ブルーベル ~いつどんな時も~

ブルーベルの花言葉に萌えた二人(五十鈴スミレ・藤戸志乃)により、前置きも相談もなく突如始まったリレー小説。後半はスミレに一任されました(笑)
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*花言葉bot* @hana_kotoba_bot

【ブルー・ベル】 花言葉:いつどんな時も

2014-09-26 13:45:49
五十鈴スミレ @midori_tya

何この妄想ふくらむ花言葉!! いつどんな時も、なんだよ!? >RT

2014-09-26 13:46:23
真麻一花@しの @maahikka

@midori_tya いつ、どんなときも、君が僕を呼ぶのなら、すぐに駆けつけるよ。忘れないで。僕がいることを。

2014-09-26 13:48:09
五十鈴スミレ @midori_tya

@fujitosino そう言ってくれた彼のことを、私は今でも覚えている。その時の彼の微笑み、耳を打つ声、頬を包むぬくもりまで、すべて。ねえ、あの言葉が本当なら、今すぐに、来て。もう私は一人じゃ立てない。頑張り方を忘れてしまった。ずっと、呼びたくて仕方がなかった名前を、音にした。

2014-09-26 13:56:40
真麻一花@しの @maahikka

@midori_tya つぶやかれた彼の名前は、小さな部屋でむなしく響く。分かってる。ここで呼んだってこれるわけがない。ほんとに来て欲しかったら電話をすればいい、会いに行けば良い。分かってる。でも、私にはその勇気がなかった。もう一度、彼の名前を呼ぶ。もう一度、むなしく、響いた。

2014-09-26 14:04:43
五十鈴スミレ @midori_tya

@fujitosino 何度つぶやいたところで、結果は同じだとわかっている。彼は普通の人間で、私の声が本当に届くわけもなくて。声を届ける手段はあるのだから、それを使わなければ意味がない。けれど、怖い。電話に出てくれなかったら? 来てくれなかったら? あの約束を、忘れていたら?

2014-09-26 14:07:37
真麻一花@しの @maahikka

@midori_tya 「…嘘つき」にじむ涙をぬぐうことなく、彼をなじる。彼のせいじゃないのは分かっている。分かっているけど、今、ここに、来て欲しかった。「すぐに駆けつけるって、いったくせに……」「………相変わらず、むちゃくちゃなことを言うよね……」突然、苦笑交じりの声がした。

2014-09-26 14:13:34
五十鈴スミレ @midori_tya

@fujitosino 幻聴? と最初に思った。現実を確かめるのが怖くて、顔を上げられなかった。そんな私の頬に触れる手があった。その手に促されて顔を上げれば、困ったように笑う彼がそこにいた。「なん……で……」「本当に偶然、なんだけど。タイミング良かったみたいだね」

2014-09-26 14:17:50
真麻一花@しの @maahikka

@midori_tya 「…うそ」「なにが?」「ほんとに来てくれた」「うん。でも今回は偶然これたけど、次からはちゃんと電話でよんで欲しいな。ちゃんと来れるかわからないから」苦笑するその顔は、やっぱり優しくて。目の前で視線を合わせてくる仕草は私の気持ちを受け止めてくれているようで。

2014-09-26 14:25:34
五十鈴スミレ @midori_tya

@fujitosino ずっと、ずっと、ぎりぎりまで我慢していた涙がボロッとこぼれ落ちた。「ああ、もう。相変わらず泣き虫なんだから」彼は苦笑しながら、そっと涙を拭ってくれる。そのぬくもりはあの時と変わらない。私のことを泣き虫だなんて言うのは、彼だけだ。私は彼の前でしか泣けないから

2014-09-26 14:31:07
真麻一花@しの @maahikka

@midori_tya いつ、どんな時でも……そう、約束してくれた彼だから。それを守って彼だから……。「大丈夫。今は、ちょっと躓いているだけだよ。今までが順調すぎたんだ。挫折のない成功なんて、砂上の楼閣だよ。いっぱい苦しんで、いっぱい悩めばいい。どん底まで一度落ちてみるといい」

2014-09-26 14:42:55
五十鈴スミレ @midori_tya

@fujitosino 優しい声が、心まで届く。涙で彼の顔をしっかり見えないことが悔しい。きっととてもあたたかく、私をその瞳に映してくれているのに。「俺は、頑張る君が好きだよ。でも、頑張るのがつらいなら、一度全部やめてもいいんだ。いっぱい休んで、そしたら君はまた前を向けるから」

2014-09-26 14:51:58
真麻一花@しの @maahikka

@midori_tya 手を伸ばすと、彼の大きな手が私の指先をとらえた。そしてそのまま引き寄せられて彼の腕の中に包み込まれる。それがひどく私を安心させて、私は彼の腕の中で声を上げて泣いた。

2014-09-26 14:59:06
五十鈴スミレ @midori_tya

@fujitosino 彼はずっと、私が泣き止むまで背中を撫でてくれた。一度決壊した涙腺はなかなか元には戻らなくて、子どもみたいに泣きじゃくった。どのくらい泣いていたのかわからない。ようやく収まったころには、目のまわりは腫れぼったくなっていたし、声は枯れていた。

2014-09-26 15:03:07
五十鈴スミレ @midori_tya

@fujitosino 「もう大丈夫?」彼は私の顔を覗き込みながら、そう聞いてくる。涙の跡ですごいことになっていそうな頬を、優しく撫でてくれる指。そのぬくもりに、心から安堵する。彼は本当に、約束を守ってくれた。呼んだら、ちゃんと助けに来てくれた。たとえ偶然でも、事実は変わらない。

2014-09-26 15:13:24
五十鈴スミレ @midori_tya

@fujitosino 「……ありがとう」自然と、感謝の言葉が口からすべり落ちた。彼はいつも私を支えてくれている。彼の存在があるから、私は頑張ることができる。どれだけお礼を言っても言い足りない。「どういたしまして。でも、できたらお礼は、これを受け取ってから言ってほしいな」

2014-09-26 15:17:42
五十鈴スミレ @midori_tya

@fujitosino そう言って彼が私の目の前に出したのは、ミニブーケだった。鈴蘭と、鈴蘭に似た形をした青い花。黄緑色の包み紙と濃紺のリボンで飾られた、首を垂れたかわいらしいお花は、色のコントラストもあってとてもきれいで。思いもよらなかったプレゼントに、私は目を丸くする。

2014-09-26 15:24:42
五十鈴スミレ @midori_tya

@fujitosino 「この青い花、ブルーベルって言うんだって。かわいいでしょ?」「……かわいい」「花屋の店員さんに、花言葉聞いたらさ。どうしても君に贈りたくなって。これが、今日俺がここに来た理由」花言葉? 私は尋ねるように首をかしげる。彼は照れくさそうに笑ってみせた。

2014-09-26 15:27:53
五十鈴スミレ @midori_tya

@fujitosino 「ブルーベルの花言葉は、『いつどんな時も』。鈴蘭の花言葉は『幸福が訪れる』。俺は、いつどんな時も君の味方だし、君を幸せにしてあげたいって、思ってるから」その言葉に、プレゼントのミニブーケに込められた思いに、私はもう一度泣きそうになった。

2014-09-26 15:31:29
五十鈴スミレ @midori_tya

@fujitosino 「ありがとう、うれしい……だいすき」涙の代わりに、心からの言葉をこぼした。たくさんの感謝と、たくさんの愛を。いつどんな時も、私は彼に救われている。いつどんな時も、彼は私に幸福を届けてくれる。いつどんな時だって、そんな彼のことが私は愛しくてたまらない。

2014-09-26 15:35:51
五十鈴スミレ @midori_tya

@fujitosino 散々泣いたからひどい顔だろうけど、それでも私は笑った。今、私に返せるのは笑顔くらいかなかったから。「好き、大好き。私を好きでいてくれてありがとう」言い募るごとに、彼の頬が赤く染まっていく。私は普段、彼ほどには愛を言葉にしないから、効果は抜群だったようだ。

2014-09-26 15:40:07
五十鈴スミレ @midori_tya

@fujitosino 「あー……喜んでもらえたなら、よかった。……俺も好きだよ。誰よりも君のことを大切に思ってる」照れ笑いを浮かべ、彼は言う。赤らんだ頬はとてもかわいらしいけれど、きっと私も似たようなものなんだろう。少しの沈黙ののち、同時に吹き出して、笑い合う。

2014-09-26 15:43:31
五十鈴スミレ @midori_tya

@fujitosino そうして、どちらともなくキスを交わした。一人で立ち尽くしていた私はどこにもいない。彼がいてくれるなら、彼が応援してくれているなら、怖いものなんてなにもない。いつどんな時も、彼の存在そのものが、私に幸福を運んでくれるから。  おしまい

2014-09-26 15:45:40