葉推詩選:2014年、秋。

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葉月野 @hadukino_tc

すきなことばが変遷して。落ち着かない気持ちもことことと。同じ鍋に入れて煮込む。市販のルーでも掛け合わせれば好みの味にできるんだ、と自慢げに。何が混ざっているのか当てる器量はない。「おいしい」「そう、よかった。次はあなたね」。じゃあ流行りのシヲレモンでも(詩のレシピ1)#pwGT組

2014-09-21 12:37:20
葉月野 @hadukino_tc

おもてに書き付けたハイライトには成功への意思。昇りゆく煙を見上げた旅の軌跡は受け入れた証。塩っぱい記憶にも豊富なバリエーションがある。どんな思いが込められていたかは知らないが生きようとするから味わえる。ぐにゃぐにゃしててもまっすぐにさ。(詩のレシピ1) #pwGT組

2014-09-21 15:35:10
葉月野 @hadukino_tc

トリビュタリが全身に張り巡らされる。例えば左手薬指には孤独。右手人差し指には希望。脚に流れる目標が止まらない。血筋をのこしたい。と思ってもう、そうしている。どうきは不純がいい。混じり気のないイノセンスはよくしに抗えないから。(詩のレシピ2)#pwGT組

2014-09-22 07:27:50
葉月野 @hadukino_tc

飛び石に足を滑らせて落ちた。先は。シの間際、わたし為らしめる呪が解かれて命綱になる。境界線にフックして描く古い十字架。背負ったものを捨てる機会はめったにない。力を緩める手。溺れてもいい関係を取り違えた子のように。泣く。(詩のレシピ2)#pwGT組

2014-09-22 20:46:16
葉月野 @hadukino_tc

一人抜けても回るようになっている 不自由な水槽を右から左へ どこにもいけない いたいのもとんでいかない なにも通らない喉の裏側がささくれだって 生きる欲だけを主張する (詩のレシピ4)#pwGT組

2014-09-24 10:15:00
葉月野 @hadukino_tc

明滅の狭間に並ぶ人達がふと、糸が切れたように表情を失くす瞬間。コンビニで始まったおでんの匂い。なにもかもが手軽に済ませられるようになって、効率化。効率化。人の温かみも。めったに手に入れられない、ということも。でも触れることはできる。技術の進歩で。(詩のレシピ5) #pwGT組

2014-09-25 17:06:04
葉月野 @hadukino_tc

有名スーパーが再建失敗して、百均メーカーも破産。景気回復と連呼する街頭のスピーカー。うまいものかいやしがあれば、客は寄ってくると見越して腕を確かめる。材料は改めて揃えればいい。ありあわせでも構わない。同じ轍は踏まないようにと思うが手はすべるだろうね。(詩のレシピ5) #pwGT組

2014-09-25 17:27:32
葉月野 @hadukino_tc

こねなくても寝かさなくても、混ぜるだけで美味しいプリン。ぷるぷるした原稿に目星をつけて甘い空気が漂う。見る句は濃い目。絡めるソースは社会派。生繰り意味を載せ忘れないように。手応えのなさに隠れた包容力が母の持ち味。と気付くのは大人になってから。(詩のレシピ6)#pwGT組

2014-09-26 05:58:50
葉月野 @hadukino_tc

暗譜なんて数える程しかできない。どれもただ喜ばせたくて、そう。練習したコードに縛られてる。AAA…いつか名もない自由がいいといった。気ままに行きたいところへ行けるように。地平線の夜明けのようなイントロを奏でる。きみが凛とした決意の言葉をのせるための。(詩のレシピ6)#pwGT組

2014-09-26 08:12:44
葉月野 @hadukino_tc

背中が敷かれた石畳に詩想の落ち葉が降り積もる。楓には記憶。銀杏には祈り。メタセコイアには安らぎ。桜ですら紅く色づいてきれいだ。何か言いたそうにしている顔。沈黙を打ち破る、ちから。意味を持たない街の名。いっぱいにひろがって。いっぱいにあふれる。(詩のレシピ6)#pwGT組

2014-09-26 12:25:44
葉月野 @hadukino_tc

眠りに就いて歌紡ぐ。旅。より確実に。機を逃さず。探求し。好奇心は。より深く。なお廻る。LIFE ON MARSの夢が連なる。とても普遍的な言葉で、あなたはそこにいる、と告げている。初めてアイスクリームを頬張ったときの感嘆。世界に放った第一声で。(詩のレシピ6)#pwGT組

2014-09-26 12:51:59
葉月野 @hadukino_tc

日暮れの波を縫う声色は言葉の色と思っていた。梟の名はミネルヴァだったかネストルだったか。もう一度問いかけ直す。上塗りする前の構図は何だったかな。いいところ見せたかったんだ。力及ばずに柘榴の割れた様でごまかしてしまった。お気に入りはなかなか渡せないね。(詩のレシピ6)#pwGT組

2014-09-26 18:33:56
葉月野 @hadukino_tc

いつまでたっても混合しないんなら不均衡なままでいいじゃん。君の口癖は「それも個性」。気ままな科学者の研究対象はいつも秘密で。いつも夜に振り回される。成果が出続けてさえいれば喜んだ。結果を欲しがるよりも長続きする秘訣だとずいぶん後になって知ったよ。(詩のレシピ6)#pwGT組

2014-09-26 19:09:39
葉月野 @hadukino_tc

そのまま目覚めなかったら、何処かへ行ってしまった蝉時雨と一緒に消えてしまう。どこの並木道でも満開の下は魂が吸われる。ぐい。ぐい。秋には耽るものが多い。浸っている間はもっていかれにくい。上手くいけば身代わりの背を押す。後は冬まで美味を堪能するんだ。(詩のレシピ7)#pwGT組

2014-09-27 02:58:46
葉月野 @hadukino_tc

晴雨兼用の完全な睡眠中「心配だから」と寝言。眠れない気持ちがザラメになる。起きたらスプーン2杯いれてあげよう。ブラック派な君のコーヒーに。目が覚めるだろうな。そしたらこれがお礼だと教えてあげよう。(詩のレシピ7)#pwGT組

2014-09-27 07:49:13
葉月野 @hadukino_tc

ハシビロコウの眼つきに囚われ嘴に挟まれた。雨の海に浮かぶ船の上、テレメトリは正常。会うなら普通のコウノトリが良かったな。選り好みできない食環境で任務は予定通り。カルシウムとビタミンだけだと偏ってないか?誰も気にも留めないか。今日の相手はきみだもんね。(詩のレシピ7)#pwGT組

2014-09-27 08:17:52
葉月野 @hadukino_tc

犬用骨のステレオタイプな形に安堵する理由。わが身に不可解なものが埋まっていない証。がらくたばこに隠れたたからばこを探す。でっぱりをブレード代わりに庭先を掘り返しても答えは出ない。料理に見立てた暗号を解いたら違う場所をさしていた。(詩のレシピ7)#pwGT組

2014-09-27 10:22:25
葉月野 @hadukino_tc

幼い牙をむき出しにする。青空に抜けた甲高い声援。昼で一旦お開き。めいめいに箱を開けると花が咲いた。秋の香りが一面に広がる。道行く人が気を取られて振り向く。ずっと見守っていく怖さ。いつか離れてゆく怖さも、いまは呑み込んで、噛みしめる。(詩のレシピ7)#pwGT組

2014-09-27 12:27:34
葉月野 @hadukino_tc

キリギリスがアリに情けを受けた話を聞いたコオロギは美声を保ってさえいればずっと飼ってもらえる一生に安堵した。一芸身を助ける世ならよかったが今はゼネラリストが求められる時代。もう一つ資格を増やしておこうか悩んでいる。認められるための努力は終わりが見えない(詩のレシピ7)#pwGT組

2014-09-27 17:01:57
葉月野 @hadukino_tc

鬼子飼う親が夕食の支度に食えたもんじゃない説教を切り落とす。コワイモノが顔を出したらそこも切り落とす。手で掴める分は残す。思いやりの味は角が生えた頃に思い出すようにできている。ひと手間は入れるだけ。これで今夜も黙らせる。泣きたくなければおとなしく食え。(詩のレシピ7)#pwGT組

2014-09-27 17:58:19
葉月野 @hadukino_tc

昼夜を失くした現代の怪談話。作者読者の隙間を埋めた無名。ソーシャル化される人でなしの理由。字面を見ているだけで痛い。夜の遊歩道を抜ける穏やかな風。首筋を撫でたものに自信がない。護る力をつける方法を手軽に探す。行為が結果にすり替わっていると気付かずに。(詩のレシピ7)#pwGT組

2014-09-27 22:00:25
葉月野 @hadukino_tc

オールドファッション。裏打ちでアレンジされてもこぼれてしまう。拾いにくいったら。思い思いに傾けるグラス。テキーラの飲み方が違うと教わった。お前の全てをたたきつけろ。そいつがカッコよければ自由になれる。モノにしたいスタイルが増えていく。(詩のレシピ8)#pwGT組

2014-09-28 10:16:41
葉月野 @hadukino_tc

裏表がなくなった関係に途惑う。一気に飛び越えようとすると却って躓いたりする。どこかで洗いたてのシャツが風に翻るように自然に。まだ知らないことは隠しごとのように肩を寄せる。メロディは浮ついているよりも足音を刻むようにいたい。次のアルバムを手にするまで。(詩のレシピ8)#pwGT組

2014-09-28 12:32:23
葉月野 @hadukino_tc

重度の歪みを足早に過ぎ行く人。青いランプが照らすベンチ。似通ったテンポでどうしたいか迷っている。まばらな雨音に紛れる通過点の確認。気にしちゃいけない。最善よりもひっそりとした安寧を。指先が触れるだけの出会い。もう一歩踏み込めないままの。(詩のレシピ8)#pwGT組

2014-09-28 13:41:42
葉月野 @hadukino_tc

骨董から懐かしい音が響いた。昔になってしまった肌が震える。今は知らない生活に埋められた空白。食卓から引き上げられる食器たち。耳の奥にいつまでも残る反響。何度も繰り返した手順。今日すべてを許容する一言をメモして。デザートはお風呂の後に準備する。(詩のレシピ8)#pwGT組

2014-09-28 19:16:22
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