久我真樹さんの『西尾維新対談集 本題』感想

久我真樹さんの『西尾維新対談集 本題』感想。一万時間の法則と絡めて。
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久我真樹 @kuga_spqr

今週末は、西尾維新さんの作品を読みふける。『終物語』上中下、『続・終物語』、『本題』、そして録画していたアニメの『花物語』も。とても、視点が優しく、若い人たちに伝えたいことが多く、若さから広がる可能性や才能についても、暖かいと思う。

2014-09-21 09:38:53
久我真樹 @kuga_spqr

いちばん響くのは『本題』。対談相手の良さを引き出しつつ、自分が思うところとの重なりも多いし、とにかく人間が、或いは人が紡ぐ世界、物語が好きなのだと思う。とくに、羽海野チカさんとの「才能」を巡る対談は素晴らしかった。

2014-09-21 09:41:12
久我真樹 @kuga_spqr

ある領域での「才能」というのは、1万時間の法則にあるようなものだし、「才能」はその先の話。身体的なもの、感覚的なものは当然あるとして、「努力の才能」というのか、「他のことを考えず、そのことだけを考えて生きる、時間を投下する」ことが出来るかどうか。

2014-09-21 09:43:31
久我真樹 @kuga_spqr

たとえば、自分は瞬間風速的にせよ、メイドについては日本で5番目になれるぐらい詳しかったと思うし、ある別のテーマではその当時、日本で一番詳しくなった自負がある。でもそれは、お金にならないので、誰もやっていなかったから、競争者がいない状態での日本出のトップレベル、という話。

2014-09-21 09:45:29
久我真樹 @kuga_spqr

世の中はあまりにも対象が多すぎて、多分、一番になれる領域は多い。ただ、誰もしていないことにであったら、それは「報われることが少ないから」誰もしていないかもしれないということ。

2014-09-21 09:47:12
久我真樹 @kuga_spqr

そこに時間を投じられるか、時間を投じていく覚悟があるのか、というところはありつつも、あまりに投じすぎていると引き返せなくなるところもあって、若い頃は何でも無いがゆえに何処にでも道が通じていて、年を重ねればそれまでの生き方に縛られるのに似ている。

2014-09-21 09:47:58
久我真樹 @kuga_spqr

執着、にもなっていくのかな。投じた時間が多すぎると、捨てられなくなるというのか。

2014-09-21 09:48:26
久我真樹 @kuga_spqr

『本題』を読んでいると、自分が選んだ道を進んでいて、そこに様々な可能性を捨てて没頭していった姿があって、それを「才能がある」と一言で言うのは違うというのは、分かる。『本題』の方々よりも自分のスケールは遥かに小さいけれど、他の可能性を捨てて、リソースを集中している面もある。

2014-09-21 09:50:19
久我真樹 @kuga_spqr

たとえば、仕事をしていても、その場にいるだけの人と、大好きすぎて仕事を離れてもそのことばかりを考えて、勉強して、生きている人がいる。社会人の最初の頃、プログラマになったけど、家にサーバーを何台も立ててネットワークを勉強していた同期は、1年で日本最高の会社へ転職していった。

2014-09-21 09:52:02
久我真樹 @kuga_spqr

自分には、そこまでできない、と思ったから、その道では無いところを目指したし、日々生きることと仕事とが繋がる領域を探したし、日々生きることと仕事が繋がっているとの「物語」を作ることで「前に進んでいる」との自覚を得ようとしたのかもしれない。

2014-09-21 09:53:52
久我真樹 @kuga_spqr

西尾維新さんや羽海野チカさんの対談で、「人が怖い」というところで会社で働くことを避けた選択肢として作家、というようなニュアンスの言及については、違う角度での可能性もあると思う。会社で働いていると、あまりにも「想像力」「シナリオ」を作れる人(出している人)が、少ない。

2014-09-21 09:57:51
久我真樹 @kuga_spqr

様々な可能性、多様な要素を物語の中で検討して、ひとつの「未来」を紡いでいける作家には、会社環境での多様な要素と状況を、繋ぎ合わせた絵、「物語」が作れると思う。

2014-09-21 09:59:48
久我真樹 @kuga_spqr

もちろん、その要素のシミュレーションに必要な情報を持てるか、と言う点はある。作家は物語世界での神なので情報を持つ一方、会社組織では現実の不完全性からその情報を把握するのは難しい。

2014-09-21 10:00:55
久我真樹 @kuga_spqr

しかし、作家が人間を描き続けるならば、「会社で働く人」を、どう組み合わせて、どう物語として繋いでいくのか、どういうシナリオが今ある要素で思い描けるのか、できるのではないかと、働きながら思っている。

2014-09-21 10:01:50
久我真樹 @kuga_spqr

最初の話に戻ると、「1万時間の法則」的にある領域で没頭できるか。自分が進みたい道に、それだけの時間を投じたことがあるのか。そして投じる先に、既に自分よりも多くの人がいるのかどうか。

2014-09-21 10:05:27
久我真樹 @kuga_spqr

没頭できるかは環境に起因する(家が裕福である、周囲の理解がある)ところもあるので、「才能」以前に、環境を作れるかは運次第というところもあるとは思うけれど、「そのことだけを、考えて生きている」人かどうかの差(或いは、それしか選ぶ道がなかった)は、大きいと思う。

2014-09-21 10:07:46
久我真樹 @kuga_spqr

『本題』には、そんな、「自分がいきたいと思う領域に時間を注ぎ込み、他の可能性を捨てて生きている」姿が描かれているように思う。もちろん、同じ生き方をして同じ結果が得られる訳ではなく、社会的には報われない人がほとんどかもしれないけれど、それでも。

2014-09-21 10:13:29
久我真樹 @kuga_spqr

あと、補足しておくと「そんな生き方を選ぶ必要は無い」ということも、当然あります。気づくと「そうなって、引き返せない」ことや、「その方が、進みやすい」こともある。また、時間の使い方の効率・方向性が悪ければ身に付かないものもあるだろうから。

2014-09-21 10:17:14
久我真樹 @kuga_spqr

「才能」と言う点で言えば、時間投下だけでなく、自分の能力を評価してくれる環境や人に出会えるかの運が、いちばん大きいと思うし、その噛み合わせ次第。ガンダムに乗れる環境にいるのか、ボールに乗る環境なのか。そして戦艦での士気が出来る人がガンダムに乗っていても不幸。

2014-09-21 10:25:03
久我真樹 @kuga_spqr

「才能」が問われるのが1万時間程度の努力の先だとして、同じぐらいに「才能が発揮できる場所」を作れる力、或いはそこに巡り会うための運と縁、「見つけてもらうための努力」という要素も。

2014-09-21 10:27:13
久我真樹 @kuga_spqr

西尾維新さんの想定読者ではない30代後半ではありますが、『物語』シリーズを、主人公たちと同じ年代で読むと、どういう気持ちになるのだろう。それこそ、「持っていかれる」感じになるのかな。

2014-09-21 10:30:33
久我真樹 @kuga_spqr

羽海野チカさんの『ハチクロ』での真山の台詞で、何かあった時に動けるようにするための貯金というエピソードも、メッセージには思える。

2014-09-21 10:32:54
久我真樹 @kuga_spqr

羽海野チカさんも、西尾維新さんも、学生が直面しているであろうテーマを、題材にしていて。物語で「伝わる」ことを願っているその気持ちの優しさを感じられる『本題』での対談でした。

2014-09-21 10:39:00