川端康成に挑め『小公女』

はあ。
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It happens sometimes @ElementaryGard

『小公女』の原文。出だしから。

2014-09-22 22:54:16
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Once on a dark winter’s day, when the yellow fog hung so thick and heavy in the streets of London

2014-09-22 22:54:35
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that the lamps were lighted and the shop windows blazed with gas as they do at night,

2014-09-22 22:54:46
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an odd-looking little girl sat in a cab with her father, and was driven rather slowly through the big thoroughfares. さあどう訳す?

2014-09-22 22:55:06
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川端康成の訳 「くらい冬のある日、ロンドンの町々はあつい霧がおもくたれこめて、夜のようにあかりがともり、店やのショウ・ウィンドは、ガス燈の光できらきらかがやいていた。そのとき、大通りをゆっくりかけていく馬車のなかに、おとうさんにつれられた、ちょっとふうがわりな少女があった」

2014-09-22 22:56:16
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高楼方子 訳 「暗い冬の日でした。どんよりした黄色い霧が重くたちこめたロンドンの街は、街灯も、店々のウィンドウも、夜のように灯りがともされ、ガスの光にぼうっと輝いていました。そんな街なかの大通りを、いっぷう変わった雰囲気の少女が父親と辻馬車に乗り、ゆっくりと通り過ぎていきました」

2014-09-22 22:57:11
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くみかおる訳 「暗い冬のある日のこと、黄味がかった霧がどんよりとたちこめるロンドンの街のそこかしこにガス灯がともり、立ち並ぶ商店のガラスを照らしかえす様は、 昼間でありながらまるで夜の風景だった。

2014-09-22 22:59:48
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そのなかを、いっぷう変わった外見の女の子が、父親といっしょに車のなか、 大通りを順に、慌てる風でもなく馬に引かれていくのだった」 very slowlyを「慌てる風でもなく」と置き換えるのがセンスです。

2014-09-22 23:02:48
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川端のは上手いですね。「夜のようにあかりがともり」はさりげなく巧い。私のは「昼間でありながらまるで夜の風景だった」と、ちょっと理屈っぽい。

2014-09-22 23:06:37
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私の訳の工夫は、女の子→父親→車→大通り→馬 の順に名詞を並べたところにあります。

2014-09-22 23:10:11
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川端は 大通り→馬車→おとうさん→少女 の順。 高楼は 大通り→少女→父親→辻馬車 くみは 女の子→父親→車→大通り→馬

2014-09-22 23:12:41
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なんというか、映画やドラマでいうカッティングの違いが出てますね。私のはいきなりセーラの姿から始まる。川端は外堀だからだんだんと内堀に迫っていく。高楼のがいちばん映画っぽいです。切り替えしの技。

2014-09-22 23:15:19
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アニメだとこんな風。クルー親子の初登場は超高級ホテルのスイートルームでなされているので、馬車で移動するところはあっさりしてる。 pic.twitter.com/whVAaA1CWO

2014-09-22 23:20:17
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小公女 (福音館古典童話シリーズ 41) amazon.co.jp/dp/4834026752/… 読んでみた。巻末の解説が秀逸。寄宿制女学院じたいが初版が出た時代にはもうロンドンでは消えかかっていて、おそらく作者の短い学校時代の思い出が反映されたものだそうです。

2014-10-01 14:40:17
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大英帝国の本土に、外地の娘が送り込まれて旧態依然の社会規範に痛めつけられて植民地の富によって次期女王陛下に再生する寓話、とまでは洞察してない。この説も私のオリジナルではないけど。

2014-10-01 14:42:39
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togetter.com/li/722548 冒頭をどう訳したらいいか。「そんな街なかの大通りを、いっぷう変わった雰囲気の少女が父親と辻馬車に乗り、ゆっくりと通り過ぎていきました」。これ、あんまりよくないです。

2014-10-01 14:44:44
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クルー親子はおそらく港かホテルで馬車に乗って女学院に向かっています。「いっぷう変わった雰囲気の少女が父親と辻馬車に乗り」 これだと大通りで辻馬車を拾って乗った、と読まれてしまう可能性がある。

2014-10-01 14:46:56
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川端康成はそこのところ気を配ってます。「そのとき、大通りをゆっくりかけていく馬車のなかに、おとうさんにつれられた、ちょっとふうがわりな少女があった」

2014-10-01 14:47:37
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くみ訳。「いっぷう変わった外見の女の子が、父親といっしょに車のなか、大通りを順に、慌てる風でもなく馬に引かれていくのだった」 原文とできるだけ語順を同じにして、なおかつ「大通りで馬車を拾った」わけではないとわかるように工夫したつもりです。

2014-10-01 14:50:21
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「車のなか」→「馬に引かれていくのだった」 これはさりげなく上手く日本語にしたと思っています。

2014-10-01 14:51:00