アーバン・レジェンド・アブナイ #5

日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【アーバン・レジェンド・アブナイ】#5

2014-09-19 22:08:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

音波攻撃を回避しながらのカラテ応酬!「イヤーッ!」シケイダーのバイオサイバネ節足が死の鎌めいて襲う!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはブリッジ回避からのメイアルーアジコンパッソ!「グワーッ!」シケイダーを蹴り飛ばした!きりもみ回転しながらヤクザベンツに激突、吐血!「ゴボーッ!」1

2014-09-19 22:17:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

死神も、また無傷ではない。血の涙。腕と背中からはバイオサイバネ節足攻撃によるおびただしい出血。それでもニンジャスレイヤーはザンシンを決め、バイオニンジャを睨み、死刑執行人の足取りで歩み寄った。「ニンジャスレイヤー=サン……私を倒したとて、いい気になるな……」シケイダーが呻く。 2

2014-09-19 22:20:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「私の戦闘データはIRC送信された。それこそ私の存在意義……引き継がれるのだ……恐るべきプロジェクトへ!」シケイダーの音波発声器官は、胴体部以外もはや無惨に潰されている。死神は歩みを止めず言った。「そうか、儚い命だったな、シケイダー=サン。ハイクを詠むがいい」「ま……待て!」 3

2014-09-19 22:27:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

シケイダーは立ち上がり、最後のセミ・カラテを構えた。「どうした、命乞いか?」ニンジャスレイヤーもジュー・ジツを構える。「ニンジャスレイヤー=サン、私の最後のカラテで貴様のニューロンに刻み付けてやるのだ!そのコードネームを!恐怖するがいい!……イヤーッ!」飛び掛かるシケイダー! 4

2014-09-19 22:34:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーのヤリめいた対空チョップ一閃!その一撃は危険なバイオサイバネ節足を弾き返し、シケイダーの胸を貫いた!「グワーッ!……いつか必ず!我々の全データとジーンを受けついだ者が……お前を殺す!その名は……カンゼンタ…」シケイダーは爆発四散!「サヨナラ!」 5

2014-09-19 22:38:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは最後のザンシンを決め、「忍」「殺」メンポから蒸気めいた息を吐く。シケイダーはバイオサイバネ移植部位がブスブスと燃え残り、さながら巨大なセミの死体じみていた。ニンジャスレイヤーはへたり込むイシカワに一瞥をくれると、何も言わず、高く跳躍し、夜の闇へと消えた。 6

2014-09-19 22:46:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

イシカワは寂しい秋の重金属酸性雨の中で、そのハイク・フォトジェニックな光景を見ていた。神秘的な一瞬のソーマト・リコールが終わりを向かえ、全てが……真っ白に変わっていった。 7

2014-09-19 22:50:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

だが次の瞬間、衝撃と激痛がイシカワを無慈悲な現実に引き戻した!暗黒の閉鎖棟へ!「「グワーッ!」」イシカワとシゲオは、割れたガラスまみれの室内運動場へともろともに落下!したたかに全身を叩き付けられた!「……ゴボッ!ゴボーッ!」イシカワは背中を仰け反らせ、激痛にのたうち回る! 8

2014-09-19 22:54:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

二人は数十秒ほど転がり、呻き続けていた。早く起き上がらねば。イシカワは身体を動かそうとするが、激痛が彼を阻む。そこかしこにガラス片が刺さっている。「……ARRRRRRRGH!」シゲオが唸り、先に立ち上がった。イシカワも立とうとしたが、力が入らない。シゲオが威圧的に歩み寄る。 9

2014-09-19 23:01:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

シゲオは肩と頭に大きなガラス片を刺したまま、しかし気にも留めず、サイバネ無表情で歩み寄る!そしてイシカワの腹部を蹴り上げた!「イヤーッ!」「ゴボーッ!」そしてイシカワの頭を掴み、そこに巻かれたTシャツを剥ぎ取ろうとする!「お前は……ニンジャなどではない……!」 10

2014-09-19 23:06:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ヤメロー!ヤメロー!」死に物狂いで抵抗する!「イヤーッ!」「ゴボーッ!」シゲオはついにTシャツを剥ぎ取った!血塗れのイシカワの顔がさらけ出される!「ワハハハハハ!」シゲオはそれを見て哄笑した。そしてTシャツを……己の頭に巻いた!?「俺こそがニンジャなのだ!」完全なる狂気! 11

2014-09-19 23:11:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

イシカワは最後の力を振り絞り、生まれたての子鹿めいて立ち上がり、駆けた!「ワハハハハハ!全ての鍵は閉鎖してあるぞ!貴様の脳を開く!そして天使の軍団を壊滅させるのだ……!」遂にニンジャという名の暴虐の象徴を得たシゲオは、不完全だった妄想を完成させ、赤熱ハンダごてを掲げて追う! 12

2014-09-19 23:16:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ワハハハハハ!」危険ニンジャ妄想者は逃げるイシカワを追いかけ、後方からLAN端子痕を狙って赤熱ハンダごてを何度も突き出す!アブナイ!「アイエエエエエ!」イシカワは閉鎖された扉を叩き、開かぬと解るや、屈み込む!突き出されたハンダごてが頭上で扉にぶつかり、甲高い音を響かせる! 13

2014-09-19 23:35:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

イシカワはへたり込み、それでも抗うように震え、腕のガラス片を抜いて手で握った。掌から血が流れる。「ワハハハハハ!そんなもので俺に勝てるとでも?……この場で手術だ!もはや俺はTVなど無くとも、映像を読み取れるだろう。ニンジャだからな!」シゲオは笑い、ハンダごてを高々と掲げた! 14

2014-09-19 23:35:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ナムサン!もはやこれまでか!?その時!イシカワの背を支えていた鉄扉が後ろに開く!「アイエッ!」「「「「フリーズ!」」」」闇を切り裂いて、警備マッポ軍団の漢字マグライト光群!「グワーッ!?」突然の強烈な光にシゲオが苦しむ!低光量設定していたサイバネアイの過剰フィードバックだ! 15

2014-09-19 23:36:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ウオーッ!来るな!俺はニンジャだ!」シゲオはハンダごてを振り回し、光を払い除けるように暴れ狂う!だが彼はどう見てもTシャツを頭に巻いただけの危険ニンジャ妄想者だ!「「「囲んで棒で叩く!」」」「やめろ!俺は光に弱い!」ニンジャが光に弱いと考えている!フィクションの悪影響だ! 16

2014-09-19 23:43:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「「「囲んで棒で叩く!」」」「グワーッ!」スガモ重犯罪刑務所の精鋭警備マッポ軍団は、情け容赦なくシゲオを包囲し、囲んで棒で叩いた。圧倒的だった。先程まであれほど恐ろしかった狂人は、化けの皮を剥がされたかのように、ブザマな姿をさらしていた。……狂気の時間は終わりを迎えたのだ。 17

2014-09-19 23:48:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

イシカワは力無く仰向けに転がっていた。「よう兄弟、遅くなって悪かったな……」憔悴した笑い声と手が差し伸べられた。「少し見ねえうちに……一人前の男の顔になりやがって……」それは、血塗れのヤマヒロだった。彼は重傷であったにも関わらず、警備マッポに事情を伝え、捜索に同行したのだ。 18

2014-09-19 23:57:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼は手を握り返し、ふらふらと立ち上がった。ヤマヒロも若干ふらつき、笑いながら相手の肩を叩いた。「くそったれめ……よく生きてたぜ」彼が便器の中から立ち上がり、警備マッポを呼ばなければ……数分でもそれが遅れたら……間に合わなかっただろう。それはグレーターヤクザの執念であった。 19

2014-09-20 00:04:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

シゲオを床に押さえつけながら棒で叩き続けていた警備マッポ軍団が、ついにそのTシャツ覆面を剥ぎ取った。その下から、傷だらけの醜悪な顔が露になる。マッポが緑色の光で顔面をスキャンするが、登録が無い。「おい、俺がさっき言った通りだろ!そいつも一種の覆面だ……!」ヤマヒロが言った。 20

2014-09-20 00:09:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「俺には人権がある!これは医療扱いだ!」シゲオが獣めいて唸り抵抗したが、棒で叩かれ、サイバネ人工皮膚を剥がされ裏返された。イシカワは突然の形勢逆転に唖然としていた。「明るいとこに出してみりゃ、しょっぺえ狂気さ。芯の通ってねえ狂気なんざ、こんなもんなんだよ」ヤマヒロが言った。 21

2014-09-20 00:17:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ああ」イシカワが頷いた。「思い出したか?」ヤクザが肩を貸しながら問う。「ああ、思い出した」「あとでゆっくり聞かせてくれや、兄弟……」二人は肩を組み、悪夢の閉鎖棟から離れるように、廊下を歩いた。ふらふらと蹌踉めきながら。警備マッポが付き添い、レシーバーで医療班の手配をした。 22

2014-09-20 00:24:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「止め!棒、止めーッ!」「即座に、指差し点検!」後方で警備マッポたちがざわめいた。「班長が棒で叩きすぎたのでは!?」「そんな事は無い!」「過剰暴力扱いになる!」「完全に心停止しているぞ!」「圧迫止めーッ!」「医療班!医療班追加!」……「心停止……?」イシカワは眉をひそめた。 23

2014-09-20 00:28:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「待て!そいつは……サイバネ心臓…!」イシカワが振り返り、叫んだ。だが遅かった。死んだように倒れていたシゲオは、突如バネ仕掛けめいて立ち上がると、動揺していた警備マッポ軍団の間を抜け、凄まじい形相で走った!床のハンダごてを拾い、ドスめいて脇に構えながら!「イシカワアアア!」 24

2014-09-20 00:33:12