懸案の物件とどう付き合ってきたか?を書く手続きとしてある感じ

2010-11-17 07:06:01
氷川透 @toru_hikawa

先日 @kei_ex さんとシンクロした議論の続き。そもそも推理小説って、「日常」のすぐ隣りに殺人という「非日常」をいきなり持ちこむからこそ読者の興味を惹いたのだとぼくは思っています。これって、まんま「セカイ系」ですよね。

2010-11-19 22:45:03
氷川透 @toru_hikawa

したがって、中間項の「社会」が抜けているというセカイ系叩きは、かつての社会派による新本格バッシングと同型。つまり、推理小説とはもともと、どこかセカイ系に似たものだった。あ、そんなことあたりまえですかそうですかスミマセン(汗)。

2010-11-19 22:45:20
氷川透 @toru_hikawa

とにかく推理小説は作者の(あるいは想定される読者の)「日常」に寄り添ったものだった。元祖たる『モルグ街』しかり、逆に探偵の「日常」に事件を持ちこんだホームズ譚しかり。たとえばクリスティは、自身がイギリスの田舎育ちだったからこそああいう話を書いたんだと思います。

2010-11-19 22:46:46
氷川透 @toru_hikawa

でもクイーンはあきらかに、ニューヨークの広告屋だったから都市小説を書いた(都市こそが彼らの「日常」だったから)。そのころには、「推理小説の読者」の多数派も都市在住者になっていた。だから受容された。

2010-11-19 22:47:15
氷川透 @toru_hikawa

いっぽう国内に眼を向けると、江戸川乱歩は自分を「都市小説家」としてアピールしたかったんだと思いますが、横溝正史は自身はモボだったけど、当時の読者の環境を考えて、あえて舞台を岡山の農村(自身の疎開先)にした、という部分があったのではと思います。

2010-11-19 22:49:19
氷川透 @toru_hikawa

高木彬光、森村誠一、そして島田荘司(あるいは赤川次郎)と、あきらかに日本のミステリは時代とともに(人々の「日常」の舞台が「都市化」するとともに)「都市化」してゆきました。そこに忽然とあらわれたのが「新本格」だと、ぼくは思うのです。さて……続きは、また後日(笑)。

2010-11-19 22:49:57
あびこ @sukiyapotes

@toru_hikawa やや亀レスで失礼します。「新本格はなぜ都市を離れたのか」と書かれておられますが(元発言は別の方でしたか?)、ぼくにはその前提が事実とは思えないのですが。「新本格」の定義にもよりますけれども「都市を離れた」作品の方が実際はむしろ少数ではないでしょうか?

2010-11-23 22:04:48
氷川透 @toru_hikawa

@sukiyapotes あ、作品数で統計的に捉えるという発想はありませんでした。むしろ歴史的に代表作とされる(印象の強い)『十角館の殺人』『月光ゲーム』が念頭にありました。ほかにはたとえば『長い家の殺人』とか『雪密室』とか『翼ある闇』とか『吸血の家』とか。

2010-11-23 22:29:41
氷川透 @toru_hikawa

@sukiyapotes むろん我孫子さんの速水兄妹シリーズはむしろ「都市派」でしたし、法月さんも基本的にはそうでしょう。ただ、綾辻・有栖川ご両人の印象が(いまの眼から見れば)強烈だ、というほどの意味です。

2010-11-23 22:31:49