村上信五　２

りえこ @eighter_rieko83

村上信五　１ 急にできたオフ。 ○○をデートにでも誘おか思て電話したら、聞こえてきたんは知らん声。 その声の主がとんでもないこと言うから、慌てて彼女の家へ車飛ばした。 編集のモンやっちゅう、かわいらしぃ子が部屋へ通してくれて、ちょっと涙声でさっき意識無くなったてオロオロしとる。

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村上信五　２ 村上「病院連れてくわ！」 ☆☆「本当ですか！ 　　　あ、ありがとうござい…、」 村上「自分は？仕事中やろ？」 ☆☆「え？！あ！次っ！わ！」 村上「○○が忙しい編集の子やって 　　　言うてたわ。俺あと見るから 　　　行ってええで！」 ☆☆「や、でも！」

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村上信五　３ 村上「ええから！」 ☆☆「・・・じゃ、あの！ 　　　連絡くださいませんか？！」 村上「あぁ！ええよ？じゃ、番号！」 すぐに番号教えてもらい、俺は倒れとる○○を抱えた。 編集の子と一緒に部屋を出て、合鍵も預かった。 グッタリしとる彼女を横目に、病院へ急いだ。

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村上信五　４ 医者にゆっくり休めば大丈夫て言われて安心した。 注射して少ししたら、うっすら意識も戻って、それやったら入院とかもせんでええゆーから、俺が連れて帰ったることにした。 薬受け取って、歩けるとか強がり言うんを強制的にまた抱えて、車でまた彼女のマンションへ。

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村上信五　５ ベッドに横にさして、しばらく寝顔を見つめた。 なんやねん、せっかく楽しいデートしよ思たのに…。 そういえば、締切、いつもこんくらいって言いよったなぁ。 この前、つい抱きしめて、うっかり告白的なんまでしてしもてから、連絡あんましてへんかったから、忘れとったわ…。

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村上信五　６ でも、なんや言うても、こうやって側におるだけで嬉しいなぁ…。 不謹慎か…ごめんな…。 俺はキッチン入らしてもらって、おかゆを作った。 またベッドルーム入ると、しばらくして彼女が目を開けた。 ○○「信ちゃん…。」 村上「どうや？ 　　　少しはラクなったか？」

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村上信五　７ ○○「うん…だいぶいい…。」 そう言って、ほんの少しだけ微笑んだ。 村上「おかゆ作ってん。薬飲まな 　　　あかんからな、食べれるか？」 ○○「ん…ありがと、食べる…。」 おかゆ持ってきて、彼女を抱き起こした。 背中に枕立てて、彼女に寄り添うように座った。

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村上信五　８ おかゆを口に運んだると、おいしいって言ってくれた。 それだけで幸せやなって思う俺は、相当惚れとるな…。 それやのに、彼女が急に泣き出した…。 村上「なんや…どないしてん？」 ○○「…しんちゃ…、」 村上「んー？」 ○○「…ごめ…ごめんなさ…い…。」

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村上信五　９ 村上「・・・・・。」 ○○「…ごめ……、」 村上「あほ、こうゆー時は、 　　　ごめんやなくて、 　　　ありがとう、やろ…？」 彼女の「ごめん」が何を意味するのか……。 村上「ほら、もぉ、泣くな…。」 おかゆを置いて涙を拭ったった。

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村上信五　１０ それでも泣き止まない彼女を、できるだけ優しく抱きしめた。 村上「なぁ、この前の約束 　　　覚えとるかぁ？」 ゆっくり、小さく、俺の腕の中で頷いた。 村上「“肝心なこと”、もぉ、 　　　言うてもいー？」 彼女の返事なんか聞く気はなかった。

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村上信五　１１ 村上「俺、お前のこと好きや。」 とにかくちゃんと言いたかった。 でも、きちんと返事を聞く勇気もなくて…。 そっと、彼女の身体を離すと、枕を戻して寝るように促した。

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村上信五　１２ 村上「なぁ、ちょっと出かけてくる 　　　で、合鍵借りてってえぇ？」 びっくりしながらも小さく頷いたんを確認して、俺はマンションを出た。 時計の針は、もう２２時を回っていた。 俺は電話をかけた。 頼む…、出てくれ……………。